空室率は3%台へ上昇するも、需給タイトなマーケットが継続。
懸念される需要の潜在化
当社調査による2016年9月期の広島市内中心部の空室率は3.3%となり、対前期(同年6月期)比0.5ポイントの上昇となった。テナント需要の潜在化や、新規募集ビルの空室消化に若干時間がかかっていることを背景に、一本調子での空室率低下にストップがかかったといえる。ただし、今期の上昇は一時的な空室増によるもので、テナント需要は引き続き底堅い。また、新規供給も当面ないことから、しばらくは需給バランスがタイトなマーケットに変化はないものと考えられる。
供給面を見ると、7月に竣工した「おりづるタワー」は、希少なロケーションとワンフロア約200坪の大型プレートから竣工後は内覧が増え、順調にテナント誘致が進んでいる。今後の新規供給は、2017年11月、八丁堀エリアに「スタートラム広島」が竣工を予定している。2012年竣工の「トランヴェール広島」以来5年ぶりとなる中心部における大型新築ビルとなるため、非常に注目度が高く、すでにかなりの引き合いがある状況である。
一方、需要面は、引き続き増床や立地改善、環境改善の移転ニーズが多数を占めており、大きな変化は見られない。希望条件を満たす物件がないことや、空室率の低下による賃料上昇により、移転計画を先送りするケースが増加する可能性も否めない。
前向きな動きが続く岡山
岡山市の空室は緩やかに消化されてきている。これは、立地改善や環境改善、新規開設等、前向きな動きが今期も続き、撤退や縮小等の後ろ向きな動きがほとんどないためである。ただし移転件数自体は多くなく、希望する物件がないため、レイアウト変更等、現状で対応する企業が出始めていることが、要因の一つと考えられる。
一方、商業エリアは大きく変わろうとしている。「ドン・キホーテ」の駅前出店、「ドレミの街」の閉館、そして来年2月には「イトーヨーカドー」の撤退など、新旧入れ替わりの時期が到来している。そんな中、岡山市は都市基盤を大きく変える、県庁通りの街路変更を検討している。街路変更は、将来の街の方向性や、人の流れ、商業エリアにも影響を与える。岡山は大通り沿い以外にビルがなく、裏通りに入ると駐車場ばかりで、奥行きのない「張りぼての街」と言われることがある。それを変えられるような街路変更に期待したい。
広島支店 山上 政文・越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000~10,000 円/坪 |
広島駅前の整備が進み、ビジネス環境の改善が進む。中小規模の需要が中心だが空室は引き続き少ない。
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広島駅南 | 9,000~11,000 円/坪 | 面積を問わず、空室は非常に少ない状況が続いてる。広島駅前再開発の完成によるエリアの注目度は高い。 | |
八丁堀・紙屋町 | 9,000~12,000 円/坪 |
需給バランスは引き続きタイトな状況が続く。2017年11月竣工予定の「スタートラム広島」に注目が集まる。
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大手町 | 8,000~9,000 円/坪 |
紙屋町エリアから需要が広がりを見せている。賃料が相対的に安価であることから、空室消化が進んでいる。
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岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 |
リニューアルビルで空室の消化が見られるものの、全体的に動きは落ち着いている。
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岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 |
市役所筋の市役所寄りの比較的安価な物件や、希少な大型空室の消化により、空室率は低下。
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広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,400 円/坪 |
空室情報が市場に出た時点で、すでに他のテナントが検討していることが多くなっており、物件確保には即断即決が必要になっている。
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広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 |
2017年竣工の大型新築物件がある。建築コストや土地価格の要因で、賃料は高水準になっている。
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岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 |
昨年竣工の大型マルチ物件には依然空室がある。来年以降も新築大型物件が竣工予定で、そのため賃料水準は上昇すると思われる。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。