オフィス回帰の動きにより、需要は堅調に推移。
グレードA空室率は5期連続低下
シービーアールイー(株)の調査による、2023年12月期の大阪グレードA空室率は2.4%と、前期(同年9月期)より0.6ポイント低下 し、2022年12月期から、5期連続の低下となった。昨年5月に、新型コロナウイルス感染症が、 5類感染症に移行したことも追い風となり、オフィス需要は、堅調に推移している。
コロナ対策で導入されたリモートワークから、オフィスワークへ回帰する企業が増加し、①社員が出社したくなるオフィスへの職場環境改善、②優秀な人材を確保するためのリクルート強化、③基幹オフィス(本社・支社等)に求められるBCP対策などを目的とし、グレードAビルや好立地の二次空室への成約が進み、空室率低下の要因となっている。移転だけではなく、入居ビル内での館内増床等も増加しており、既存ビルを中心に空室の減少傾向が続いている。
この傾向は、グレードBビルでも同様で、今期の空室率は、対前期比0.5ポイント低下の2.9%と、 3%を下回る水準になっている。特に、中・小型のオフィス需要は、品薄感も手伝い、成約までの判断にもスピード感が出てきている。
堅調なオフィス需要を背景に、既存ビルの空室消化が進んだことにより、マーケットはタイトに感じられているが、今年予定されている過去最大約9万坪の新規供給(現在の貸床総面積の5%強相当)により、空室率は、再び上昇傾向になると見込まれている。
成約賃料の下落傾向が継続
今期の想定成約賃料は、グレードAにおいては、対前期比-0.2%の23,900円/坪、グレードBにおいては、対前期比-0.3%の14,650円/坪となった。大阪市内の主要オフィスエリアでは、 2025年にも約3万坪の新規供給が予定されていることから、一定期間、賃料下落傾向の続くことが予想されている。
建築中であったビルが竣工し、テナントが移転することにより、空室予定であった二次空室も、現空室として顕在化されてくる。借り手側にとっては、物件の選択肢が増え、契約条件にも競争原理が働くため、2024年以降数年間のオフィス市況は、CRE戦略の策定(老朽化した自社ビルのオフバランス等)にとっても、好機となることが予想される。
関西支社 皆藤 誠一郎
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