面積帯を問わず空室消化が進み、
全グレードで空室率が低下。
懸念される大量供給の影響
今期の名古屋市オールグレード空室率は、対前期(同年3月期)比-0.3ポイントの5.2%と、3期連続で低下した。今期は新規供給がなく、既存ビルの空室消化が、減床や集約などで新たに発生した空室の規模を上回った。IT関連企業や人材派遣業などのオフィスのグレードアップ、立地改善、拡張のための移転で空室が消化された。また、昨年に比べ、中・小型区画の動きが増えただけでなく、 300坪超の比較的大型の動きも増えつつある。面積帯を問わず、空室消化が進んだ結果、すべてのグレードで空室率が低下した。
ただし、来期には、過去の年間平均より約4割多い、大型ビルを含む合計1.8万坪の新規供給が控えている。既存ビルでは、二次空室の発生も予想されるため、既存の空室の埋め戻しが進まなければ、市場全体の空室率は、再び上昇することとなろう。
オールグレードの賃料相場上昇
今期の想定成約賃料は、オールグレードで対前期比+0.4%、グレードAで-0.2%、グレードBで+0.3%となった。オールグレ ードの賃料上昇は、2021年第1四半期以来となる。賃料が割安な中・小型のビルをはじめとして、一度引き下げた募集賃料を従前の水準に戻す動きが見られ、全体の平均値を押し上げた。ただし、賃料の上昇は一時的なものになると想定される。大型供給による需給緩和によって、グレードを問わず、緩やかな調整が続くとみられるためだ。現在空室を抱えたビルオーナーにとっては、新規供給や二次空室が顕在化する前に、競合にさらされる前に、いかに空室を消化するかが喫緊の課題であり、入居促進の施策を模索している。
一方、足元のテナント需要は、コロナ前と遜色ないと言えるだろう。自社ビルや郊外など、賃貸オフィスマーケット外から、エリア内のオフィスビルへの流入は今期も一定数あり、エリア・グレードを問わず、空室消化の要因の一つとなっている。エリア内の移転でも、環境・立地改善、拡張といった前向きな動機が大半を占める。比較的築浅で値ごろ感があるようなビルでは、一つの区画に複数の商談が重なるケースも出てきた。
テナント企業にとっては、空室増加により選択肢が増えているとはいえ、検討に時間をかけ過ぎると「良い物件」を逃しかねない。
名古屋支店 池田 倫大
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