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賃貸物流倉庫・大型貸し倉庫の記事

シービーアールイー瀬尾が語る物流マーケット

瀬尾 茂之

企業経営の中軸となった物流戦略。
配送戦略を踏まえた立地・物件選定と、物流総コスト比較が、成功の鍵。

シービーアールイー株式会社
コンサルティング本部
シニアコンサルタント 物流担当責任者 瀬尾 茂之

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より積極的な展開を目指した 荷主ニーズの変化

私は、2006年より今日まで、物流施設を中心とした事業用不動産に関する調査・コンサルティング業務に従事してきました。その中で近年感じるのは、荷主企業からの相談、特に施設の選択に関するご相談に変化が表れているということです。

これまでのご相談の目的は、何と言ってもコスト削減が中心でした。物流にかかる総コストを、いかに抑えることができるかに焦点が置かれ、そのための物流施設の集約・移転といった案件が大半を占めていました。つまり、結果として大型施設に移転するとしても、その目的は使用面積や支出の圧縮だったわけです。

ところが、この1年ほどは積極的な拡大路線が目立つようになり、それに伴った大型施設への移転が増えてきているのです。この要因は、いくつかあります。1つは企業の合併に伴う物流拠点の再編です。日本企業のM&A件数は、リーマンショック後一時は減少していたものの、経済環境の回復に伴いここ数年は回復傾向にあります。企業合併により重複する拠点を統廃合する中で、より大型の施設に集約移転しようとする動きが活発になっているのです。また、業績が順調に伸び店舗数を拡大している荷主企業では、既存の物流施設では明らかにスペースが足りなくなっています。そのため、すでにあるいくつかの既存物流拠点を集約・統合して、配送効率を高めるために、大型拠点へ移転する動きも継続しています。

その他、従来は同じ企業グループ内でも、各社ごと荷の種類によって分割して行われていた物流機能を、集約する動きが増加しています。つまり、物流の合理化・最適化を目指す動きが出てきているのです。さらに、荷主企業では、ECへの進出といった新規ビジネスへの参入に合わせ、既存ビジネスとのシナジー効果を出すため物流再編に取り組む企業もあります。

こうした動きは、3PL事業者に物流の一切を“丸投げ”しているような企業ではあまり見られず、主に自社内に物流機能を残している企業に顕著な傾向であり、そうした企業からのご相談が増えているのが特徴です。ご相談の目的がコストの削減であることは変わりませんが、従来は物流コストの総額を減少させようとしていました。これに対し、今日では売上を上げるための戦略的な投資として施設移転を考えてのことであり、売上に対する比率で予算を算出するようになった点が大きな違いと言えます。

物流戦略のあり方が 企業経営の重要なポジションに

こうした変化の背景として考えられるのが、物流戦略が企業経営の根幹になってきている点でしょう。例えばアスクルは、以前は注文を受けた商品を翌日に配送していましたが、現在では午前中に発注すれば、当日の夕方には届くようになりました。アスクルならぬ“キョウクル”になったわけで、それが実際、企業の差別化戦略となり、新たなニーズを生み、売上に直結するようになっています。いわば、「物流で稼ぐ」時代が到来したわけです。ECを中心とした大手の通販企業はいち早くそれに気づき、全体として、物流サービスの向上を図るようになり、事実、それに適合した企業だけが、業績を上げています。一方、かつての主流だったカタログを媒介とした通販企業は、すでに自社で拠点を構えており、その既存のネットワークがかえって足かせとなり、市場が求める即日配送などのサービスに即座に対応できなかった面がありました。このことで差をつけられたように見受けられます。

つまり、受注から配送までのリードタイムを短くするという「勝ち組」のビジネスモデルが明確になった今日、生き残るためには物流を強化せざるを得ない状況が生まれているのです。

これは言い換えれば、従来は本業のサポート的役割として考えられていた物流が、経営戦略上の重要な役割を担うようになってきたということでしょう。そして、物流を企業の戦力とするためには、部門毎の、あるいはグループ企業毎の部分最適ではなく、全体最適でなくてはなりません。部分最適で勝負できるほどライバル社は甘くはなく、そうすることが企業の差別化戦略として競争力の向上につながっていきます。それが結果的にサービスレベルを向上させ、売上アップ、さらにはトータルコストの削減につながることに、多くの企業が気づき出したということではないでしょうか。言うなれば、ロジスティックスが経営の根幹となり、より多く販売して利益を上げるためには、きちんとした物流施設とネットワークを構築することが不可欠な条件になっているのです。私自身も最近、とある荷主企業から、「全国一律に、翌日の午前中に配送できる物流拠点体制に再編するためには、全国を何拠点でカバーし、どこに拠点を置くのが最適か」というご相談を受けました。これが、ものを作り売るいずれの企業も、避けて通れない経営課題になっています。

2013年問題で浮き彫りになった 大型物流施設のニーズの拡大

ここまで述べてきたような状況から、物流施設の集約・統合に伴って、よりコストパフォーマンスの高い大型物件に対するニーズが急速に高まっています。その動向が如実に表れているのが「物流施設の2013年問題」に関連する顛末でしょう。

首都圏における大型物流施設の賃貸マーケットでは、2012年頃から「2013年問題」がささやかれ始めました。2013年における大型施設の供給が、過去最高だった2008年に匹敵する25万坪強に上ることで供給過剰に陥り、空室率が大幅に上昇して、賃料が下落局面を迎えるのではないかと予測されていたのです。 

しかし、フタを開けてみると、実際には前述の通りの集約や統合、新規拠点を構える積極的な動きがありました。結果的には、想定をはるかに超える23万坪以上という過去最大の需要があり、しかも1万坪クラスのニーズも吸収して、逆にマーケットは堅調な推移を続けました。

