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経営危機の認識が不可欠

物流拠点の集約において重要視される施設の耐震性能、高度な顧客ニーズに応える3PLに不可欠な高いセキュリティレベル、社会におけるコンプライアンスへの関心の高まり。これまで、まず第一に「コスト削減」が掲げられてきた物流業界においても、昨今は安全面、防災・防犯面、環境面への対応が大きな経営課題となりつつある。今回の物流マーケット情報は「隠れた物流施設のリスクを探る」と題し、現在の日本における物流施設のリスクマネジメントの現状を把握するとともに、先進的な物流事業者および倉庫デベロッパーは、どのようなサービスや施設を提供しているのかをレポートする。

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個別の損失の陰に隠れた 経営危機の認識が不可欠

多摩大学 研究開発機構 ロジスティック経営・戦略研究所 所長 教授 水嶋 康雅氏

多摩大学 研究開発機構
ロジスティック経営・戦略研究所 所長
教授 水嶋 康雅

90年代に急速に必要性を増したリスクマネジメント

危機管理という言葉が一般に知られるようになったのは、1960年代初頭にアメリカで起こった「キューバ危機」の頃と思われます。さらにその概念は、徐々にビジネスの世界にも浸透しはじめ、90年代に導入されたSCM(サプライチェーンマネジメント)、あるいはキャッシュフローマネジメントによって、物流ビジネスにも大きく関与しはじめたといえます。加えて、9.11同時多発テロ事件以降の危機の多様化と損失規模の大きさなどによって、危機対応の仕方は複雑さを増すことになったのです。

しかし、国内の物流事業者が、その影響の重大性をしっかりと認識しているかというと、疑問を感じずにはいられません。確かに、預かっている製品の損害、倉庫内の設備や機器の破損、働く人の労働災害など、個々の事由に対する対応は、倉庫業が始まった当初から行われてきたといえるでしょう。事故が起こらないようにするのはもちろんですが、こうしたいわゆる「純粋危機」は、仮に発生しても保険でカバーできる範囲のものであり、ある程度のリスクヘッジが可能です。

しかしながら、今日の物流業が抱えているのはもっと大きな、経営に直結するような問題なのです。

投機的危機や信頼性の欠落によって浮上する経営危機

では、どのようなリスクがあるのか、いま少し詳しく見てみましょう。

今日のように、物を作っても売れなかったり、技術進歩の 早い時代には、メーカーは極力、在庫を抱えないようにしています。そのため、サプライヤーからの資材等の調達はジャストインタイムを求めるようになりま す。また、サプライヤーにとっても在庫はキャッシュフローに影響することはいうまでもありません。そのため、物流に対する要求は、おのずと高くなるわけで す。

例えば、年間365億円の売上があるメーカーに対して、資材物流が1日止まれば1億円の販売機会損失と資金調達の必要性や、1 億円分の商品の陳腐化の危険が出てくるわけで、こうした業務の遅れによる損失は、保険で補填されるようなものではありません。こうした損失は、荷主ととも に物流業者の経営に直接影響を及ぼすことになるでしょう。

また、時代の流れとともに倉庫で扱う製品は変化しており、その中身が変われば、倉 庫に必要とされる設備や機器も異なり、新たなリスク要因が発生してきます。同時に、こうした変化に対応できないフレキシビリティの低い施設を持つことは、 それだけで不動産所有に対するリスク、いわば投機的なリスクによる危機が発生するのです。

潜在的危機に対する管理意識が希薄な物流企業

さらに、近年の顧客である荷主や3PLの意識の変化は、物流事業者に様々な要求を突きつけています。

以前は、倉庫といえば保 管することだけが目的であり、そのため、施設としての建物があることが、市場参入に必要な唯一と言ってもよい条件でした。しかし、現在では、流通加工まで も請け負うことが多くなったことから、加工ができる設備や人員、労働環境としてのISO14000などの認可が、当然のこととして求められてきます。これ は加工に携わる人材確保のためにも、立地と並んで重要な要素となっています。

つまり、品物の数が合う、取り扱いも丁寧で壊さない、腐らせないことなどは当然のこととして、以前は競合との争いに勝つための競争条件だったものが、いつの間にか市場参入資格条件に移行しているのです。

加えて、コンプライアンスや省資源・環境への配慮など企業の社会的責任が求められる今日、社会全体との調和を求めないまま、価格競争だけで勝負をするのは愚の骨頂であり、こうした変化に気づかない企業は経営危機に陥り、いずれ淘汰されることになるのです。

サービス業としての意識が新たなビジネスの可能性を広げる

では、なぜ日本では物流業の進化が進まなかったのでしょう。それは、根本的には「物流の本質的役割」(価値の発現)を理解していなかったことによる わけですが、直接的には戦後50年もの間、物があれば売れる時代が続いたことが理由と、私は考えています。つまり、物を作れば今日売れなくとも明日には売 れた時代であり、在庫など作りたくても作れないほどの繁栄があった中で、倉庫業は、建物さえあれば利益を上げることができ、そこで、「とりあえず置いてお いてやるよ」といった姿勢でビジネスをしてきたのではないでしょうか。それが変化を遅らせている最大の理由だと思っています。

で は、今後の倉庫業はどうあるべきなのでしょうか。施設面から見ると、これは一概に言えるものではありません。どんな荷物かによって求められるものが違うか らです。例えば米のように、一度入れたら頻繁に出し入れしないというのであれば、旧来型の倉庫の方がコストが抑えられていいのかもしれません。

一 方、工業製品や生鮮品のように、本来、在庫を置きたくないものの場合、トラックの出入りがしやすいか、どれだけ荷物の積み下ろしを早くできるかといったス ピードが求められます。そのためには、土地が高いから階数を上に延ばせばいいとか、高い棚に物を積んで、その積み下ろしに大掛かりな機器を要するような倉 庫などはコストが合わなくなります。さらに、流通加工やSCMに関連した前後の手続き業務がスムーズにできるかどうかなども重要となるでしょう。

要は顧客の意向に沿うために、どのようなサービスが提供できるのか、その実現のためにどんな立地、どのような建物の形態、機器が必要なのかが問われるのであり、はじめに建物ありき、保管・運送コストの安さで勝負といったアプローチでは生き残れない時代なのです。

ま た、サービス面では、これまでコストの安さ・時間の正確さ、・品質保持・スケジュール管理などが顧客を獲得する信頼の源泉でした。しかし、これらはすでに 当たり前になってきています。今後、これらに加えて求められるのが、顧客の疑問に即座に回答できる応答性や、すぐに届けられる俊敏性であり、これを有する ことこそが、サービス業としての倉庫業の新たな競争力の源泉になっていくことでしょう。繰り返しになりますが、荷主の意識が変わってきている今、物流サー ビスを提供する側にも顧客に合わせて意識やサービスを変える必要性が出てきているのです。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2007年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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