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適正店舗占有率とは?

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2006年9月5日

大型オフィスビル内店舗の適正ボリューム(店舗占有率)は如何に?

シービー・リチャードエリス株式会社
東京本社 店舗開発部
商業コンサルティンググループリーダー 遠山 芳博

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もしオフィスビル総面積の「1%」が店舗だったら・・・?

当社調査では、東京23区内におけるオフィスビルの貸室総面積は、約950万坪と試算しています。仮に、この1%が店舗だとすると約95,000坪。これは、広さ約37,000坪の「東京ベイ・ららぽーと」2.5個分にあたります。もう少し絞り込むと、千代田・中央・港・新宿・渋谷区の主要5区におけるオフィス床は770万坪。同様に換算すると、店舗ボリュームは77,000坪と「東京ベイ・ららぽーと」の2個分になります。

昨今、街づくり三法の改正により、郊外に大規模なショッピングセンターを開発しづらくなっていますし、人口の都心回帰現象などを踏まえると、このボリュームにビジネスチャンスを感じる企業も、あながち少なくないのではないでしょうか。

大型・超高層の先駆的なオフィス街西新宿をケーススタディに

東京23区貸室総面積の5.8%、主要5区の7.2%を占め、貸室総面積55万坪強と日本を代表するオフィス街、それが西新宿の姿です。全国的に高い認知度を持つエリアであり、東京のSクラスビル・Aクラスビル((株)生駒データサービスシステムが設定するハイグレードビルの呼称)105棟のうち、約1割がこの西新宿に立地します。店舗進出がなされやすい大型オフィスビルが数多く認められる立地特性であり、進出店舗の事例を集めやすく、さらにエリア内の比較も容易。オフィスビル内における店舗面積の占める割合(店舗占有率)をケーススタディとして求めるエリアとして、絶好といえるこの西新宿で、データを抽出・分析してみたいと思います。

※オフィスビル内店舗とは、オフィスビルに入居する物販、飲食、サービス(店舗フロア内の銀行、スクール、旅行代理店等含む。ショールームは個々に検討)の店舗。

店舗占有率調査の結果ベンチマークは「8%」

西新宿エリア内の大規模オフィスビルで、今回、調査対象としたのは20棟。オフィスビル内における店舗占有率の平均値は「8%」という結果となりました。また、ビルを貸室総面積の規模別に分類し、それぞれの店舗占有率を算出した結果が下記の表です。

貸室総面積規模 1万坪未満 1万坪以上
2万坪未満
2万坪以上 全体
店舗導入率の平均値 7.0% 6.1% 9.7% 8.2%
サンプル数 5 8 7 20
ポイント1

店舗占有率のベンチマークは「8%」

ポイント2

貸室総面積が2万坪以上のオフィスビルにおける店舗占有率は9.7%で、1万坪未満のビルの7.0%や1~2万坪のビルの6.1%に比べ高水準。

西新宿の貸室総面積に対する
店舗導入率のベンチマーク
6.0%(2万坪未満)
8.0%
10.0%(2万坪以上)

 

考察および分析

1. 規模:大規模オフィスビルにおける店舗占有率は、想定外に高い。

イメージとしては、規模が大きくなればなるほど店舗の占める割合が低下するように思えますが、西新宿での調査では逆の結果となっています。その理由として推測されるのは、ビルの知名度・バリューが、大規模ビルとそれ以外のビルとで大きく差があり、それがテナントへの訴求力、出店意欲の強弱に繋がっていると考えられます。また、店舗立地を見た場合、2万坪未満のビル群の立地が、2万坪以上のそれよりも弱く、結果として店舗占有率が低いという面もあります。

2. 竣工年:1982年を境に大きく店舗占有率が低下、展望レストランを展開するビルが減少

  • 竣工が1982年までのビルは6棟、貸室総面積平均は2.9万坪、店舗占有率は9.7%
  • 竣工が1982年以降のビルは14棟、貸室総面積平均は1.1万坪、店舗占有率は6.6%

西新宿の再開発は、1982年までは超大型のプロジェクトが中心で、6棟中5棟のビルの最上階には展望レストラン街が展開されています。1982年以降竣工 のビルで、展望レストラン街を設置している事例は14棟中2棟のみで(上層階ホテルは除く)、同時に店舗占有率も減少しています。地上40階を超える超高 層ビル建設が一服し、展望の競争力が低い最上階の店舗化がなくなった点が、店舗占有率を下げる一因となっているのは間違いないところでしょう。また、西新 宿高層ビル群が有する集客力に起因した、いわゆる"観光ビル"的な側面が薄れ、ビジネスワーカー向け利便施設としての店舗フロアのあり方が強まってきてい ることも、その要因として考えられます。

まとめ

1. オフィスビル店舗占有率

  • オフィスビルに出店するテナント、そして運営するビルオーナーとも、大型オフィスビル内店舗のボリュームは、西新宿の事例にある貸室総面積の「8%」をベンチマークとし、案件毎にご参考にしていただければと考えます。
  • 貸室総面積が2万坪前後ビルの場合、西新宿の事例では店舗占有率の差が特に大きいことから、より踏み込んだ分析・検討が必要と思われます。

2.変化の波

  • 最上階への店舗フロア設置および出店展開は、周辺競合ビルとの展望の魅力度を踏まえ、慎重に検討する必要があります。
  • オ フィスビル間の競争激化による差別化策の一つとして、店舗面積を拡大する戦略を採るビルを昨今目にします。その際は、ただ単純に店舗面積を増やすことがグ レードやバリューを高めるものではないことを念頭に置き、多くの事例に学びつつ、慎重にも慎重を期した対応が必要となります。

3.他のエリアへの汎用性

提示した西新宿のデータが全国的に通用するものか否かは、残念ながら明言できません。交通インフラ、商業環境、集客力等、それぞれの場所で異なる以 上、類似性を見出すのは逆に困難かもしれません。しかしながら、「少しでも参考になる事例が欲しい」との現場の声があるのは事実であり、今回、この西新宿 の事例を"ベンチマーク"としつつ、個々の検証をお願いしたいというコメントに留めさせていただきます。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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