空室率は4%台まで低下。大型物件不足が深刻に。
成約賃料の上昇傾向が継続
福岡市内の2015年3月期の空室率は4.7%と、対前期(2014年12月期)比0.4ポイント低下した。今年2月に、博多区綱場町の「長府博多ビジネスセンター」(貸床面積約1,800坪)が竣工したが、テナントニーズが活況であったため、空室率に大きな影響を与えるには至らなかった。
また、想定成約賃料は、前期を1.9%上回り、依然上昇傾向が続いている。既存テナントに対する賃料の値上げについても、数年前に割安な賃料で入居したテナントを中心に、オーナーからの打診が続いている。マーケットの上昇を受け止め、仕方なく値上げに応じているケースも見受けられる。
福岡市内の空室の実情を見ても、150坪以上の中・大型空室は枯渇してきており、特に500坪以上の大型面積を必要としている潜在テナントについては、身動きが取れない状況となってきている。
このような状況を背景に、2016年に竣工予定の博多駅前再開発「JRJP博多ビル」の注目度が高まっている。新規供給される事務所・店舗の延床面積は約8,000坪あり、基準階の事務所もワンフロア700坪強と、九州最大級のオフィスビルと言える。これまで潜在的なニーズはありつつも、くすぶっていた大型テナントが動くことは、十分に考えられる。
また、移転に伴い二次空室が顕在化するため、一時的に空室率の上昇が懸念されるが、2014年の1年間で、福岡市内の空室率が2.8ポイント低下したことを考えると、その影響は限定的とみられる。
「天神ビッグバン」プロジェクト始動
福岡市内のオフィスマーケットが過熱するなか、福岡市は、天神交差点から半径500メートルのエリアを対象に、今後10年間で30棟の民間ビルの建て替えを目指す「天神ビッグバン」プロジェクトに取り組むと発表した。国家戦略特区による規制緩和や、福岡市独自の支援制度により、建て替えを促す計画だ。見込みでは、対象エリアの民間ビルの延床面積は1.7倍、雇用は2.4倍の増加となる。また、約2900億円の建設投資効果、建て替え完了からは新たに毎年約8500億円の経済波及効果を生むとされている。この計画により、天神エリアの再開発も急速に進んでいくものと思われ、福岡市内の今後の発展に、さらなる期待が高まっている。
福岡支店 西崎隼平
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
博多駅前 | 10,000~12,500 円/坪 | 空室は減少。新規成約賃料だけでなく、既存賃料にも緩やかな上昇傾向が見られる。2016年春に大型新規供給があり、注目を集めている。 | |
博多駅東 | 9,000~11,000 円/坪 | 空室は緩やかに減少。賃料も緩やかな上昇傾向にある。大型面積の空室が少なく、今後も回復傾向が続く見込み。 | |
呉服町 | 9,000~11,500 円/坪 | 約2,000坪の新規供給があり、竣工満室には至らなかったが、入居テナントは決定しつつある。空室率、賃料水準ともに横ばい。 | |
天神 | 11,000~13,500 円/坪 | 空室は減少傾向、賃料も上昇傾向にある。テナントニーズは高いが空室は築年数の古い物件が多く、成約に至らないケースが多い。 | |
赤坂大名 | 9,000~10,500 円/坪 | 空室は緩やかに減少傾向にあるが、天神エリアと比べ空室率、賃料水準ともに停滞感がある。 | |
北九州小倉 | 7,500~10,000 円/坪 | 空室は一部消化されているが、まだ空室は多い。小倉駅より少し離れると空室が長期化している。賃料の上昇はいまだ見受けられない。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,600~3,200 円/坪 | 需要は堅調で、既存倉庫は引き続き品薄感がある。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。