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万が一の災害において"逃げ込める街"、六本木ヒルズ

森ビル株式会社
広報室 副主事 竹内 州

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ディベロッパーの責任として安全・安心を前提とした再開発

リスクに強い拠点づくり:六本木ヒルズ

当社は1959年の設立以来、総合ディベロッパーとして、再開発という手法で都市基盤の再構築を行ってきました。これは言うなれば街づくりであり、我々の街づくりには3つの重要なテーマがあります。ひとつは、緑化による自然との共生や都市の低炭素化といった「環境と緑」、もうひとつは創造力と可能性を育む街を目指す「文化・芸術」、そして、もっとも重要だと考えるのが「安全・安心」です。これは街づくりの核となるもので、人々が安心して暮らせる安全な都市基盤を作ることこそが、再開発、ひいては社会貢献の第一義であると考えているからです。その最大の動機は、東京の街のインフラやエリアの構造が防災面でいまだ脆弱であるということであり、これを再開発によって安全な街に作り変え、東京の都市としての国際競争力を高めることが我々の仕事の大儀だと言えます。

六本木ヒルズを例にご説明すると、開発前の当地は低層の戸建住宅がひしめき合っていたエリアで、道幅も狭く、車が止まっていると車両の行き違いもままならない状態でした。つまり、万一の時に消防車も救急車も入り込めないような、防災的には脆弱な街だったのです。このエリアを一体的に再開発したのが六本木ヒルズでした。

具体的には、戸建の建物を高層棟に集約させることで、足元に広くて緑があふれる空地を取ったり、広い道路を通したり、生活の基盤となる都市インフラを整備することができます。東京の限られた土地を、有効に活用するには、低層を面的に広げるのではなく、高層に積み上げて立体的に活用することが、もっとも合理的な方法なのです。我々が理想とする、こうした在るべき都市の姿を『ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)』として、環境面でも安全面においても課題に応えられる都市のあり方として提唱しており、当社の開発すべてに共通する理念となっています。

新耐震レベルを上回る免震・制振構造の積極導入

また、建物自体の安全性を支えるのが、最新の耐震、制振構造です。例えば、六本木ヒルズでは2種類の耐震装置を組み合わせて導入しています。そのひ とつが「セミアクティブ型オイルダンパー」で、建物内の356ヵ所に組み込まれています。もうひとつの「アンボンドブレース」も似た形状ですが、こちらは 地震の揺れを受けた時に、あえて鋼材を伸縮させることで揺れの力を逃がすという構造体で、192ヵ所に設置されています。

今回の大 地震の際にも、これらの装置のおかげで最上階においても片幅25cmの揺れ幅で済み、51階のレストランでは食器もグラスも割れませんでした。また、現 在、当社が所有・管理しているビルはすべて、新耐震レベル以上の性能を担保しており、比較的古い物件でも改修・リニューアルの際に、構造的な安全性をアッ プデートしてきています。こうしたハード面での耐震性は、安全・安心を担保する欠かせない要件として重視し、街づくりを推進しています。

災害訓練・備蓄・災害用井戸などソフト面でも万全の態勢を確立

当社の開発は、建物などのハード面の拡充と同様に、ソフト面において安全に配慮した取り組みを重視しています。安全・安心な街づくりとは、突き詰め れば就労者や住人、利用者など、人の安全をいかに守り、企業活動や生活をいかに継続するかであり、そのためにはソフト面の充実は欠かせません。

六 本木ヒルズにおける、その具体的な取り組みをご説明しましょう。六本木ヒルズ内には当社の社員約1,400人が働いていますが、震度5強以上の地震が発生 すると自動的に震災組織体制に移行し、全員が通常業務以外に割り当てられている災害時用の役割、例えば施設やテナントの状況確認、復旧作業などを遂行する ことになっています。3月11日には14時46分の地震発生後、15時8分には通常業務をストップし災害時の組織体制に移行し、様々な活動をスムーズに実 行しました。これは年2回行っている全社規模の震災訓練の成果が効果的に発揮されたものと思います。また、ヒルズ近隣2.5km圏内に約200戸の防災社 宅を設け、この社宅を利用している社員は必然的に防災要員として、災害発生時には昼夜を問わず駆けつけることが義務付けられています。彼らには年7〜8回 の防災訓練があり、いざという時に動ける人づくりを進めています。幸い当社の物件が港区に集中しているので、その地の利を活かした施策と言えるでしょう。 加えて六本木ヒルズの防災センターには常時社員が詰めており、テナントから何か要請があればすぐに駆けつけられる体制とともに、例えば夜間の地震で震災組 織体制の立ち上げに時間を要するような場合に備えて、365日、管理職クラスが宿直しています。

