空室率は2期連続で低下。優良物件では賃料上昇傾向も。
大型物件不足が進行
シービーアールイー(株)の調査によると、2017年3月期の仙台市中心部のオフィス空室率は、5.5%と前期(2016年12月期)から0.6ポイント低下した。
空室率低下の要因としては、市内での拡張移転や館内増床、新規開設といった様々な事由が挙げられる。新規開設には、宮城県や仙台市の企業立地助成制度を活用する企業も多く見られ、行政の取り組みが功を奏していると言えるだろう。引き続き、前向きな動きが多く見られ、好調なマーケットであることがうかがえる。
ただし、市内では、100坪以上の床を確保できる物件の数は限られてきている。テナント企業にとっては、優良物件を確保するためにも、移転等に向けた早急な意思決定が求められる。
賃料の二極化が継続
2017年4月末、青葉通沿いに、「野村不動産仙台青葉通ビル」が竣工した。同ビルへ移転した企業の解約物件の募集が始まり、その動向が注目されていたが、まとまった面積を確保できる大型ビルの希少価値は、マーケットの中で予想以上に高く評価され、早々に後継テナントが決まってきている。
また、これらの二次空室が順調に消化されていることにより、他のビルオーナーが、引き続き仙台マーケットは好調であると判断し、優良物件においては、さらなる賃料の引き上げにつながる可能性も考えられる。
仙台では、今後数年間は、新築オフィスビルの竣工予定がない。しかし一方で、築年数が経った物件では取り壊しを検討し始めているケースもあり、今後の供給動向が注目される。
賃料水準の上昇事例は、築浅物件や既存の大型ランドマークビルで多く見られる。中小ビルや築年数を経た物件では、逆に賃料の引き下げキャンペーンを行っているところもあり、いまだ賃料の二極化が続いているのが現状である。なお、築浅の大型ランドマークビルの想定成約賃料は、過去最高値を更新し続けている。
仙台以外の東北主要都市においても、新規開設や増床、郊外の調査エリア外から中心部への移転といった要因により、優良物件の空室が順調に消化されている。空室の消化に伴い、徐々にではあるが、賃料も上昇傾向にある。
仙台支店 後藤 拓己
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,000~16,000 円/坪 |
拡張移転や館内増床、新規開設など引き続き前向きなテナント需要が大型を含め多く見受けられた。一方で大型面積の確保は厳しくなってきており、テナントサイドの迅速な決断が必要となるだろう。
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郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 |
引き続き一定のテナントの需要は見受けられる。空室が枯渇している中、物件確保に向けた動きや競争が継続されるものと思われる。
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盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 |
引き続き、耐震物件を中心に空室が少ない状況が続いている。盛岡駅から北上川までのエリアで、特に空室が少ない。テナントニーズは継続的に見られ、賃料相場は安定している。
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倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 |
東北エリアへ8年ぶりの供給となる大型マルチ倉庫が竣工を迎え、竣工前に約4分の1が決定するなど盛況を見せている。注文建築では、建築費の高騰を顕著に反映した賃料提示が多くなっているが、空室が枯渇している背景もあり、その条件で意思決定する企業が増えてきている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。