中之島の地から世界へ、未来医療の産業化
保険の枠を超え挑む、次世代ヘルスケアの共創

国内最大級の機関投資家として、難易度の高い病院やラボを含む「中之島クロス」の開発を完遂した日本生命保険相互会社。今後は自らもテナントとして、イノベーションの渦中に身を投じるという。創業の地・大阪で、彼らはいかにして未来医療という領域をサポートしていくのか。同社ヘルスケアアライアンス担当部長の椎野氏に聞いた。
日本生命保険相互会社
安心の多面体企画部
ヘルスケアアライアンス担当部長
椎野 友介氏
創業の地・大阪から、万博のレガシーを未来へ
日本生命は大阪で創業し、中之島にはかつて多くの社員が学んだ研修所がありました。この地に中之島クロスを通じて戻ってきたのは、運命的な縁を感じずにはいられません。
本プロジェクトは、2025年大阪・関西万博の理念を継承し、医薬の町・大阪の伝統をiPS細胞や再生医療といった最先端技術と融合させ、世界をリードするライフサイエンス産業へと育て上げるという関西経済界の意思が込められています。そのような背景もあり、当社は、大阪府・市、そして経済界が一体となって推進する「未来医療の産業化」という目的のための施設をつくる「開発事業者」として、京阪ホールディングス株式会社様、関電不動産開発株式会社様と共同で、中之島クロスという非常に難易度の高いプロジェクトに挑みました。
人生100年時代への挑戦、ヘルスケア事業の進化を目指す
さて、当社は自らが開発・所有し、運営母体である未来医療推進機構に賃貸した建物の一部(8・9階)を、再びテナントとして借り受けてもいます。私たちはまずここを、日本生命のヘルスケア事業を進化させるための場と位置づけることから始めました。
日本生命は「誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会の実現」を目指して、お客様の万が一のリスクに備える保険サービスを提供しています。しかし人生100年時代と言われる今、病気になってからお金をお支払いするだけでは、お客様への貢献としては十分ではありません。病気にならないための予防、早期発見、そして健康寿命の延伸。私たちは今、こうしたヘルスケア領域に力を入れています。
私たちが提供している「Wellness-Star ☆(ニッセイ健康増進コンサルティングサービス)」※のようなヘルスケアサービスをより進化させるには、社内のリソースだけでは限界があります。同サービスには糖尿病を予防するプログラムや、早期に緑内障を発見するためのVRゲームを活用した簡易視野チェックなどといった、実に多様なラインナップがございますが、いずれもお客様の生命、人生に関わる分野です。「なんとなく健康に良さそう」というサービスでは通用しません。
そこには高度なサイエンスに裏付けされた確かな根拠が必要です。そのような知見を持つアカデミアの先生方、それを具体化するための革新的な技術を持つスタートアップ企業様、医療機関様などとの協業が、非常に重要となってきます。
※企業や保険者における健康増進の取り組みを、分析から予防策までトータルで支援する日本生命のサービス
多様な知が交わるキャンパス、CICと協業し世界と接続
こうしたヘルスケア事業の展望とともに、「未来医療国際拠点」としての施設づくりに、どのように貢献していくかという視点もあります。中之島クロスにはすでに最先端の研究機関や企業が集っており、ウェットラボを構えるフロアもあるなど、研究開発環境が整っています。このような中、我々は8・9階の運営において、どのような役割を果たせるのか。検討を重ねた結果、健康寿命の延伸に寄与するという大きな目的のために、幅広くライフサイエンス分野に関わるスタートアップや研究機関、自治体、投資家、企業が集まり、交流できるイノベーションキャンパスを開設することにしました。
運営にあたっては、このような拠点を形成した実績、そしてグローバルな知見も持つCIC(Cambridge Innovation Center)様と協業し、世界との接続点としての機能を強化していきます。私たち日本生命自身も、コミュニティの中に入り、当社のリソースと利用者様の知見・技術を結び付けていきたいと思います。
万博レガシーの社会実装を推進し、関西のライフサイエンス産業をより発展
中之島クロスのプロジェクトに携わり始めた当初から、私はこの事業に備わった3つの巡り合わせを強く感じていました。まず、万博という世界が注目する「絶好のタイミング」。大阪・関西万博で当社が「人生ゲームREBORN in 2050みんなのチカラで、未来をすすめ。」において表現した未来社会を中之島につなげていきたいと思っています。次に、大阪・中之島という歴史と無限の可能性を秘めた「最高の舞台」。そして、産官学医の志ある方々の熱意と、CIC様のような世界的パートナーとの「強固な連携」です。これらすべての要素が奇跡的に結実した今、関西のライフサイエンス産業をグローバルに発展させる準備が整いました。万博のレガシーの社会実装をここ中之島で推進し、世界へ発信することで、大阪・関西・日本全体の経済活性化を図り、日本の未来を明るく照らすプロジェクトの一翼を担えることに、私は大きな誇りと責任を感じています。


