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“マッカーサー道路”周辺エリア 新橋・虎ノ門

約60年の長きにわたり幻と言われてきた環状2号線新橋−虎ノ門、いわゆる「マッカーサー道路」が、今春ついに開通することになった。なぜこれほどまで時間がかかったのか。それがどのように完成に至ったのか。そして今後、周辺エリアにどのような変化が起こるのかをレポートする。

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地元の期待を背に、 ついに開通する「マッカーサー道路」

見上げれば空が大きく広がる幅員40mの道路。片側1車線の車道の両側には、美しいインターロッキングを施した13mもの幅を持つゆったりとした歩道が走り、季節を彩る高木の植栽が2列に立ち並ぶ。沿道のビルの1階部分には一流ブランドのショップや、おしゃれなオープンカフェが軒を連ねる。

通りを行き交うスーツ姿のサラリーマンの傍らでは、近隣の住民が井戸端会議に興じ、その横をベビーカーを押しながら散歩する夫婦や、ウインドウショピングを楽しむ若いカップルが闊歩する。

それぞれが自由に往来しても、お互いの妨げにならないゆとりのある空間では、時に地元住民と行政、さらに企業を交えた多彩なイベントが催され、和やかな笑顔を紡ぎ出す。そんな賑わいと憩いに満ちた素敵な街並が、近い将来、それも都心の真ん中に出現するかもしれない。

場所は霞が関ビルをはじめ、官庁街が広がる虎ノ門から、新橋駅の南、汐留のオフィス街に至る国道15号線(第一京浜)までの約1.4kmの区間。かねてより完成が待たれながら、60年以上にわたって日の目をみることのなかった、幻とも言われていた通称「マッカーサー道路」である。

はじめに道路ありき 紆余曲折の建設計画

「マッカーサー道路」は環状2号線の一部に当たる。もともとこの道路は、関東大震災後に当時の内務大臣兼帝都復興院総裁であった後藤新平により、帝都復興計画の一部として立案されたが、議会の反対によって計画が廃止された。しかし、第二次世界大戦後まもない1946年、環状2号線として新橋から赤坂、四ツ谷を経て神田佐久間町までの約9.2kmを結ぶ、幅100mの都市計画道路として事業化が決定した。当時、幅員100mの都市計画道路は、全国に24本計画されていたという。

その後、1950年に幅員40mに変更されて事業化が進行。神田佐久間町から虎ノ門までの区間は「外堀通り」として供用されていたものの、虎ノ門−新橋間は未供用のまま約60年にわたって工事を着工できないままになっていた。

その理由は用地買収計画が難航したことにある。虎ノ門の官庁街や新橋のビジネス街に近いことから、商業用地としての価値が高かったことに加え、長年住み続ける地域住民も多い。事実、規制により計画区間は3階建てまでの建物しか建てられなかったにもかかわらず、土地・建物の所有者やその借家人を加えると、権利者は約950名にものぼった。その中の多くの人々が移転を拒んでいたのである。

ちなみに「マッカーサー道路」という俗称がついたのは、終戦直後にGHQがアメリカ大使館から竹芝桟橋に至る大道路を計画しているという噂が流れたことから、など諸説が伝えられているが、その真偽は定かではない。

一方、豊洲・有明などの臨海部の開発が進んでいることを受け、都心部との連携を強化することが急務となり1993年、環状2号線は新橋から有明までの4.7kmを延伸し、計約14kmにすることに都市計画が変更された。これにより、虎ノ門−新橋間の整備は待ったなしの状況となっていた。

こうした混迷を打破する起爆剤となったのが、1989年に創設された「立体道路制度」である。従来、道路の上には建物を建設することはできなかった。だが、この制度により、それが可能となったのだ。具体的には、環状2号線の本線部を地下(トンネル)化し、地上部に住民の受け皿となるビルを建設するという、新たな市街地再開発事業として2002年事業計画が決定。2005年に着工。あとは2014年3月の開通を待つのみとなっている。この制度を導入したことで、バブル期には2兆円以上と試算された用地取得費用が大幅に軽減されたことは、想像に難くない。

①再開発が計画されている虎の門病院②虎ノ門ヒルズ下から地下トンネルに入る環状2号線③変電所通り付近から汐留方面を望む④日比谷通りと新虎通りの交差点に位置する3東洋海事ビル⑤2011年3月に竣工した㈵街区・新橋プラザビル⑥環状2号線地下部から第一京浜にアクセスする新橋ランプ⑦今年3月に稼働を迎えるトラスコ中山の新東京本社

