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賃貸オフィス・事務所の記事

工場進出事例 富士写真フィルム

FPD材料事業の新生産拠点設立に積極投資

富士写真フイルム株式会社
総務部 次長 井上 幸夫
FPD材料事業部 企画・業務グループ 担当部長 大谷 正明

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急務となった新工場建設

当社FPD(フラットパネルディスプレイ)材料事業部では、今後、需要拡大が見込まれる液晶パネル(LCD)に利用されるTACフィルムの生産拠点拡大のため、2005年4月に富士フイルム九州(株)を設立し、熊本県菊陽町への新工場建設に着手しました。

TACフィルムは、液晶パネルに不可欠な偏光板の保護フィルムで、一つの液晶パネルを作り上げるのに、前面と後面で計4枚が使われています。このTACフィルムは、写真用フィルムの製造技術を応用して作られていますが、品質に対する要求度は写真用フィルムよりも高いものとなっています。また、パソコンのモニターや液晶テレビなど、使用される製品は年々大画面になり、品質要求の声もますます大きくなっており、これに利用できる製品を生産できるのは、現在、世界でも当社とコニカミノルタさんの2社だけといった状況です。昨今の家電業界の活況からも想像がつきますが、液晶パネルの需要は、04年の1250万m2から08年には約3倍の3670万m2に達すると予想されています。当社もそれに伴って、現在の売上高1000億円の事業規模から、08年には2倍を超え、2000億円超に拡大する見通しとなっています。

現在、当社における液晶パネル用フィルムの生産拠点は、富士フイルム発祥地の神奈川県南足柄に加え、小田原、静岡県吉田町と富士山の周辺に三つの工場があります。今回、新工場建設に踏み切ったのは、今後の需要拡大に対応するには既存工場だけでは不足することが明らかなうえ、生産が追いつかない場合には、液晶産業全体に及ぼす影響が大きく、生産者としての責任を果たす必要があったからです。

スピーディーかつ慎重に進められた候補地選定

ではここで、新工場建設の候補地選定についてお話をしましょう。まず、03年12月にFPD材料事業部が新たに発足した際、新聞報道の中で、「将来的には新工場の建設を、九州もしくは韓国、台湾で」という記事が掲載されました。ただ、この時点では具体的な計画はなく、社内的にはFPDの将来の需要動向を探っているといったところでした。その段階で、九州を始めとした多くの自治体や、韓国、台湾などから総務部や事業部に誘致の申し出を受けたのですが、当社としては、お話をうかがうといった程度でしかありませんでした。

新拠点の話が現実味を帯びてきたのは、翌04年の4月頃です。関連部署で協議したところ、急成長が予測される需要と既存拠点の生産能力から、06年12月には新生産ラインが必要であり、そのためには、遅くとも05年夏には工事に着工する必要があるとの結論でした。さらに、そのタイミングから調査や契約、インフラ整備などの期間を逆算すると、すぐにでも動き出す必要があったため、5月にはプロジェクトチームを結成し、本格的な進出地選定に乗り出しました。その際、賃貸では権利要件が面倒であること、また、純粋な工場用地として何十年にもわたって事業を行うことなどから、当初より保有を前提に選定をスタートさせました。

最初は工業団地を中心に基本情報を収集。さらに、自治体や民間事業者へのヒアリングにより、一般に出ていない情報を集め、全国を網羅した候補地選定のデータベースを作成しました。この中から、富士山周辺の既存工場の地震・噴火等の災害時におけるリスクヘッジ、また、近畿にある材料メーカーや中国と四国にある取引先との距離を考え、候補地を関西・北陸・中国・四国・九州の5エリアとしました。この段階での候補地は、約80ヵ所といったところです。韓国や台湾などの海外拠点に関しては、将来的に予想される急激な成長に対して、建設に必要な技術者や協力会社の確保が困難で、需要に追いつかないとの見方から断念することにしました。

それから7月には、候補地選定の"MUST条件"を明確にし、絞り込みを続けたのですが、その条件とは、

  • 15ha以上の敷地面積
  • 05年6月の工事着工が可能
  • 1日1万トン以上の地下水あるいは工業用水が確保できること

の3点です。わずか三つの条件なのですが、この時点で、80ヵ所から10ヵ所強の候補地に絞られることになりました。

一般的な工業団地は、企業側の様々な要望に対して、最大公約数的に造成されています。全てのニーズに対応できる広さやインフラを整えておくのは、莫大な費用がかかることもあり難しく、マッチする案件が少ないのはしかたがないことでしょう。特に、今回の当社のような広大な敷地で、他の各要件を満たす案件は少ないといえます。そのうえ、広い土地には権利関係などの問題も多く、広さがあれば地権者との調整に時間がかかるといったことが起こります。今回は時間との勝負でもありましたので、地権者との調整が容易であることも重要な要件の一つとしました。