繰り返しになりますが、物流を変革させないと売上が伸びず、変革のためには攻めの姿勢で配送効率の良いネットワークの再編が必要であり、その器となるのが大型物流施設なのです。

2014年~2015年にも、多くの大型物件が出てくる予定ですが、現在では荷主企業のこうした拠点再編ニーズにより、順調に埋まっていくのではないかという予想がなされています。

自社物件VS賃貸大型施設 どちらが得か

ここまで、大型物流施設の重要性とニーズの拡大についてお話ししてきました。大型物流施設というと、BTSのシングルテナント型であれ、マルチテナント型であれ、最初に思い浮かぶのは賃貸物件でしょう。

しかし、荷主となる企業が配送効率を高めるため独自の設備・仕様にして、自社で施設を構築するという選択肢もなくはありません。ですが、現実にはいくつかネックとなる要因があります。

まず、土地の取得に関してですが、実際に物流施設構築を目的とした土地の買いニーズは急増しています。しかし、現在必要とされる物流は消費財主体の荷であるため、配送先は大都市圏。そのための適地といえる都心に近いエリアには出物が少なく、仮にあっても物流以外の用途のデベロッパーも含め競合するライバルが多いため、価格が高騰しやすい状況にあります。また、仮に土地を取得しても、東日本大震災以降は建築費の高騰が著しく、予想以上のコストがかかることを覚悟しなければなりません。さらに、土地取得から計画の立案、建設、竣工までには何年もの時間がかかります。その間にマーケットが変化し、拠点に対するニーズが変わってしまう可能性もあり得ます。こうした理由から、自社保有施設ではなく、賃貸施設を選択する企業が多いのです。こうした流れを受けて、大手デベロッパーを中心に年間数百億円レベルの新規開発が積極的に進められています。

こうした賃貸物件、特にマルチテナント型物流施設の人気が高い最大の要因は、主な借り手が3PL事業者であることも一因として挙げられます。荷主と3PL事業者との業務契約は、1~4年程度と短いものであり、その後は、再度コンペになる可能性が高くなります。そのため、3PL事業者としても3~5年程度の契約期間で賃借が可能で、仮に途中で契約先が変わっても対応できる、汎用性の高いマルチテナント型に人気が集まるのは当然のことと言えるのです。

湾岸部から内陸へ 移り変わる施設の立地

次に物流拠点の立地について見てみましょう。荷の動きをもとに考えると、かつては国内の工場で生産した製品を国内に配送するため、拠点は内陸に設けられることが多くありました。しかし、生産拠点が海外に移転し、消費財として輸入されるようになると、大きな人口を抱える首都圏であれば東京港などがその窓口となっています。ですから、一時的にストックするための保管倉庫であれ、消費者向けに配送するための物流センターであれ、コンテナの数が多く頻度が高いほど、港に近い方が総物流コストは安くなる傾向にあります。

また、実際に消費者に荷を届けるネット通販企業にとっては、即日配送を強みとして他社との差別化を図る上で、消費地に近い立地に拠点を構えることが重要です。こうして見ると、市川や浦安エリアの人気が高いこともうなずけます。ただし、近年では大型物流施設が多く竣工したことや、周辺にショッピングセンターなどが開発されたことから、パートタイマーの争奪戦となり人材確保が難しくなっているのもまた事実です。

こうした中、圏央道のような新規道路網のインフラが整備されたことにより、配送効率が良くて賃料が安い内陸部に大型施設開発がシフトしています。都心から北は八潮や三郷、柏、流山など、西は厚木や海老名がそのエリアに当たります。BCPの観点からいっても、湾岸部よりも安全性が高いと認識されていることも大きな要因で、実際に空室率も5%を切っているような状況です。

事実、流通加工などの作業が多い物流センターでは、人材の確保は重要な要件であり、その意味では、きれいで設備が整っている大型賃貸施設の人気が高いのは当然でしょう。中には、ライバルとなる施設が少なく人材が確保しやすいことを強みとして、施設開発を行うデベロッパーもいるほどです。

我々としては、企業がドレージをたくさんあげるのであれば、賃料が多少高くても総コストで割安になる湾岸部を、逆に扱う荷の単価とのバランスを考慮して安いものほど、ドレージがかかってもペイできる賃料が安い内陸部を中心に検討しています。

経営戦略として重要な 総コストの定量的な判断

物流施設を考える上では、物の流れ方とその量、それに見合う施設の立地、かかる総コストを相対的に判断する必要があります。ですが、一般の企業には、ここが良さそうだという定性的な判断はできても、総コストを定量的に調査してジャッジするノウハウまでは、お持ちでないのが実情でしょう。

例えば、企業にとって自社の店舗の分布から考えてここが最適だ、という立地があっても、必ずしもそこに適した物件があるとは限りません。その意味で、当社では荷主企業に対して、2つの視点でアドバイスしています。1つは現状の店舗網と今後の店舗展開を把握した上で、最適拠点を見つけて物件が出てくるのを待つ手法。もう1つは、特に1~2年以内に集約移転が必要な荷主企業ですが、その期限までに入居できる物件の中で、立地と物件タイプを鑑みて物流総コストが最も安くなるものがどれかを判断してコンサルティングする手法です。

そのためには、物流適地を判断する見識と同時に、数年後を含めた将来的に空きそうな物件の情報を持っていることも重要になります。こうしたノウハウを蓄積し、お客様にとって最適な物流拠点戦略を立案することが、我々コンサルタントの使命であると考えています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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