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3.11で明らかになった日本型BCPの課題

  • 2011年9月1日

株式会社日本政策投資銀行(DBJ)
環境・CSR部 蛭間 芳樹

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東日本大震災におけるBCPの実際

2011年3月11日に発生した東日本大震災が引き起こした災害や障害は、様々な形で「想定外」の事態をもたらした。我々の日々の生活や経済活動が、「暗黙の前提」の上で成立していることを痛感した人も多いはずだ。

さて、最近よく耳にする事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)と「事業継続管理」(BCM:Business Continuity Management)。事業継続の手段として、あらかじめ不測の事態に直面した状況を想定して具体的な施策を計画するものがBCPであり、BCPの運用、周知、訓練、見直しのPDCAサイクルを実現するものがBCM、というのが一般的な定義である。企業等の組織が災害、事件、事故に直面すると、その被害により平時の業務の中断を余儀なくされるが、BCMとは、こういった組織活動の中断を軽減し、かつ、早期に回復するための経営マネジメント戦略であると言えよう。中断を防ぐ即座の対策や早急な復旧のための対策や対応体制がとられることとなるが、このような緊急時の対応の準備は平時から実施しておく必要があり、また、事業の水準維持のためには、平時有事の対応がルーティンワークとして社員の通常業務に組み込まれているような状況が望まれる。

このBCP、国は平成28年度までに大企業で100%、中堅中小企業で50%の普及を目標としているが、いまだ普及途上にある。法人の本所・本社・本店の地震防災活動対策強化・推進地域等への所在状況別のBCP策定状況では、首都直下地震の関連都県に所在する法人の「策定済み」が最も高いものの、それでもいまだ半数の達成度であるし、大きな被害が想定されている地域でもBCPの普及が低いことが分かる。

このような社会環境下で発生した今般の大震災。各企業は、震災以前にBCPを策定していた/いないにかかわらず、うまく対応できたのだろうか。DBJでは2011年5月〜6月にかけ、①既存の防災・事業継続の取り組みの効果を検証すること、②将来に向かって克服、改善していくべき点を検討し、事業継続力向上のためのパス(要件)を提示することを目的とした調査を行った。首都圏、関西圏、東北圏を中心に、29社に対し主として企業の危機管理を所管する部署(現場の指揮官やリスク管理責任者)を対象に、アンケート及びヒアリング形式で調査している。

下図に、企業の防災・事業継続に関する改善点の調査結果を示した。今回の震災は大規模・広域的であったことに加え、原発事故・電力供給の問題が長期にわたるなど、企業に予想以上の影響が生じた。そのため今後の改善点として、BCPの内容(想定シナリオや目標復旧時間)、自家発電の確保、防災訓練の内容、防災用資機材の確保、安否確認体制、救急救命訓練を受けた人材の確保・育成、などについて、「大幅な見直し」「一部の見直し」が必要と考える企業が多いことが分かった。

企業の防災・事業継続に関する改善点

他方で、普及しつつある我が国BCPには、組織の危機管理において本質的に欠落している観点があった。本来BCPは、リソースベース(人、カネ、モノ、情報等の経営資源)で考えることで、従来の防災対策、災害対応でカバーできない、もしくは手薄になりがちな部分に対応できるものだ。被害の原因を特定せず、組織にとって最悪なシナリオ/状態/状況を出発点として、その対応に必要な経営資源を死守し、重要業務の継続と社会的責任を果たすという思想である。しかし、ほとんどの企業は、BCPを特定のシナリオ災害に対応すべく策定された防災計画の延長線上に位置づけているため、社長が記者会見で、「想定外」と言わざるを得ない状況が多発することは必然であった。今震災でも、BCPの策定有無を問わず、有事の対応プログラムが有効に機能したと言い切れる企業はそう多くはなく、現場力で急場をどうにか凌いだというのが実態ではないだろうか。「想定外」という言葉が多用されているが、そもそも危機管理に想定外はあってはならない。本来の意味での危機管理とは「いかなる脅威に直面した時にも、企業は何を優先し、どう対処すべきか」の意思決定であり、社会的責任(=供給責任)を継続することにある。「起きないはずの事態なので、それに対する対策はない」、ということで免責される時代では、残念ながらなくなっている。想定外をいかに発生させないかが危機管理の要諦であり、想定外を想像できる人材の有無が、その組織の危機管理の運命を握っていると言えよう。リソースベースの観点をBCP策定プロセスに取り入れながら、次に迫る大災害への準備を行う必要がある。

