空室率・成約賃料ともに横ばい。
プラス動機の需要が旺盛。
空室消化は順調
シービーアールイー(株)の調査によると、2023年9月期の福岡市主要オフィスエリアの空室率は、前期(同年6月期)と変わらず4.8%、想定成約賃料(共益費込)についても、前期と変わらず16,050円/坪となった。
福岡市主要オフィスエリアでは、 2023年中に、20,000坪を超える新規供給が予定されている。しかし、新規開設や環境改善、拡張移転などの旺盛なテナント需要により、順調に空室消化が進んでいる。物件選定に関しては、既存ビルからの移転の場合、現行賃料を基準に移転先を探すと、増額幅が想定より大きくなることから、新築ビルの中でも、20,000円/坪前後のビルが需要を吸引している。高額賃料ビルにおいても、表面賃料は維持しながら、フリーレントを長期で付与し、契約期間中の均し賃料を下げるケースが多く見られる。既存ビルにおいても、設備水準の整った、賃料が比較的リーズナブルな物件に、需要が集中する傾向にある。特に、競争力の高い築浅、好立地ビルでは、二次空室の発生が少なく、新規空室が発生しても、館内増床で決定するケ ースが多く見られる。空室が発生しても外部募集に出ないことから、結果的に、空室率の上昇が抑えられている要因となっている。
大量供給を迎えたマーケット
福岡では、市が主導する再開発「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」により、今後数年間、新築ビルの大量供給を迎える。しかし、旺盛なテナント需要により、需給バランスが大きく崩れることはないだろう。コロナ禍以降、リモートワークを、新しい働き方のひとつとして導入している企業が多く見受けられる。しかし、地方都市においては、依然として出社率が高く、オフィスは高稼働で推移している。そのため、面積削減の動きは少なく、今後も大きくは変わらないと予想される。
企業にとっては、採用強化、環境改善、ブランドイメージアップといった面から、新築ビルへの需要が底堅い状況である。しかし、 30,000円/坪の賃料負担能力のある企業が、無数にあるわけではない。今後の景気動向次第では、賃料下落圧力が高まることにより、今まで以上に、ビル間競争が激しくなることが予想される。テナント企業に対して、賃貸条件以外で物件価値を訴求できるかどうか、ビルごとの優劣が鮮明になるだろう。
福岡支店 山上 政文
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