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東海圏の物流施設開発

都市別特集

2008年3月6日

東海圏に供給される倉庫・配送センターの総面積は、わずか3年間で倍増と市場は大きく活性化してきている。その核となるのは、名古屋という巨大消費地を中心とした物流施設市場であることに間違いはないだろう。首都圏や関西圏と同様に、最新設備を有する物流施設が次々と具現化してきており、物流集積地である名古屋港を中核とする湾岸エリアや内陸の小牧エリアでは、すでに工業用地の売物件が希少な状況ともなっている。はたして、最新施設の新規供給や工業用地の逼迫を受けて、これからの名古屋周辺の物流マーケットはどうなっていくのか。関係各所への取材により明らかにする。

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名古屋周辺注目の物流施設

名古屋周辺注目の物流施設 名古屋周辺注目の物流施設

プロロジスパーク セントレア

プロロジスパーク セントレア
プロロジスパーク セントレア 免震
プロロジスパーク セントレア 車路
名古屋周辺注目の物流施設

ロンコプロフィットマート小牧

ロンコプロフィットマート小牧

日立物流 中京物流センター

日立物流 中京物流センター

名古屋周辺の物流施設市場の動向

シービー・リチャードエリス株式会社
名古屋支店 インダストリアル営業部
ゼネラルマネジャー 石川 治夫

物流施設のニーズは高いが用地不足が深刻な名古屋周辺

AMB春日井・小牧東ディストリビューションセンター

活気づく中部圏の経済動向や、自動車産業を中心とした製造業の好業績を受け、名古屋周辺における物流施設のニーズは年々高まりを見せています。名古屋周辺は従来、製造業者が自社で建てた倉庫や、地元の倉庫会社が提供する倉庫、あるいは地元の運送業者が荷主に提供する倉庫など、小規模な物流施設が圧倒的に多いのが特徴でした。最近になってようやく、分散した物流拠点を集約する動きが出始め、それに伴い不動産デベロッパーによる大型施設が建設されるようになってきました。

しかし、東京や大阪など他の大都市圏と比べると、この動きはかなり遅かったと言えるでしょう。名古屋周辺で今日的なマルチテナント型物流施設ができたのは、昨年2007年6月に竣工したプロロジスパーク セントレアが最初です。さらに今年1月、内陸部に、はじめてAMB春日井・小牧東ディストリビューションセンターがオープンしました。実際には、2003年ごろから不動産デベロッパーが大型物流施設建設の意欲を見せていたものの、なかなか実現に至らなかったのは、ひとえに「開発用地が出てこない」からです。

用地不足の大きな要因の一つが市街化調整区域の多さです。愛知県全体でみても、都市計画区域内に占める市街化調整区域の割合は約7割で、残りの市街化区域についても、その大部分が住居地域です。特に、物流施設に使える土地となると、ごく限られた場所になってしまいます。その結果、まれに1万坪クラスのまとまった物流用地の売却案件が出ると入札となり、物流ファンドや不動産デベロッパーが高値で落札する状況となっています。また、自動車産業をはじめとする製造業の業績が好調なため、工場閉鎖などによる土地の売却案件は非常に少なくなっています。これも新規用地不足を深刻にしている原因でしょう。

二大物流適地といわれる名古屋港周辺と小牧エリア

名古屋港周辺の湾岸エリアは、名古屋周辺で最も物流施設のニーズが高い地域の一つです。名古屋港は近年、商業・工業港を兼ね備える総合港湾としての地位を向上させており、輸出入貨物の取扱量でも全国一の規模を誇っています。輸入貨物で多いのは、中部圏の製造業を支える原材料やエネルギー、輸出貨物としては自動車部品や完成自動車などがメインです。したがって、こうした貨物を取り扱うための大規模な倉庫や物流施設が、名古屋港周辺には集積しています。