求められるBCPの観点を導入したオフィスビル

選択と集中、IT化、ジャスト・イン・タイム、フラット化、ネットワーク化といった概念が、組織や社会にもたらしたメリットはよく知られているものの、それらのシステムやシステム間の相互依存関係が有する脆弱性についての認識はあまり進んでいなかった。震災等のリスク回避に向け、国家レベルでは首都機能のバックアップ、企業としては本社機能のバックアップや工場等の生産拠点の分散配置、調達先の分散化を図る動きが、これまで以上に模索されることになろう。これは、代替機能(セカンドソース)を同時被災しない距離に設置し、分散のメリットを効かせる方策である。他方、事実上分散を実施できないリソースは、あらゆる主体で、よりレジリエンス(耐力/回復力)のあるBCPの策定が進むことは想像に難くない。被災地域の拠点病院として災害医療及び通常の医療サービスを継続すべく、BCP病院の着工がはじまった事例もある。あらゆる業界で個としてのBCPが求められるだろう。

さて、賃貸オフィスビルのマーケットに目を移してみても、テナントサイドからの「耐震性能の優れたビルに移転したい」「防災体制やバックアップ体制の優れたビルに移転したい」との声は、当然増加していると聞く。今震災に伴い、耐震等のハード面のみならず、オーナーサイドの管理・運営といったソフト面を含めた防災対応に優れたオフィスビルへのニーズが高まったことがうかがえる。これが一過性のものか否か、現時点では判断しかねるが、オフィスビル選定のポイントとして、BCPの観点や、入居ビルの防災対応の重みが増してくることは間違いないだろう。DBJが行った調査・ヒアリングの中で、次代のオフィスビルに要求されると考えられるBCP機能を列挙する。

  • 構造物の揺れへの対策(耐震/免震/制震)や液状化対策は当然の前提となり、
    加えて設備・オフィス機能の耐震化が施されているビル
  • 長周期地震動対策が施されているビル
  • いかなる状況下でも自立稼働できるビル(非常用電源や太陽光発電の設置を検討)
  • エレベーター対策(P波検知で最寄り階に停止)とサバイバル用品が設置されているビル

企業の事業継続力を評価するDBJ防災格付へと進化

DBJは、内外の金融秩序の混乱や大規模災害等の危機発生時において、危機の被害に対処するために必要な資金を供給する「危機対応業務」を行っており、足元ではリーマンショックに端を発した金融危機対応、そして今般の東日本大震災においても全行を挙げて対応させていただいているところである。

一方、プロアクティブな企業の防災対策・事業継続対策を推進すべく、平成18年4月に「DBJ防災格付」融資の運用を開始し、企業の防災力向上を金融面で支援してきた。本制度融資は、DBJが開発した独自の評価システムにより防災対策への取り組みの優れた企業を評価・選定し、その評価に応じて融資条件を設定するもの。平成22年秋頃より本商品の見直しを図っていたところ、東日本大震災が発生した。これまでの実績と経験に加え、欧米等のBCM規格等を参考にしたほか、東日本大震災を踏まえた個別企業への緊急ヒアリング(前掲調査に同じ)を行い、評価システムの内容の大幅な見直しを行っている。具体的には、従来は、主に発災前段階における予防策に重きを置いていたものの、新「DBJ防災格付」は、発災後の企業の迅速な復旧活動を含む事業継続の取り組みに重きを置いた設問体系へと大幅にリニューアルしており、予防だけに留まらず、危機事案発生後の戦略・体制等を含めた企業の事業継続活動を総合的に評価する内容となっている。「防災格付」の専門手法を導入した世界で初めての融資制度。金融の視点からの客観的なスクリーニングを受けることで、自社のBCPを見直すきっかけにしてみてはいかがだろうか。

  防災格付 新・防災格付
評価の着眼点 防災(生命安全・資産保全) (防災対策を前提とした)重要業務の継続/早期復旧
評価領域 本社、工場等の事業所 サプライチェーンを含んだ業務プロセス
評価ポイント 防災対策 ・事業継続計画の策定内容(深さ、範囲)
・事業継続管理体制の整備状況
・欧米のBCM規格、ガイドラインも加味
ランクの刻み 3段階 5段階

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上記内容は オフィスジャパン誌 2011年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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