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秋葉原UDXの戦略

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2006年9月5日

ビル内ワーカーへの付帯サービスのみならず
都市生活者や街を訪れる人々にとって魅力ある店舗集積を具現化する
秋葉原UDX店舗フロア「アキバ・イチ」

NTT都市開発株式会社
開発推進部 担当部長 楠本 正幸

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都市生活者のための快適な街の機能を提供する

当社は1986年の設立以来、オフィスビル開発を事業の柱としてきましたが、単にオフィスを貸し出すだけではなく、付帯サービスとしての商業施設の重要性にも、早くから着目してきました。1989年に竣工した当社の代表的なビルの一つである「アーバンネット大手町ビル」は、商業や飲食の機能を組み込んだ最初の本格的な開発でした。当時、大手町・丸の内界隈には商業や飲食の施設が少なく、昼食の場所をビル側が用意すべきだろうということで直営のカフェテリアを設置したり、最上階には接待や会食に利用できるグレードの高いレストランを誘致したりしました。当時としては新しい試みで、ビル内のみならず周辺からも、かなりの集客がありました。その後も、地下鉄大手町駅に連結した「大手町ファーストスクエア」や、住宅地に近接する立地であり施設内に劇場やアートギャラリーを有した「東京オペラシティ」など、エリア特性に見合った商業機能を、オフィスビル内に開発してきました。

どのプロジェクトにも共通するのは、ビジネスワーカーに代表される都市生活者のライフスタイルに合致した街の機能を、商環境という形態で提供していくということです。気持ち良く働けるかどうかは、オフィスの近くで食事や買い物ができるということも含め、周辺が魅力的な環境であるかどうかに大きく左右されます。周囲に刺激があれば人が集まりますし、情報も集まる。最近では、そういったエリア環境が企業活動にもプラスに働くという認識が高まってきており、企業立地の重要な判断基準になっていると感じています。

低層部の商業ゾーンを開放し街との一体化を図る

秋葉原UDX

今年3月に竣工した「秋葉原UDX」は、秋葉原という街の特性を活かし、文化と産業の発信地として開発されたオフィスと商業施設からなる複合ビルです。地上22階、地下3階建で、そのうち低層部(1~3階)が飲食を中心とする商業ゾーン、4階がアニメやデジタルコンテンツ等の情報発信フロア、そして高層部(5~22階)がオフィスゾーンとなっており、加えて地下部に約800台収容という大規模な駐車場スペースを有しています。

することを目指し、2002年に払い下げを実施。当社と鹿島建設、ダイビルの3社で構成するUDXグループが事業者として選定され、直ちに企画設計をとりまとめて翌年より工事がスタートしました。

当時、秋葉原はオフィス立地としてはほとんど認識されていませんでしたが、近年、つくばエクスプレスの開通や秋葉原文化の評価の高まり、また「電車男」等によるメディアの影響からかイメージが一変すると、オフィス立地としても独自の地位を確立するようになってきました。当初の不安をよそに、現在、当ビルのオフィス稼働率は100%近い実績をあげています。

開発にあたっては、秋葉原の魅力を損なわないよう、街との融合を第一に考えています。都内の他の再開発地域と違う点は、秋葉原の周辺の建物はせいぜい20~30mの高さで、その間を細い路地が縦横に走るヒューマンスケールの街だということです。そのようなところに、周辺とは関係なく建つ高層ビルを開発すると、足元が非常に殺風景になってしまいます。そこで、ビルを周辺の街並みと一体化させるために、オフィス部分を地上20mの高さに持ち上げ、低層部を大きな吹き抜けの空間にして街に開放し、そこに商業施設を始めとする街に必要な機能を収容する構成にしているのです。スーパーマーケットやカフェなどの路面店が並ぶ1階や、2~3階のレストラン街が、路地のような、良い意味で雑多な雰囲気を醸し出しているのはそのためです。加えて、将来、周辺の開発が進んでいくことも見越して、時代に合わせて低層部の構成を変えていくことが可能な作りにしています。

秋葉原UDX

一方で、オフィスビルとしての顔は顔として"凛"とした雰囲気を保つことも重要です。オフィスへのメインエントランスを2階に独立して設置し、さらにオフィスロビーは、直通エスカレータで店舗階を通過した5階レベル。駅前広場から直接デッキで結ぶことで、当ビルの店舗フロアのみならず、秋葉原という街の刺激や猥雑さから動線を適度に隔離し、オフィスビルとしての品格を高めているのです。

秋葉原の街全体の飲食ニーズを担う

低層部の飲食店街「アキバ・イチ」は、カフェやレストランを中心とする36の商業テナントで構成されています。このゾーンの第一の目的は、もともと飲食機能の少ない街にあって、ビル内で働く人たちのランチ需要を満たすための飲食スペースを提供することなのですが、土日も人で賑わう土地柄、休日の集客も念頭に置いています。

MD戦略としては、どこにでもあるような店揃えではなく、"選ばれた食"を表現するため、初出店や新業態でのテナント誘致を中心に行いました。1~3階の各階でコンセプトを変えており、3階は老舗の名店を中心に落ち着きと上質感を、2階はもう少しカジュアルな雰囲気で一人でもランチを食べられるような店を集め、1階は、街の集客もターゲットに外から気軽に出入りできるような路面店の雰囲気を演出しています。

業績は、店舗によって多少の好不調があるようですが、メニューや単価のちょっとした違いで集客が左右されるという状況に、多くのテナントさんが苦心されているようです。もともと秋葉原に通ってくる人たちは、食事にそれほどお金をかけない人が多いですし、期待していた女性客に対してのアピールがまだ充分ではないといったことも、理由の一つかもしれません。まだオープンから日が浅く試行錯誤の段階ではありますが、店舗自体のコンセプトやメニューを修正したり、夜の需要を掘り起こしたり、ビルやエリア自体の認知度を上げるような販促策を実施するなど、対応を考えていく必要があると思っています。

秋葉原UDX

商業施設の運営における課題は、施設の新鮮さをどう保っていくかということにあります。これまでの経験から、何もしなければビルが古くなる以上に店舗部分の陳腐化が問題になるのは避けられません。秋葉原UDXにおいても、テナントさんが加盟するテナント会と一緒になって、旬の状態を保てるような施設運営を行っていきます。商業施設の魅力がオフィスビルの価値にも影響する今の時代には、これがとても重要なことだと考えています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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