堅調な空室消化により、
4期ぶりに空室率が低下。
成約賃料が上昇
シービーアールイー(株)の調査によると、2023年12月期の福岡主要オフィスゾーンの空室率は、対前期(同年9月期)比0.3ポイント低下し、4.5%となった。今期の空室率低下の要因としては、 2023年第4四半期に、大型解約や新規供給がなかったこと、引き続き、システムやアプリ開発などのIT関連、eコマース、コールセンターといった業種の根強い増床・拡張移転ニーズや、新たに福岡へ進出する企業のニーズにより、堅調に空室が消化されたことが挙げられる。
一方、想定成約賃料(共益費込)は、対前期比0.1%(20円/坪)上昇し、16,070円/坪となった。福岡市が主導する再開発「天神ビッグバン」「博多コネクティ ッド」で供給が進む好立地かつハイグレードな大型オフィスが、既存ビルからの立ち退き、郊外からの移転などもあり、全体平均を押し上げる要因となっている。しかし、テナントの動きとしては、依然、 20,000円/坪(共益費込)を超える高価格帯のオフィスの選定には、慎重な状況である。企業にとっては、採用強化、環境改善、ブランドイメージアップといった面から、新築ビルへの需要が底堅い状況ではあるものの、賃料負担能力のある企業が無数にあるわけではなく、テナント動向次第では、今まで以上に、ビル間競争が激しくなることが予想される。
今年も続く大量供給
2024年の新規供給は、主要なビジネス地区である、天神・博多エリアはもちろんのこと、郊外エリアなどでの開発が続く。そのなかでも、福岡県の敷地を有効活用し、福岡市において官民連携で推進する、2024年3月竣工の「コネクトスクエア博多」が注目されている。JR博多駅至近の好立地で、地上12階・地下1階建、延床面積約6,500坪の同ビルは、竣工前から入居テナントの内定が多く進み、大方の目途が立っている状況だ。
企業業績の回復傾向を背景に、企業やワーカーを取り巻く環境は、変化してきている。社会全体で、新しい価値観、ワークスタイルを模索する状況下、福岡オフィスマーケットでは、2024年も「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」などの再開発を中心に、約23,000坪を超える新規供給が、継続される見込みだ。今後のさらなるニーズ喚起や、福岡オフ ィスマーケット全体の活性化に期待したい。
福岡支店 松本 朗
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