オフィスマーケット比較でまず見てもらいたいのは、今後供給される開発延床面積(濃い緑部分)が、現在のオフィスマーケット(薄緑の四角形)に対し てどのような割合になるのかを示した「総延床面積推移と今後の供給」の作図である。図示した面積が実面積の比率と同様になっており、そのインパクトは一目 瞭然。
この春、中野に「中野セントラルパークサウス(南棟)・イースト(東棟)」の2棟の大規模ビルが竣工し話題を集めているが、これがもちろん中野の濃い緑色部分となっている。もはや、中野のオフィス市場への影響というより、全く新しい業務集積地が誕生したというべきだろう。
これまで都内において、例えば恵比寿や天王洲など大きくビジネス街へと転化したエリアはあるが、今回の中野ほど短期間のうちに膨大な供給が行われた ケースは珍しい。需給バランスの短期的な軟化は仕方のないところであろうが、今後、どのようなビジネス街化が図られていくのかを長期にわたり注目していく べきエリアだといえる。一方、お茶の水エリアだが、中野ほどではないにしろ濃い緑が示す影響は大きい。
ここで、丸の内・大手町と比較してみると、確かに濃い緑のインパクトは大きく異なるものの、2000年の総延床面積である濃緑と四角形全体を比べて みると、ほとんど同じ比率であることがわかる。ここ10年における丸の内・大手町の変貌ぶりは承知の方も多くいると思うが、供給面積のみからの推論とはい え、それと同等の変化が、今後のお茶の水にも訪れると予測することができるだろう。
データの対象エリア面積と範囲
対象エリア | 面積 | 範囲 |
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お茶の水 | 0.67k㎡ | 千代田区神田駿河台・神田小川町 ・神田淡路町・神田須田町一丁目住所 |
中野 | 1.47k㎡ | 中野区中野住所 |
丸の内・大手町 | 1.31k㎡ | 千代田区丸の内・大手町・有楽町住所 |
西新宿 | 1.73k㎡ | 新宿区西新宿住所 |
飯田橋・九段下 | 1.23k㎡ | 千代田区飯田橋・富士見・九段北・九段南住所 |
調査要領
需給バランスの推移 | |
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新規供給 | 対象エリアの貸室総面積のうち、各年1~12月に竣工したビルの貸室面積の総合計 |
新規需要 | 対象エリアの賃貸事務所総床面積に、その年におけるその年における稼働率(100%-空室率)を乗じて、実際にテナントが使用している床面積を算出し、当該年度の数値と前年の数値との差を持ってその年の新規需要とする |
空室率 | 空室率(%)=(エリア内空室面積/エリア内貸室総面積)×100 |
総延床面積推移と今後の供給 | |
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2000年総延床面積(坪)と棟数 | 2000年末に竣工していた賃貸オフィスビルの総延床面積の合計と対象ビルの棟数 |
2011年総延床面積(坪)と棟数 | 2011年末に竣工していた賃貸オフィスビルの総延床面積の合計と対象ビルの棟数 |
2012年開発延床面積(坪)予想 | 当社が把握している2012年以降に開発されるオフィスビルの各延床面積の総計 |
※作図では2011年総延床面積に対して外側に赤地で追記しているが、実際は建て替えにより滅失する面積があるため、2011年総延床面積+2012年開発延床面積予想は将来の延床面積を示さない。