広島:大型新築ビル竣工で空室率が大幅上昇。市内の空室率は8 年ぶりの6%台に。
新築ビル竣工のインパクト
当社調査による2022年9月期の広島市内オールグレードの空室率は6.2%と、対前期(同年6月期)比3.1ポイントの大幅上昇となり、2014年9月期以来、8年ぶりの6%台の空室率となった。
空室率上昇の要因としては、今年8月広島駅前に竣工した「広島JPビルディング」の影響が大きい。新規供給は、2019年10月に八丁堀エリアに竣工した「新広島ビル」以来であり、広島駅周辺では、2019年4月竣工の「GRA NODE広島」以来。募集賃料は市内過去最高値だが、2025年春にリニューアルを終える広島駅直結の抜群の立地に加え、市内オフ ィスビル初となる、約200席のテナント専用ダイニング&カフェスペースや、最新設備のスペックの高さから引き合いは非常に多い。リクルーティングやリモート営業の増加に伴う、ビルのグレードアップを検討する企業も多く、次の新規供給が2025年になることを踏まえると、「広島JPビルディング」への期待値は非常に高い。二次空室の懸念はあるが、同ビルの空室消化は時間の問題と思われる。
岡山:新築ビル竣工で空室率は上昇するも、最新スペックのビルへのニーズは強い。
駅前周辺ビルで減床・撤退の動き
2022年9月期における岡山市の空室率は上昇を示した。これは、市役所筋ゾーンに新築ビル2棟が竣工したためである。ただし、コロナ禍にもかかわらず、2棟とも比較的順調に空室を消化して竣工を迎えている。また、郊外や県外の新規需要を呼び込んだことで、空室率上昇とはいえ市場に大きな影響は与えなかった。コロナ対策を施した最新スペックのビルへのニーズは強く、空室は徐々に消化されてくるものと思われる。
市内全域としても、空室率はい ったん上昇するが、ウィズコロナの経済は確実に動き出しており、今後、緩やかに市況改善に向かうだろう。しかし、大手企業が入居する駅周辺のビルで、リモートワ ーク対応による減床・撤退が見られ、空室が長期化し始めている。経済が回復基調とはいえ、駅前であってもテナント誘致に一層の創意工夫が必要になっている。
また、どんなに良いスペックのビルがあっても、企業が岡山にオフィスを置かなければ意味がない。岡山が、立地の優位性を含め、魅力的で企業に選ばれる都市になる必要があるだろう。
広島支店 柴﨑 雅史 / 越智 昭博
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