オールグレードの賃料は7 年ぶりに下落。大量供給を控え、賃料は調整局面へ。
空室率は上昇傾向で推移
シービーアールイー(株)の調査によると、2021年3月期の大阪オールグレード空室率は、対前期(2020年12月期)比0.4ポイント上昇し、1.9%となった。コロナ禍の影響で発生した、複数の解約区画がテナント決定に至らず、空室として顕在化した。今期の成約事例は、コスト削減を目的とした縮小移転や拠点集約など、 使用面積を減少させる動きが多く見られた。全体的に、新設や拡張の動きは、やや鈍い。ただし、郊外から都心部への立地改善移転など、空室が増えたことで喚起されたと 見られるニーズも、散見される。
賃料は、すべてのグレードで、前期から下落した。グレードBとオールグレードは、2013年12月期以来の下落。グレードAは、2020年6月期に下落し、9月期は上昇に転じたものの、12月期は再び下落した。需給の緩和とともに、賃料調整はさらに進む可能性がある。
今後もマイナスの動きが継続
リモートワークの増加を背景に業績好調なIT関連企業等、一部の業種では、引き続き需要が堅調である。しかし、コロナ禍を契機としたオフィススペースの見直しにより、利用頻度の低い区画を返す動きは、多くの企業で見られており、一部解約等の動きは、今後も増えると予想される。
2021年の供給は過去の平均より少ない1.6万坪にとどまるが、2022年にはグレードAを中心に、4万坪超の大量供給が予定されている。このため、グレードA空室率は今年は1%程度が続くものの、2022年12月期には3.9%まで上昇すると予想される。
グレードAの想定成約賃料は、対前期比1.1%下落し、-300円の26,100円/坪(共益費込)となった。以前のような高い賃料負担力を持つ企業は限られてきており、グレードAはグレードBよりも下落幅が大きくなっている。今後も、すべてのグレードにおいて、賃料は下落傾向の見通しである。賃料相場には、すでに影響が出始めている。商談が具体化するにつれ、条件を柔軟に検討するオーナーも出ており、明確に賃料を下げたオーナーもいる。また、テナント側としては、空室率の上昇傾向を受け、成約賃料の引き下げを期待し、動きが鈍化する傾向にある。今後は、双方のより柔軟な対応が求められるだろう。
関西支社 藪田 俊貴
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