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商業施設の活性化

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2006年9月5日

ビルのブランド力アップに向けて店舗フロアの大規模リニューアルを決断
的確なプランニングとテナント誘致で、来場者数の倍増を実現。

野村不動産株式会社 法人カンパニー
ビル事業部 マネジメント二課 担当課長 井上 一馬
ビル事業部 マネジメント二課 担当課長 柴沼 淳

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商業施設の活性化でオフィスビル全体の魅力化図る

当社が新宿野村ビル商業フロアの大規模改修に着手したのは、2004年春、地下1階の銀行が撤退し、空いたスペースをどうするかという問題が浮上したことがきっかけでした。 元々、オフィスビル内の商業施設は、テナントワーカーの利便性向上を目的とした施設というのが基本的な考え方です。しかし、当ビルの場合、オフィス面積の割に店舗数が多く、ビルで働く人たちを対象とするだけではすでにサービス過剰の状態だという問題がありました。ビル全体の面積が63,000㎡、うち飲食と物販を合わせた商業施設が約8,600㎡と割合にして13%強。オフィス床と商業床との適正比率がどの程度かという指標は持っていませんが、店舗面積のキャパシティがオーバーしていた印象があり、新しい店舗が入居すると、同業の他店舗の売上が落ちるという状態が続いていたのです。

銀行の撤退をきっかけに、二つの選択肢を考えました。空いたスペースをオフィスや他の用途に転用することで商業施設を縮小するか、あるいはビルの外からも集客できるような構造に作り変え、商業フロアの活性化を図るか。検討の結果、後者を選択したわけです。

また、決定理由の一つとして、近隣のビル開発が進んだことで、ビル南側に面する北通りの歩行者数が増えていることが挙げられます。現在のところ1日約2万人程度ですが、今後、当ビルより奥で再開発が進めば、歩行者はさらに増えると予想され、より多くの来場者が期待できると考えました。

改修の最大の狙いは、商業施設を活性化させ外部からの集客力を強化し、最終的にビル全体のブランド価値を高めていくことです。オフィスビルが大量供給された、いわゆる「2003年問題」以降、厳しい市場環境の下で競争に生き残るためには、魅力的な商業施設を武器に、オフィスの競争力を高めていくことが不可欠だと認識しています。

今回、5月にオープンしたリニューアルでは、約9億円の工事費をかけ、地下1階6,700㎡のうち1,260㎡を改修しました。

動線の整備と新規店舗の誘致で表通りから人を呼び込む

新宿野村ビル

地下1階飲食フロアのリニューアルコンセプトは、朝から夜まで人で賑わう場所にすること。朝は出勤前にここで朝食を取り、夜はここで一杯飲んで帰ってもらう、そのような空間を目指しました。

具体的には、飲食フロアの新しい顔として、銀行が撤退した後のスペースにワイズテーブルコーポレーション傘下のイタリア料理店「ピッツァ サルヴァトーレ クオモ アンド バール」さんと、カフェ「ポール バセット」さんに新たに入居していただきました。カフェのポール バセットさんは、銀座店に次いで国内2店目の出店です。

決め手となったのは、若いOLたちを集客できる店であることです。西新宿という場所柄と440㎡という広い面積を考えると、中高年サラリーマン向けの居酒屋系店舗のほうが誘致しやすいわけですが、そういった業態は当ビルにもすでに数店舗入居しており、再び客の奪い合いとなる恐れがあります。私どもとしては、若い女性を呼び込めて、しかも、既存の店舗である「バリラックス」さんや「ラ・ベットラ・ぺルトゥッテイ」さんと、相乗効果を生み出せるような店舗を探していました。

通常、オフィスビル内の店舗誘致では休日の集客力が問題になりますが、今回は既存店舗の実績が大きな説得材料になりました。知名度の高いラ・ベットラさんやバリラックスさんは、休日の売上げが平日を上回ることも多くなっていました。こうした既存店舗での成功が、商業施設としてのビルの評価を高め、テナント誘致に有利に働いたと思います。

新宿野村ビル

また、北通りを通る歩行者を導き入れるため、同通りに面したビルの南側の2ヵ所にそれぞれエスカレータと階段を設置して、地下店舗へ直接アクセスできるよう整備しました。地下の新規店舗の天井部分にも1階外構へ抜ける開口部を設け、表通りから地下の様子が見えるようにしています。こうすることで、通りの歩行者にも地下店舗の存在を知ってもらい、気軽に立ち寄ってもらえるようになったといえるでしょう。

さらに、地下1階の主動線上に、誰でも気軽に利用できるフードテラスを設置。これは、ビル内オフィスのワーカーから、ファーストフードやテイクアウトの弁当を飲食するための共用スペースの設置を望む声があったからで、既存店舗であった「サブウェイ」さんと「ドトール」さんに、互いに隣接するよう移転していただき、飲食用の共用部スペースを併設しました。こういった形態は両店舗とも初めての試みで、運営に関する取り決めなど試行錯誤はありましたが、その甲斐あって、このフードテラスは内外のお客さまに大変好評で、テナントさんの売上げアップにも貢献できたのではと嬉しく思っています。

リニューアル後には表通りからの来場者数が倍増

新宿野村ビル

今回のリニューアルにより、地下商業フロアへの集客力は格段に向上しました。ビル南側からの来場者数は、改修前の4月の調査では1日に約1,800人でしたが、リニューアルオープン後の5月には約3,700人と、約2倍に増えています。改修を行った地下1階だけでなく、サラリーマン向け飲食店が立ち並ぶ地下2階店舗での売上げも伸びており、商業フロア全体への集客に効果があったと感じています。ただ、オフィスビルであるからにはオフィスビルとしての品位や雰囲気を保つことも重要です。オフィスと店舗の入口や動線を別々にするなどして、商業フロアへの集客がオフィスフロアの機能に影響を及ぼさないよう注意を払っています。

このように、オフィスビル内のワーカーを対象とするだけでは店舗経営が難しくなっている現状では、ビル側としてもテナントにただ場所を貸すだけでなく、商業フロア全体のMD戦略や集客・販促策など、施設全体を盛り上げて集客力を高める運営を考える必要があります。そこが事務所だけが入居する一般的なオフィスビルとの大きな違いになります。

賃貸契約においても、ビル側と店舗側双方のメリットを考慮し、固定と歩合を合わせた設定が一般的になりつつあります。店舗の業態にもよりますが、固定賃料を設定し、ある一定の売上げを超えた場合に歩合賃料が加算される、つまりテナントの売上げが上がればビル側の賃貸収入も増える。このような契約方式で、オーナーサイドも店舗経営に、よりコミットする姿勢が求められる時代だといえるでしょう。

また、最近では、エリア間競争も熾烈になっており、西新宿の高層ビル群が一体となって西新宿を盛り立てていこうとする動きも活発になってきています。夏のお祭りイベントを共同でプロモーションしたり、クリスマスのイルミネーション期間の足並みをそろえるなど、すでにいくつかの取り組みが始まっています。ビル単体の価値を高めていくのと同様に、西新宿の高層ビル街全体のブランド価値を高めていくことも、今後は重要になると思われます。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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