グレードA空室率上昇は一時的、需要は旺盛で空室を順次消化。
市況はタイトな状況続く
シービーアールイー(株)調査による、2017年3月期の名古屋全体(オールグレード)の空室率は、対前期(2016年12月期)比0.2ポイント低下し、3.9%となった。低下要因としては、業績好調な企業による増床や、人手不足を背景とした人材採用のためのビルグレードアップ・立地改善等の前向きな動きが挙げられる。
グレードAの空室率は、対前期比1.2ポイント上昇して5.2%となった。大幅上昇の要因は、2棟の新築ビル(JRゲートタワー、グローバルゲート)竣工に伴う供給と、二次空室発生によるものである。
グレードBは、対前期比0.3ポイン低下して2.9%となった。先に竣工した2棟(大名古屋ビルヂング、JPタワー名古屋)への移転により発生した二次空室が消化されたことが主な要因である。
名駅の大型新築ビルの影響
エリア別の動向を見ると、「名駅」エリアの空室率は、対前期比0.8ポイント上昇し、4.5%となった。前述した新築ビルが当エリアにあるのが要因だが、旺盛なオフィス需要を背景に、新規に発生した空室も、順調に消化されつつある。また、当エリアでは、リニア中央新幹線工事に伴うビル収用も予定されているため、関連需要も予想される。
「伏見・丸の内」エリアでは、対前期比0.6ポイント低下して3.0%となった。低下要因は、「名駅」エリアからの滲み出し需要や館内増床等、築年数が比較的新しい大型物件を中心に、空室が消化されたことによる。
「栄」エリアは対前期比0.7ポイント低下の3.6%、「名古屋東」エリアでは対前期比0.9ポイント低下の5.9%となった。両エリア共に、比較的大型の面積が消化されたことにより、空室率が低下した。
名古屋のオフィスマーケットは、直近4棟の大型ビル竣工の影響が大きく、特にグレードAの空室率が一時的に上昇している。しかし、来年以降は、オフィスビルの新規供給が減少することから、将来的には低下に転じていくものと予想される。また、以前から大型供給によるマーケットの軟化が懸念されていたが、郊外企業の都心部への流入需要や企業の拡張・新規開設等の意欲は根強く、供給の影響は当初の予想より限定的なものに留まるものと思われる。
名古屋支店 小川卓也
- 現在募集中の名古屋市の賃貸オフィス
- 現在募集中の岐阜県の賃貸オフィス
- 現在募集中の三重県の賃貸オフィス
- 現在募集中の静岡県の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
名駅 | 14,000~28,000 円/坪 |
今期は「JRゲートタワー」「グローバルゲート」の2棟の大型ビルが竣工した。需要は立地改善、集約移転等により引き続き堅調。
|
|
名駅西 | 9,000~13,000 円/坪 | 人材派遣や専門学校のニーズが多いため、土日入館可能な物件への需要は強いが、対象物件は少ない。 | |
伏見 | 9,500~15,000 円/坪 | 伏見駅近くの利便性の高い経年物件や、コスト圧縮が可能な物件を中心に空室消化傾向が続く。小分割対応が可能な物件は、空室消化が加速している。 | |
栄 | 9,500~14,500 円/坪 | 近年、新築物件の供給はないが、二次空室の発生で選択肢が広がっている。大型面積への需要が高まっているが、駐車場確保がカギとなる傾向にある。 | |
丸の内 | 9,000~14,000 円/坪 | 築浅物件が比較的多いことから、郊外からの移転事例が多いことが特徴。名駅エリアへ移転後の二次空室が出たが、逆に名駅からの滲み出し需要も見られる。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000~10,000 円/坪 |
需要が多い面積帯は10~30坪前後である。積極的に分割を行って小さな区画を用意した物件では、空室の消化が見られた。
|
|
周辺都市(三河) | 8,000~11,000 円/坪 |
刈谷駅近隣エリアには、空室はほとんどない。豊橋・岡崎エリアも着実に空室を消化。新築案件にも複数引き合いがある。
|
|
周辺都市(三重) | 8,000~11,000 円/坪 |
近鉄四日市駅周辺に、半導体関連企業の動きが見られた。津駅周辺の築浅物件への需要はあるが、希望が叶う面積・グレードの空室は減少。
|
|
周辺都市(静岡) | 8,500~11,500 円/坪 |
新築オフィスビル「日本生命静岡ビル」の竣工を控え、今後のエリア全体の動向が注目される。
|
|
倉庫・配送センター | 2,800~3,800 円/坪 |
市内~近郊は需要が多いが依然空き倉庫情報は少ない。尾張エリアだけでなく名古屋市南部の大型新築倉庫にも引き合いが多く、竣工前に満室になる動きもあり。
|
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。