前期大幅上昇した空室率が低下。2025年竣工の大型ビル2棟に注目が集まる。
広島の想定成約賃料はほぼ横ばい
シービーアールイー(株)の調査による、2022年12月期の広島市内中心部の空室率は6.0%で、前期(同年9月期)から0.2ポイント低下した。前期、空室率の大幅な上昇要因となった広島駅前の「広島JPビルディング」の空室が消化されたことや、市内拠点企業による事務所面積の拡張の動きも引き続き旺盛であったことが、今期の空室率低下の要因となった。
想定成約賃料は、前期から-0.1%と、ほぼ横ばいであった。企業がオフィスにかけるランニングコストへの意識は、コロナ禍以降、非常に高い状態が続いている。空室が長期化しているビルを中心に、埋め戻しを優先し、賃料を下げてでも、企業を誘致しようとする動きが散見される。
2023~2024年は、市内で大型ビルの竣工予定はない。2025年前半には、市内中心部に「(仮称)明治安田生命広島ビル」「(仮称)大同生命広島ビル」の2棟が竣工を控えている。いずれも、企業の立地数が特に多いエリアに位置しており、市内中心部の新たなランドマークとなるオフィスビルである。同エリアでは、2020年の「損保ジャパン広島紙屋町ビル」の竣工以来、実に5年ぶりとなる大型新築ビルであり、注目度は非常に高い。建設工事がスタートする今年からは、テナント誘致活動も本格化していくことから、今後は「広島JPビルディング」に加え、この2棟が、広島市内のさらなるオフィス移転を喚起するものと考えられる。
旧市民球場跡地には、3月にイベント広場「ひろしまゲートパークプラザ」がオープンする。2010年に球場が閉鎖されて以降、人の往来が減っていたこのエリアは、新たな賑わいの拠点として生まれ変わり、交通拠点である紙屋町からの動線上の活性化にも期待がかかる。G7広島サミットの開催も予定される今年、広島の動向から目が離せない。
低下に転じた岡山の空室率
今期の岡山市の空室率は、前期から低下に転じた。新規出店のほか、郊外エリアなどからの立地改善や、オフィス拡充に向けた環境改善の移転など、企業活動に動きが出てきたと感じられる。
ただし、空室率が低下したとはいえ、空室によっては、長期化しているものもある。今後、マーケ ットがどのように動いていくのか、目が離せない状況と言えるだろう。
広島支店 荒田 晃輔 / 名越 正幸
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