空室率は3%台に上昇。成約賃料の下落傾向が続く。
既存と新築の価格差が顕著に
シービーアールイー(株)の調査によると、福岡における2022年9月期の空室率は、対前期(同年6月期)比0.4ポイント上昇の3.2%と、前期に引き続き上昇した。コ ールセンターやシステム開発関連企業の新規開設、拡張移転、自社ビル企業の立地改善、環境改善を目的とした移転・分室開設も散見された一方で、大型新築ビルが8月に竣工したことに加え、昨年から今年にかけ、新築ビルへ移転したテナントの二次空室が消化しきれず、即入居可能となったことが、今期の空室率上昇の主な要因と見られる。
想定成約賃料(共益費込)は、対前期比0.2%(30円/坪)低下の16,080円/坪となった。空室率同様、前期と同じ傾向にあり、既存ビルを中心に、フリーレントを含む賃貸条件の緩和が進んでいることで、成約賃料の下落につながっている。その反面、比較的賃料単価の高い新築オフィスビルの成約率も高いことから、賃料の下落幅は小さい状況となっている。空室率が上昇し、価格競争力の強い既存ビルと、高単価な新築ビルとの間の価格差が顕著に表れてきており、現在のオフィスマーケットを象徴している。
新築ビルへ移転する企業が増加
2020年代に入り、「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」の開発計画に伴い、新規供給が増え続けている。近年では、福岡においても企業の働き方が変わり、オフィスの使い方・考え方の変化に伴い、BCPや採用面を考慮し、新築ビルに移転する企業が増えてきている。移転に伴う大型の二次空室も数多く出てきたが、もとより二次空室狙いのテナントも多く、二次空室消化の動きが強い印象を受ける。また、ある程度、テナント需要の高さも見受けられる。
来年には、博多駅周辺や、呉服町・中洲川端エリアでの開発が増えてくる。多くの開発によって、地下鉄空港線沿線を中心に、街並みも変化しつつある。新型コロナの影響に加え、近年の新規供給により空室が増え、テナントの選択肢も増加している、現在の福岡オフィスマーケットが、どのようにしてさらなるテナント需要を生み、ビルの稼働率が高まっていくのかが注目される。2023年も、福岡のオフィス市場の動向は、目が離せないものとなるだろう。
福岡支店 湯本 佳弘
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