2つの新たなスキームを導入 東京を代表するシンボリックな開発

竣工:2014年5月末 開業:2014年6月11日

竣工:2014年5月末
開業:2014年6月11日

改めて、最終的な事業計画を整理してみよう。今回の再開発は道路、及び主要な街区の建物の建設は東京都が施行者となり、具体的な街づくりについては港区と、役割分担がなされている。本線となる道路は虎ノ門から汐留を抜けて現在の築地市場までの約1.84kmがトンネル区間となっている。また虎ノ門から新橋駅付近までの地上部分は、冒頭に触れたとおり約1.4kmもの美しい並木道となる。

周辺エリアは3つの街区に分割して順次開発されてきた。今回の開発に際して東京都は、民間との協働による2つのスキームを導入。1つは「事業協力者方式」。建築物の企画、建設、運営のノウハウに優れた民間事業者が、東京都や権利者のパートナーとして早期から開発計画に参画し、事業を円滑に進めるためのものであり、都施行の再開発事業では、今回初めて導入された。Ⅰ・Ⅱ街区は西松グループが、Ⅲ街区は森ビルが担当している。もう1つは「特定建築者制度」で、再開発ビルの建設と保留床の処分を、施行者に代わって特定建築者が行う制度である。こうした制度を活用して、Ⅰ街区には地上16階建て延床面積約14,000㎡の、Ⅱ街区には地上21階建て延床面積約16,000㎡の、それぞれ住宅やオフィス、店舗、公益施設の複合ビルが、すでに完成している。

そしてⅢ街区には、今回の再開発事業の中心でもあり、象徴的な存在となる「虎ノ門ヒルズ」が今年6月の竣工を目標に現在、工事中だ。完成すれば地上52階、地下5階建て、高さ247mと、都内2番目の高さの超高層ビルとなる。内部には店舗やオフィス、住宅、高級ホテルに加え、国際会議にも対応するカンファレンスが備えられ、まさに施行者である東京都が目指す「国際的な企業が集まるビジネス街」にふさわしい、シンボリックな施設と言えるだろう。

虎ノ門に誕生する超高層複合ビルから、新橋へと延びる遊歩道のような並木道は、公募により「新虎通り」と名付けられた。歩道部分の整備には、あと1年程を要する予定だが、完成すれば、商業的には銀座通りや表参道にも匹敵、あるいはそれ以上のポテンシャルを持つ可能性が広がっている。

景観を左右する街づくり計画 区と事業者の連携が鍵

再開発区域

2012年6月撮影(提供:東京都)

だが、問題がないわけではない。その1つが現状の街並である。開発が始まる以前、そこは住居や店舗、事務所など、270の建物がひしめく裏町であった。当然、道路幅も狭く、現在残っている沿道の建物も、180㎡弱の敷地面積しかないものがほとんど。その約6割が築30年以上の旧耐震基準のまま。しかも元来道路ではないところに道を通しているため、現在の通りはビルの裏側ばかりが建ち並んでいるといった格好だ。一歩間違えば、寂しげな街に人通りのない広い道路が通る、閑散とした景観になりかねない危険性を孕んでいるのも、また事実なのである。

こうした状況を踏まえ、港区では地元の「まちづくり協議会」や町会等と話し合いを行い、2012年に、街の将来像やまちづくりの方向性を示す「環状2号線周辺地区まちづくりガイドライン」(以下ガイドライン)を策定している。

ガイドラインでは、新虎通りを挟む南北の広域エリアを、その街の特性に応じて「虎ノ門エリア」「新橋西エリア」「新橋駅前エリア」「愛宕・慈恵医大周辺エリア」「新橋南エリア」の5つに分け、新虎通りのある「環状2号線沿道エリア」を、各エリアの結節軸となるシンボルストリートと位置づけている。

そして、このエリアが東京の顔となる、国際競争力を備えた賑わいのある街並となるよう、「東京のしゃれた街並みづくり推進条例(東京都)」通称「しゃれ街」に基づく、街並再生の手法を導入。これは、敷地の細分化などで市街地の更新が進みにくい地区に対して、地域の実情に即して柔軟に街区再編を実現していく制度である。

同制度を利用すれば、例えば、地権者が共同でビルを建て替える際、使い道のなくなった道路を潰して敷地に組み入れる、あるいは貫通通路を用意することで上部を建物として利用することが可能になる。また、こうした建て替えに対するインセンティブとして、その道路付けの条件等に応じて、最大1,000%までの容積率の割増が認められる。ただし、こうした建て替えに関しては、最低敷地面積が250㎡以上であることを条件としている。

日比谷通り側から見た新虎通りの将来イメージ

日比谷通り側から見た新虎通りの将来イメージ
(提供:東京都)