もう一つの物流施設の集積地は、小牧周辺です。このエリアは、東名高速道路と中央自動車道が小牧JCTで、また名神高速道路と東海北陸自動車道が一宮JCTで結節する交通の要衝です。また、小牧ICから名古屋高速小牧線を活用すれば、名古屋市内へのアクセスも容易です。名古屋市内を見据えた物流拠点として、さらに東海北陸を含めた中部6県を広域にカバーできる物流拠点として、物流関連企業から非常に評価の高いエリアとなっています。また、名古屋港からの輸入貨物がコンテナのまま引き込まれるケースも多く、名古屋港から陸揚げした輸入消費財を中部エリアへ配送するための配送拠点としての機能も担っています。

小牧エリアがとりわけ物流適地として発展した背景には、小牧市が古くから製造メーカーの企業誘致に努めてきたという歴史があります。製造業の工場立地が進めば、物流施設もそれに付随して増えていきます。また、小牧インターの南側にトラックターミナルが立地し、運送会社が集積していることも大きいでしょう。近くに運送会社が立地していれば、集荷のリードタイムが短縮され、進出企業にとっての利便性がさらに高まります。また、運送会社が集積する地域は、最近の物流業界の主流である3PL業者にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。このエリアへの進出を希望する3PL業者に対して、不動産デベロッパーが必要な施設を供給する。そういった流れが徐々にできつつあります。このような形で業務集積が進むことで、物流適地としての評価はますます高まります。また、マルチテナント型の施設にとっては、物流適地としての知名度がテナント誘致に必須となるため、さらに小牧エリアへの集積が進むという結果になっています。

今挙げた2つのエリア以外に、今後可能性のあるエリアとしては、中部国際空港(セントレア)周辺が挙げられるでしょう。現段階の航空貨物量はそれほど多くありませんが、今後滑走路が増設され、貨物量が増えれば、物流拠点としての重要性も高まってくるでしょう。

既存施設と新規施設の賃貸料の二極化が進む

物流施設の賃料水準は、施設ニーズがこれだけ高いにもかかわらず、ここ数年それほど大きな変動が見られません。それどころか、物流適地といわれる小牧エリアの倉庫・配送センターの平均募集賃料は、2006年の約3000円/坪から2007年は約2500円/坪へと下落しています。しかし、これは相場の下落を意味するものではありません。同エリアは、用地不足により新規施設の供給が少ない上に、今の空いている既存施設は小規模もしくは老朽化が進んでおり、物流施設としての利便性が低く賃料を下げざるを得ないわけです。つまり、新規施設と既存施設の賃料の二極化が進んでいるということ。新規施設の供給が少ない現状では、小牧エリアの新規大型施設に限っていえば、その相場感は3500〜3800円/坪程度になるのではないでしょうか。

全国に比べて預託金が格段に低いのも名古屋圏の特徴です。先ほどもお話ししたように、名古屋周辺ではこれまで、地場の物流会社が自社倉庫を建て、荷主に提供するというスタイルが主流だったため、倉庫を賃貸借するという概念が薄かったり、賃貸借のための預託金が不要だったという背景があります。しかし今後、全国規模の不動産デベロッパーによるマルチテナント型施設の供給が増えてくれば、契約形態も一般化し、預託金は全国値レベルに近づき、また、賃料相場も上昇していくことが予想されます。

次の2年で6万坪分の供給賃貸市場の活性化が予想

2008年から2009年にかけて、名古屋周辺で供給される物流施設は6万坪ほどが予定されています。この面積は賃貸施設のみで、地場の企業が自社で建てる施設は含まれていないため、実際の新規供給はさらに多くなります。現在の名古屋周辺の建設動向を考えると、一時は過剰供給となるかもしれません。

今後、物流拠点の集約傾向が進み、不動産デベロッパーによる大型で使い勝手のよい最新型施設の供給が増えれば、それに伴い既存施設に空きが出る「二次空室」が増えてくることが予測できます。二次空室になるのは、中小規模の施設や老朽化が進んだ施設です。立地さえよければ、そういった物件に対し物流ファンドが参入し、オーナーチェンジや売却、場合によっては建て替えなどが進むことも予想されます。

最後に、名古屋周辺では、物流施設の賃貸市場がようやく動き始めたばかりです。大型で高機能な物流施設の供給が増えるにつれ、市場にどのような変化がもたらされるのか。これから2年間の動向で、それが見えてくるのではないでしょうか。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2008年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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