"WANT条件"の総合判断で選定

その後、これら十数ヵ所の自治体に対して、当社の具体的なニーズや選定基準、つまり"WANT条件"を示したうえで提案をお願いしました。

広大な敷地を要求したからか、候補地には臨海部の工業団地が多かったのですが、当社の場合、特に臨海部に立地を必要とするような特別に重い原料や製品ではないため、必ずしも臨海部である必要はありませんでした。また、地権者の問題をクリアしながら、山や農地を期日までに用地転換するという話もあったのですが、着工時期に間に合うかどうかという不安も残ってしまいます。

様々な提案に対し、こちらの条件である土地の取得価格および、物流や設備にかかるコスト、東京からのアクセスの良さ、雇用のしやすさ、人件費、県庁からの距離、子弟の学校を含めた従業員の生活環境、災害が少ないといったリスクマネジメント、誘致に関わる優遇制度の内容などを総合的に判断し、04年11月、ようやく熊本県菊陽町の土地取得を決定したのです。元繊維会社の跡地で、地権者の問題もなく、26haという広大な敷地を有していました。しかも阿蘇山のきれいな伏流水を豊富に湛えた地域で、"MUST条件"を充分にクリアしています。

九州は優秀な工学部を持つ大学が多く、高校でも進学校が多いことから人材も豊富で、産学共同の体制が取りやすい地域です。事実、先日実施した公募には、100倍以上の倍率の応募があるなど、優秀な人材を確保するのに恵まれた環境が整っていました。

工場から熊本の中心市街地(県庁所在地)まで約30分、空港まで約15分という立地は、東京から技術サポートする上でのアクセスに優れ、従業員の生活環境としても申し分ありません。また、博多港にも100km以内であり、ビジネスが拡大している韓国や台湾への輸出にも、恵まれた環境を持っています。なにより、阿蘇山を背景とした街並に近接した立地は、既存の工場がある富士山周辺と非常に似た環境にあり、自然と共生できる工場作りを目指す当社の方針にもピッタリだったといえます。

さらに、周辺地域に半導体製造企業が数多く所在していることも、大きな利点の一つ。ガスや電気、排水ルートなどのインフラが整備されやすいことはもちろん、専門的な技術を有した設備関連の協力会社が多いのも、今後の工場運営を考えた場合、メリットが大きいといえるでしょう。このように、様々なファクターにピンポイントで当てはまる環境だったわけです。

一方、工場誘致に関連した優遇制度については、とりわけ特別な条件が提示されたわけではありません。 優遇制度も"WANT条件"の一つではありましたが、何十年もそこで事業を継続させるわけですから、目先の補助金よりも、"WANT条件"の総合的な評価で決定していくことが重要と考えます。

行政との協力関係が早期の用地決定・着工の鍵

今回の工場進出はスピードが重視されたわけですが、その中で、行政との関係で特徴的だったポイントが2点あります。一つは誘致に関する交渉窓口をすべて県に一本化したこと。これは、提示される情報の錯綜を防ぎ、こちらの情報を正確に理解してもらうだけでなく、他の候補地も含めて、客観的な判断をする上で重要なことでした。

もう一つは、"WANT条件"にもあったとおり、県庁や町の行政と用地が距離的に近かったことも大きなポイントです。誘致だけでなく、開発に関わる許認可はすべて県が行うわけですが、県庁から近く、月にかなりの頻度で行われた県と町と当社との三者での打ち合わせもスムーズに運びました。物理的な距離が遠い場合、どうしても、今回は県が不在、今回は町がと、打ち合わせもままならないことが多くなってしまいます。これは、スピード重視の進出にとっては致命的といえるでしょう。加えて、今回は行政だけでなく、地元の関係者も非常に協力的だったことから、当初6月を予定していた地鎮祭も3月に行い、計画を前倒しで進めることができています。

操業までに投じる400億円を始め、将来的にはライン増設など設備関係を中心に総額1000億円を投資する予定です。さらに、予定の15haを上回る26haという広大な敷地を有したわけですから、フラットパネルディスプレイ事業だけでなく、他の事業の進出も十分考えられます。今後この地を、当社におけるアジアを睨んだ一大拠点にしていきたいと考えています。

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