2014年2月撮影

2014年2月撮影

また、次世代の東京を象徴するシンボルストリートとなるべく、統一感のある魅力的な街並を形成するために、景観にも配慮している。具体的には

  • 1階部分には賑わい施設として、物品販売店舗やオープンカフェなどの営業もできる飲食店の導入
  • 新虎通りに面する自動車出入口の制限
  • 統一感を出すための80mの高さ制限と、道路境界線からの建物の壁面位置の制限
  • 風俗営業の制限

などが必須項目となっている。

もちろん、実際に建物を建設するのは地権者や事業者であるから、区としては協力をお願いするという立場を取らざるを得ない。だが、こうした規制を守ることが、結果的には街、そしてビル自体の価値を高めることは、疑いようのない事実だ。

できるだけ早く、こうした開発が実現し、冒頭のような街並が出来上がることを願うばかりである。

望まれる交通アクセス拡充 地元の期待は新駅の誕生

虎ノ門ヒルズ地上部完成イメージ(提供:東京都)

虎ノ門ヒルズ地上部完成イメージ(提供:東京都)

また、こうした開発が進むにつれ、新たな課題が浮上している。それは、同エリアを取り巻く交通アクセスのキャパシティ不足の問題である。都心部のビジネス街や繁華街の中でも、最寄駅まで300m以上の距離があるなどの「都心型鉄道不便地域」が各地に存在している。晴海や六本木・西麻布周辺、さらに、これから大規模開発が集中する新橋・虎ノ門・神谷町エリア、つまり新虎通り近辺もそれに当たるのだ。

ここに興味深い資料がある。独立行政法人都市再生機構が昨年3月にまとめた「都市開発と鉄道のリニューアル —東京の国際競争力強化に向けて— 」と題した調査報告書だ。都市再生と鉄道サービスの関連性についての調査だが、その中で「東京都心部における鉄道サービス改善方策に対する一般的な効果検証」と題するケーススタディとして、虎ノ門・新橋・神谷町エリアが取り上げられている。

これによると、現在の虎ノ門駅のピーク時における乗降客数は18,000人/時間、神谷町駅は同15,000人/時間である。これに対して、今後想定されている開発計画が竣工した場合、虎ノ門駅では22,000人/時間、神谷町駅は21,000人/時間となり、それぞれ4,000人と6,000人が増加するとしている。もし、実際にこのようなことになれば、次の列車が到着した時点でも、前の列車の降車客がホームに滞留していることになり、安全性の低下や、運行の遅延を招く可能性が高くなるのは想像に難くない。利用客のストレスも当然高まってくるだろう。

同調査書では、その改善策として3つの方策をシミュレートしている。具体案と発生する費用は次のとおりだ。

また、昨年9月には、民間事業者が新駅や自由通路の整備を行う際に、国が費用の半分を補助する新たな支援制度創設を検討するとの新聞報道があった。整備計画の推進に向け、こちらも追い風になるものと思われる。

ちなみに、こうした整備を実施する際の開発事業者と鉄道事業者との連携は、一般的に1.協議会等での調整を踏まえた整備、2.行政からのインセンティブにより開発事業者が整備、3.基金を活用し、鉄道駅の整備に充当、4.行政、開発事業者が鉄道事業者へ請願する整備、5.鉄道事業者が単独で整備、の、おおむね5つのパターンが挙げられる。どの手法であれ、地元の住民やワーカーが、もっとも期待しているのは新駅の誕生だろう。次世代に向けたシンボルストリートを目指す港区にとっても、国際的なビジネス街を標榜する都にとっても、当エリアにおける交通アクセスの都市基盤整備は避けて通れない課題となる。実現に向けた具体的な動きが待たれるところである。

  • 駅の改良:虎ノ門駅の出入口新設(2億円)。神谷町駅の昇降施設改札口の新設(20億円)
  • 日比谷線の新駅設置(120億円)
  • 虎ノ門駅〜Ⅲ街区間の地下通路整備(35億円)

また、昨年9月には、民間事業者が新駅や自由通路の整備を行う際に、国が費用の半分を補助する新たな支援制度創設を検討するとの新聞報道があった。整備計画の推進に向け、こちらも追い風になるものと思われる。

ちなみに、こうした整備を実施する際の開発事業者と鉄道事業者との連携は、一般的に1.協議会等での調整を踏まえた整備、2.行政からのインセンティブにより開発事業者が整備、3.基金を活用し、鉄道駅の整備に充当、4.行政、開発事業者が鉄道事業者へ請願する整備、5.鉄道事業者が単独で整備、の、おおむね5つのパターンが挙げられる。どの手法であれ、地元の住民やワーカーが、もっとも期待しているのは新駅の誕生だろう。次世代に向けたシンボルストリートを目指す港区にとっても、国際的なビジネス街を標榜する都にとっても、当エリアにおける交通アクセスの都市基盤整備は避けて通れない課題となる。実現に向けた具体的な動きが待たれるところである。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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