グレードA空室率は1%台まで低下。成約賃料の上昇傾向が継続。
市内主要エリアの市況は好調
当社の調査によると、2017年3月期の大阪オールグレードビルの空室率は、対前期(2016年12月期)比0.7ポイント低下の3.2%となり、1993年の調査開始以来の最低値を記録した。グレードAに限定すると、空室率は対前期比1.7ポイント低下の1.1%と、極めて低い水準となっている。主要エリア別に見ると、「梅田」1.0%、「堂島」1.6%、「中之島」2.1%、「淀屋橋」2.9%など、ほとんどのエリアで非常に低い空室率となっている。
空室率低下に伴い、想定成約賃料も上昇が続いている。グレードAは、対前期比550円/坪の大幅アップで20,900円/坪。グレードBは、対前期比200円/坪アップの11,850円/坪となった。これまで賃料相場の上昇は、限定的なエリア・物件であることが多かったが、大阪全体の動きになりつつある。
優良な空室在庫は、加速度的に減少している。大阪市内中心部においては、300坪以上のまとまった面積の空室を確保するのは、非常に難しい状況となっており、市場の逼迫感が強い。引き合いの多くは、拡張移転や新規開設、館内増床等、前向きな理由であり、その他にも、自社ビルからの移転や、老朽化した賃貸ビルからの立退移転も多く見られる。こういった状況の中、旺盛な需要により、移転元の二次空室も、早い段階で消化されるケースが増えている。また、立退移転では、そもそも二次空室が発生しないということもあり、市場の逼迫感を強める要因となっている。
今後の新規供給と市況
今年4月竣工の「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」(総貸室面積約21,000坪)については、ほぼ満室で開業を迎えることとなった。今年は、これ以降、大型新築ビルの供給は予定されておらず(テナント決定済の「(仮称)新MID大阪京橋ビル」を除く)、大阪の主要オフィスエリアにおいては2018年9月竣工予定の「(仮称)新南海会館」(総貸室面積約10,000坪)まで、大型の新規供給予定はない。供給が非常に限定的ということもあり、今年から来年にかけて、引き続き空室率は、低水準で推移するものと予測される。いずれにしても、当面は、貸し手優位の市況が続くものと思われる。
相場の上昇が、既存テナントの継続賃料の値上げにどの程度波及していくかが、今後の焦点となるだろう。
関西支社 國枝 亮
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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梅田 大規模ビル |
21,000~28,000 円/坪 |
引き続き空室消化が進んでおり、貸し手市場となっている。借り手としては選択肢が少ない中で、スピードが求められる状況。
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梅田 中小規模ビル |
16,000~20,000 円/坪 |
大規模ビル同様に空室消化が進んでおり、物件確保が困難な状況。
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淀屋橋・本町 大規模ビル |
16,500~19,500 円/坪 |
大型空室を中心に消化が進んでおり、梅田同様に逼迫している状況。それに伴い、賃料も緩やかに上昇傾向。
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淀屋橋・本町 中小規模ビル |
12,500~14,500 円/坪 |
借り手の動きが堅調にあり、割安感のあるビルから徐々に空室消化が進んでいる。
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難波・心斎橋 大規模ビル |
12,000~17,000 円/坪 |
大阪全体の空室が消化されてきていることで、借り手の検討エリアが拡大。それに伴い、空室の消化が進んでいる。
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難波・心斎橋 中小規模ビル |
9,000~10,000 円/坪 |
純然たるオフィス需要ではないものの、来店型を中心に、順調に空室は消化されている。
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周辺都市 大規模ビル |
10,000~13,000 円/坪 |
中心部の空室消化に伴い、面積の確保のため需要が増えており、徐々に空室消化が進んでいる。
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周辺都市 中小規模ビル |
7,000~9,000 円/坪 |
物件によって空室は消化されているが、築年数の経過した物件は引き続き苦戦している。
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事務所兼倉庫 市内・北摂・東大 |
4,000~6,000 円/坪 |
汎用的な既存物件が不足し、企業の移転ニーズとマッチングが進んでいない。一方で、新築物件は竣工前にテナントが決定するなど好調。
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倉庫・配送センター 郊外 |
3,400~3,900 円/坪 |
堅調な需要はあるものの、供給スピードに追いついていない状況。特に、湾岸エリアではテナント誘致が遅れている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。