空室率は3期連続低下。テナントの動きが徐々に活性化。
成約賃料はやや下落
シービーアールイー(株)の調査によると、福岡における2022年3月期の空室率は、対前期(2021年12月期)比0.3ポイント低下の2.6%となった。空室率は、3期連続で低下している。今期の空室率低下の要因としては、昨年竣工した新築ビルの空室が、大きく消化されたことが考えられる。
部分解約による賃貸面積の圧縮、撤退、縮小移転の動きが見受けられた一方で、郊外の自社ビルや老朽化した自社ビルを売却し、立地改善や環境改善を目的とした移転、拡張移転や分室開設などの動きも散見された。
想定成約賃料(共益費込)は、対前期比0.1%(20円/坪)低下の16,180円/坪となった。個別に、フリーレントを含む賃貸条件の緩和をしている物件も見受けられるが、現時点では、ある一定のテナント需要があることから、大幅な賃料下落には至っていない。ただし、新築ビルもさることながら、今後発生する可能性のある二次空室や、大型空室の動向次第では、想定成約賃料に動きが出てくるだろう。
テナントの動きとしては、前期同様、依然として、高価格帯の既存物件の選定に慎重な姿勢が見受けられ、物件によっては、空室の長期化が散見されるようになってきている。また、面積別にテナントの動きを分析すると、100坪以上のテナントの動きは、わずかであり、ほとんどが100坪未満の小さな面積帯の動きとなっている。一方で、コロナ禍で、移転計画の保留を余儀なくされていた企業が、新たなワークスタイルやオフィスのコンセプトを打ち出すなど、テナントの動きは、活性化してきた印象を受ける。また、移転を機に、優秀な人材の獲得や、従業員のエンゲージメントを高めるためのオフィス環境を構築する企業も、見受けられる。
新規供給ラッシュ到来
2020年代、福岡のオフィスビルは、建て替え・開発ラッシュを迎える。需給バランスを考えると、空室率は上昇するものと予想される。働き方やオフィス環境が変化する中、オーナー側は、ビルのコンセプトを明確にし、付帯設備や付帯サービスの充実など、より独自の特徴を持たせることが必要となる。今後も「天神」「博多」両エリアの好立地、ハイグレードビルの動向に注目が集まる。
福岡支店 今福 健一
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