横浜駅周辺を中心に空室消化が進み、市全体の空室率は1%台まで低下。
みなとみらいで開発目白押し
シービーアールイー(株)の調査による、2019年3月期の横浜オールグレードビルの空室率は1.6%と、対前期(2018年12月期)比0.7ポイント低下した。
エリア別に見ると、「横浜駅周辺」エリアの今期の空室率は1.0%と、対前期比0.5ポイント低下。引き続き横浜駅周辺への需要は多く、空室消化が進んでいる。特に、人材・サービス系企業を中心に、駅近隣の物件への引き合いは強く、テナント退去前に次テナントが決定するケースも非常に多い。そのため、新規募集賃料を引き上げる物件も増えており、テナントは予算面で柔軟な検討が必要になっている。
「みなとみらい」エリアの今期の空室率は2.1%と、対前期比0.8ポイントの低下となった。新規開設や館内増床で空室が消化され、空室が少ない状況が続いている。大型面積を確保できる物件が少なくなり、引き合いも集中し始めていることから、さらなる空室率の低下が予想される。
両エリアでは、2020年に2棟の新規供給が予定されている。1棟はすでにテナントが決定しており、もう1棟もテナント募集が順調に進んでいるため、次の大きな供給は、2021年の「(仮称)横濱ゲートタワープロジェクト」の竣工を待つこととなる。
賃貸オフィス以外では、資生堂の新研究開発拠点と、京急電鉄の新本社ビルが、年内にオープンする予定。村田製作所やコーエーテクモホールディングス、神奈川大学等も、施設の新規開設を予定しており、「みなとみらい」エリアのさらなる発展に期待が集まっている。
主要エリアで空室減少
「新横浜」エリアでも、空室は減少を続けている。面積帯を問わず、物件の確保が難しい状況。
「関内」エリアも、空室率は引き続き低下。建て替えや立地改善、グレードアップ等によるエリア内移転も多いが、エリア外からの移転や、館内増床も続いている。ただし、来年は横浜市新庁舎完成に伴い、大きな動きが出てくるものと予想され、関心を集めている。
「川崎」エリアも、空室が少ない状況で推移している。新規募集が出ると、複数の引き合いが集まる状況となっている。
各エリアで空室の減少が続いており、賃料は上昇傾向が見られる。今後の新規供給等の動きが、現在の逼迫したマーケットにどのような影響を及ぼすか注目される。
横浜支店 関口 修
- 現在募集中の横浜市の賃貸オフィス
- 現在募集中の川崎市の賃貸オフィス
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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横浜大規模ビル | 18,000円~26,000円/坪 | 空室は引き続き減少傾向。大型面積が確保できる物件はほとんどなくなり、需要が集中し始めている。 | |
横浜中小規模ビル | 12,000円~15,000円/坪 | 空室は引き続き減少傾向。駅からの距離や竣工年に関わらず引き合いがあり、契約が進んでいる。 | |
関内大規模ビル | 9,000円~13,000円/坪 | 空室は減少傾向。一部新規募集になった物件もあるが、引き合いが多く時間をおかずに消化方向。賃料水準も上昇へ。 | |
関内中小規模ビル | 9,000円~11,000円/坪 | 空室は減少傾向。優良グレードの物件になるほど引き合いが多く、物件の確保が難しくなってきている。 | |
新横浜大規模ビル | 11,000円~15,000円/坪 | 空室を抱えているビルがほとんどない状況が続く。空室が出ても引き合いが多く、物件の確保が難しい。 | |
新横浜中小規模ビル | 9,000円~12,000円/坪 | 空室は引き続き減少傾向。好立地・優良グレードの物件になると、大規模ビル同様引き合いが多く、物件の確保が難しい。 | |
川崎 大規模ビル | 15,000円~18,000円/坪 | 空室が非常に少ない状態で推移しており、まとまった面積の確保が困難。 | |
川崎 中小規模ビル | 12,000円~15,000円/坪 | 特に駅近くの物件で、賃料設定が従前よりかなり高い水準で募集されるケースが増えている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。