エレベータについても、保守会社 と の連携により、早期復旧を実現する体制を整えています。災害時には安全のために1度はストップしますが、確認次第各バンクごとに最低1台はできるだけ早く 復旧させる。先の震災時も、作業開始から3時間強で、全バンク最低1台の復旧を実現しています。

手前みそな言い方ですが、こうしたソフト面の努力が、当社の物件の付加価値を高めていると言えるでしょう。施設を作って終わり、というのではなく、その後の安全にまで責任を持つことが、街をつくり、運営していくディベロッパーの責任だと考えます。

そ の他、災害時の情報収集を迅速に行うための「災害ポータルシステム」は、施設や人の被害を瞬時に確認するためのもので、災害時に固定・携帯電話がつながり にくいなか、独自のネットワークにより短時間での対応が可能になりました。また、災害対策用の備蓄品は、六本木ヒルズだけで10万食、当社の施設全体では 20万食と、民間企業では最大級の量を、常時ストックしています。ヒルズには20,000人の就業者に加え、2,000人の居住者がいます。それに一般の 来場者を加えると瞬間滞在人数は3〜4万人くらいになります。ですから、復旧に当たる社員はもちろん、テナントや帰宅困難者への対応も想定し、これだけの 量が必要になるのです。備蓄品は食料品や飲料だけでなく、医薬品、簡易トイレなどが揃っています。先の震災時もテナントや帰宅困難者も含め、約1,500 人分を配布しました。さらに六本木ヒルズをはじめとする各施設13ヵ所に、水が止まったときのための災害用井戸を設置しています。

非常に安定した電源供給体制を確立

日本国内の企業では、これまで、停電のリスクはほとんど考えられてきませんでした。しかし、今回の震災では、電力制限の影響もあり、BCPの観点か らも改めて電力確保の重要性が再認識されたようです。一方、外資系企業は、かねてから電源供給の安定性に関してかなり気を使っていました。そこで六本木ヒ ルズでは、外資系テナント誘致の営業戦略として、当初から3重のバックアップシステムを持った電源供給を行っています。通常時は都市ガス(中圧ガス)を利 用したタービンによる発電。万が一の故障、ガスの供給停止の場合には東京電力からの供給に自動で切り替わり、さらに両方がストップした時には、灯油による 非常用発電機による保守電源の確保が行われるのです。当社は特定電気事業の認可を受けており、今震災後は、各テナント様が積極的に節電を実施したこともあ り、余剰電力を東京電力に提供することもできました。

こうした設備は、特に企業のBCPの担保に貢献し、図らずもその真価を発揮 す ることになりました。この経験から、すでに現在進行中の「虎ノ門六本木プロジェクト(2012年竣工予定)」では、非常用電源のあり方について検討を行 い、通常時の東京電力からの受電に加え、非常時にも事業継続が維持できるレベルとして、都市ガス(中圧ガス)を燃料とする非常用発電システムを急遽導入す ることにしました。従来の一般的なオフィスビルにおける非常用発電設備では、避難用照明や最低限の保安負荷のみを供給対象としますが、当システムでは、オ フィス執務室内のOAコンセントや照明、空調など専用部への電力供給も含め、想定最大使用電力の約85%を供給可能であり、入居企業の安定的かつ継続的な 事業活動を強力にサポートできます。

民による防災拠点のさきがけとなる"逃げ込める街"六本木ヒルズの真価

当社が独自に行った「震災後のオフィスニーズに関する意識調査」によると、新規賃借理由では、初めて「耐震性能」が「賃料」を抜いてトップになり、 また、選定基準では「非常用発電機の有無」「地理特性」を考慮する企業が5割に達しました。それだけ企業の意識が大きく変わったということです。

当 社は今後も、この方針に基づいて、逃げ込める街づくりを継続してまいります。また、政・官・民の連携により、都内にこうした防災拠点がいくつもできれば、 より安全な首都になっていきます。それにより東京全体の防災都市としての強さが高まることが、東京の、ひいては日本の国際競争力を上げることになると考え ています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2011年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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