空室率は13期連続で低下し、既存空室の消化が進む。
大型空室はエリア問わず品薄
シービーアールイー(株)の調査によると、広島市の空室率は、2011年9月期の13.0%から13期連続で低下しており、新規供給がないなか既存空室の消化が進んでいる。特に100坪以上の大型空室は、中心部および広島駅周辺を問わず、品薄の状況となっている。
テナント需要は、新規出店や面積拡張、ビルのグレードアップ、環境改善等の前向きな動きが多い。また、館内拡張も多く見られる。さらに、自社ビルの老朽化による賃貸物件への移転や、郊外からの立地改善の動きも見られ、テナント需要の増加につながっている。
供給面は、広島駅前再開発の工事が進捗しているものの、これにはオフィスの供給がほとんどない。本格的な新規供給は、2016年の「(仮称)広島ピースタワー」の竣工まで待たなければならない。
大型テナントを中心に需要の潜在化が懸念される一方、大幅な空室率の低下により、賃料水準は底打ちから上昇に転じてきている。現時点では、賃料下落局面で大きく下げた賃料を標準化する動きがほとんどだが、今後、一部の競争力のあるビルでは、増額改定の動きが活発化しそうである。賃料水準の上昇により、建替計画や開発計画を模索する動きも出ているが、建築費の高騰がネックとなり、先
りの判断をするケースもある。マーケットが大きく動くのは、数年先の見込みとなろう。
岡山もプラス需要が市場牽引
岡山市の2014年12月期のオフィスの空室率は5.5%。昨年同期は9.4%であり、毎期約1ポイントずつ下がっている状況である。今期も、撤退や縮小等のマイナスの動きはほとんど見られず、新規開設、立地改善、館内増床、自社ビルの売却によるオフィスビル移転等、プラスの需要が牽引した。特に、自社ビルの売却や旧耐震ビルからの移転は、大手企業による大型移転となり、空室消化が進んだ。
賃料水準の動向を見ると、新規賃料は上昇傾向にある。継続賃料は、現賃料が低いテナントに対し、交渉を始めるビルが散見されている。
西日本最大級の「イオンモール岡山」がオープンし、駅前オフィスビルでも、交通渋滞が懸念されたが、今のところ影響は少ない。公共交通機関の利用による、商業とビジネス立地が共存できる中心地となることを期待したい。
広島支店 山上政文・越智昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 8,000~10,000 円/坪 | 新規出店や自社ビル売却に伴う移転等で、需給バランスはタイトな状態へ。 | |
広島駅南 | 8,000~10,000 円/坪 | 広島駅周辺への需要増加により、既存ビルの空室消化が進む。 | |
八丁堀・紙屋町 | 8,000~12,000 円/坪 | 建て替えに伴う立ち退きニーズにより、既存空室の消化が進む。築浅・大型ビルの空室は引き続き減少傾向。 | |
大手町 | 7,000~9,000 円/坪 | 中心部の空室減少により、引き合いが増加中。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,000~11,000 円/坪 | あまり動きはなかったが、自社ビル売却に伴う賃貸ビルへの入居などにより空室率は8%前半へ。 | |
岡山市役所筋 | 8,500~12,500 円/坪 | 岡山駅前から徒歩10分圏内の物件消化が進み、空室率は4%前半へ。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,500 円/坪 | 潜在的需要は根強くあるが大型供給が少ない。賃料も高めに推移しており、物件の見極めが重要。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 | 食品を扱う企業のニーズが増加。コスト管理が優先され、24時間稼働可能な施設のニーズが高い。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,000 円/坪 | 需要の多い面積帯(500坪~1,500坪)の物件が少ない状況であり、市場に出ても決定までのスピードは非常に速い。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。