神戸:空室率は上昇するも、想定成約賃料は安定した推移。
進む空室の顕在化
神戸における2021年6月期の空室率は、前期(2021年3月期)比で0.6ポイント、前年同期比で1.3ポイントの上昇となった。新築ビル竣工に伴う二次空室や拠点統合等により、昨年末頃に出された解約が予告期間中に消化しきれず顕在化してきたことによるが、移転・新設ニーズの絶対数が少ない状況下、「賃料水準の高いビル」もしくは「築古ビル」が埋め戻しに苦慮しているように見受けられる。長引くコロナ禍により出社率が低下したままとなっているテナント企業の今後の動向も注視されるところである。
想定成約賃料は対前期比0.1%低下の12,060円/坪となった。神戸エリアの特徴でもあるが、空室率に比較して賃料水準の変動は少なく、引き続き安定した推移となっている。
2022年2月末「関電不動産神戸三宮ビル」が竣工する。「ほこみち」(歩行者利便増進道路)に指定された三宮中央通りに面し、テナント専用の屋上テラスやリフレッシュスペース等の併設される好立地ハイスペックビルの竣工が、神戸オフィスマーケットのけん引役となることに期待したい。
京都:選択肢が増加し、マーケットの動きはやや活発に。
空室率の上昇が続く
京都における2021年6月期の空室率は、前期より1.1ポイント上昇し2.6%であった。前年同期比では2.0ポイントの上昇となっており、前期以降、さらに空室が顕在化するスピードが速くなってきている。
コロナ禍で、テナントの動きとしては縮小や統合が多い状況に変わりはないが、立地改善などポジティブな移転も見受けられる。また、検討できる選択肢が増えたことで、マーケット内での動きはやや活発になってきている。
想定成約賃料は、前期に比べて1.2%(-190円/坪)低下して、 15,870円/坪となった。今期も引き続き、ホテル用地がオフィスビル開発用に検討されるケースは増えているが、多くは立地や規模の問題もあり、なかなか顕在化していない。しかし、そのような中でも徐々に新規開発の予定が出てきたため、市場に新たな動きが起こる可能性もあり、今後の新規供給の動向に注目したい。
関西支社 皆藤 誠一郎 / 山口 直哉
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