グレードA・B ともに空室率低下。
企業の移転ニーズは増加傾向。
賃貸条件の緩和による成約が続く
シービーアールイー(株)の調査による、2023年9月期の大阪グレ ードA空室率は3.0%と、前期(同年6月期)より0.5ポイント低下した。既存のグレードAビルと、 2024年に竣工する「梅田」「淀屋橋」エリアの新築ビルが、需要を二分している状況である(2024年11月以降に竣工する物件は、空室率3.0%に含まれていない)。
前期に続き、空室の長期化を回避するため、募集賃料の引き下げなど、賃貸条件の緩和が行われ、それによって、成約に至る傾向が続いている。
今期の大阪グレードB空室率は、対前期比0.5ポイント低下の3.4%と、3期ぶりに低下した。
各エリアの空室率は、おおむね横ばいで推移しているが、「堂島」エリアと、「新大阪」エリアで大幅な低下が見られ、両エリアが、今期の大阪の空室率低下をけん引した。ただし、「堂島」エリアの空室率低下は、大型空室の募集停止が大きく影響している。そのため、今後のマーケット動向次第となり、不透明さが残る。
懸念される募集空室率の上昇
2023年9月期のすべてのグレ ードを含む募集空室率は、前期(同年6月期)と比べて0.3ポイント低下し、7.2%となった。募集空室率とは、即入居可能な空室と、 1年以内に入居可能となる空室予定区画、および1年以内に竣工予定ビルの募集区画を対象とした空室率である。ただし、この数値には、2024年11月竣工予定の「グラングリーンゲートタワー」「グラングリーンパークタワー」の2棟の募集面積、計30,000坪以上が含まれていない。そのため、今後の募集空室率は、上昇することが予想される。
2023年は前年と比較し、企業の移転ニーズが増加している。オフィスの使用面積が100坪以上の企業の移転先は、新大阪―本町間が大半となり、北区・中央区が約8割程度となる。同一区内の移転もあるが、区外からの立地・ビルグレードの改善、自社ビルからの移転も見受けられ、ビジネスエリアのオフィス需要の高まりを感じる。リモートワークを活用しながら、オフィスへの出社を促す企業も増えており、従業員に、オフ ィスで働くメリットを感じてもらえるかが鍵となる。
関西支社 石原 亮
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