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巨大オフィスフロアの メリット・デメリット

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2011年3月1日

ワンフロアの広いオフィスを使う最大のメリットは、その面積効率と自由度の高さにあります。フロアが広ければレイアウトの自由度が高まるため、そのぶん空間のロスを減らすことができます。

ワンフロア+ユニバーサルプランでオフィスの面積効率を最大化

例えば、A、B、C、D、Eの5つの部署を、3階層に分けて配置する場合を考えてみます。同じ大きさの3階層にそれぞれ大きさの異なる部署の塊が入れば、余剰スペースもバラバラかつ小規模なものとなるのは容易に想像できます。各階では有効な使い道のない、中途半端な余剰スペース。しかし、これをワンフロアに集約すれば、有効な使い道も見えてきますし、そもそも中途半端な余剰スペースが発生しないかもしれません。また、各階に配置していた会議室やユーティリティスペースなども1ヶ所に集約・効率化できれば、全体の面積も縮小できます。職種やオフィスの利用状況にもよるため一概には言えないのですが、多層階のオフィスをワンフロアへ移転することにより、ほとんどのケースで面積効率の向上がなされると考えます。

対向島型での「ユニバーサルプラン」は面積効率が良く、広いフロアであればこのメリットはさらに高まると言えます。オフィスの奥行きが深ければデスク配列数の制限を受けにくいですし、部門配置上のロスも少なくなります。もちろん配列数の長さにも適正がありますし、短い島の方が細かく調整しやすいという意見もあるかとは思いますが、1台当たりのデスク幅×配列数においてキャパシティを持つのは、やはり奥行きの深いフロアです。

デスクの形状ということでは、例えば120度のブーメラン型は島型よりも面積効率が低いのですが、広いフロアでは、業種によって使い勝手の良いブーメラン型でユニバーサルプランを効率よく展開することが可能です。近年はビジネス環境の激しい変化に応じたフレキシブルな組織とワークスタイルが求められていますが、そうした変更にも柔軟に、ランニングコストをかけずに対応できるのが、大型オフィスフロアでのユニバーサルプランの活用だと言えます。

コミュニケーションの活性化や利用者の執務環境向上にも寄与

広いワンフロアを使うメリットとしてよく挙げられるのが、社内コミュニケーションの活性化です。複数のフロアに分かれていると社員同士の顔もよくわからないということもありますが、同じフロアにまとめられることで社員同士の接触機会はおのずと増え、部門を超えた連帯感や組織レベルでの知識創造のしくみを演出することも可能になります。特に密な連携の必要な部門同士は、隣接して配置したほうが高い効果が期待できるでしょう。あるいは、コンタクトセンターなどのように、管理者が常に部門全体を見渡して統括する必要がある業種も、広いワンフロアでの利用が適しています。

広いフロアは見通しが良く開放感があるため、メンタル的にも利用者に良い影響を与えるでしょう。そこかしこにリフレッシュエリアや多機能なコミュニケーションエリアを効果的に配置することが、新たなビジネスのヒントを生み出すということもあるかもしれません。また、近年、企業責任の面からも重要視されている障害者雇用においても、ワンフロアであれば部門間移動などのエレベータの乗り降りやドアの開け閉めが少なくなるため、ユニバーサルデザインの観点からも優れたオフィスが構築できると言えます。

その他、セキュリティや安全面でもメリットがあります。見通しの良い広いフロアでは意図的な違法行為などの間違いが起きにくい、不審者も入りにくいと言われています。あまり想像したくありませんが、地震や火災といった災害時にも、見通しが良ければ要援護者を救出しやすいというメリットが挙げられます。ITインフラ構築においては、複数階の場合は専用EPSでもない限り、共用部のシャフトで上下階をつなぐためセキュリティが脆弱になりますが、ワンフロア利用であれば大部分が自社のフロア内で完結するため、セキュリティレベルは一段高いものになるでしょう。

広さのメリットを活かすには適切な空間設計が不可欠

フロアの奥行にあわせたユニバーサルプラン

その一方で、広いフロアを選択する際には細かな注意が必要になる場合があります。最大のメリットである面積効率も、適切なオフィス計画がなされなければそのメリットを十分に活かすことができません。例えば、奥行きが極端に深いフロアでは、奥の席にたどり着くまでの距離が長くなりますし、途中で横方向の中通路を設け過ぎればせっかくのスペースを有効に使っているとは言えなくなってしまいます。また、面積は広くても極端に奥行きが浅く横長のフロアでは、コア側に個室などを設けると、残りの奥行きが狭すぎて執務スペースとして機能しなくなる可能性もあります。受付や応接室などの来客エリアの配置も重要で、エレベータ等のコアと景観などをふまえ専用室内でうまく配置できるかどうかで、オフィスの使い勝手は大きく変わってきます。広さのメリットを活かすには、こうした点に配慮したレイアウトプランが不可欠なのです。

また、広いフロアに同じデスクがずらりと並んでいると、自分の場所がわかりづらいというデメリットもよく聞く話です。その場合には、部門ごとや建物の柱毎にサインや色の使い分けなどを施すといった視認性を高める工夫も必要になるでしょう。エレベータ、階段やトイレなどの共用部から遠くなることについては、部門特性を踏まえた配置を計画したり、できるだけシンプルな動線を確保したりといった配慮も必要です。

入居する際の工事については、その内容にもよりますが、作業員のフロア間移動や資材運搬の効率化、共用部を必要以上に介さない専用室内での工事などにより、工程圧縮も可能になると思われます。そうすれば、賃借物件間の移転において、その間の賃料の二重払いを軽減することにもつながりますし、新しいオフィスでの業務を早期に開始することも可能となります。

最新大型オフィスの利点を最大限に活かす工夫を

フロアの広さを活かしていないオフィスプランの例

広いフロアでは見通しが良いというメリットがある一方で、最終退出時の警備など運用面でカバーしなくてはならないことがあります。コア部の反対側の残業者に気づかず警備セットをしてしまい、発報してしまったという話もあります。入退出ともに管理し「あなたが最終退出者です」とシステム的に知らせることなども可能ですが、出入口に部門毎の在不在札を設置している企業もあります。デジタルであれアナログであれ、その企業にとって簡単で確実な方法が採用できれば、広いオフィスのメリットを効果的に活かせるでしょう。

環境面に目を向ければ、同じ容積ならワンフロアが広ければビル自体は低層になるため、エレベータを使わずに階段を生活動線として利用することも増えるかもしれません。一方、フロアが広いと、少人数が残業しているだけで全フロアの照明や空調を作動させなくてはならない場合もあり、ムダが生じる懸念もあります。そのようなムダをなくすために、ある会社では夜間残業のための専用スペースを設け、その空間だけ照明や空調を使用している例もあるほどです。オフィスが広いと照明や空調効率は低下するという意見もありますし、広くても狭くても変わらないという調査結果もありますが、広いフロアの特性を踏まえた工夫をすることが、環境負荷軽減の貢献へとつながっていくと考えます。

最後に、法規面についてふれておきましょう。大型ビルでみられるルートCなどの避難安全検証法適用のビルでは、防火シャッターなどオフィスを構築する上での制約が少ないというメリットがあります。しかし、その検証及び認定を受けるための期間が長く、新たなオフィス計画をするだけの十分な時間がとれないまま早い段階でのプラン確定を求められることもあります。メリットを最大限に享受するためには、そのための入念な事前準備が必要になってきますので注意が必要です。

広いオフィスのメリットとデメリットの両方を紹介してきましたが、やはり面積効率やオフィスとしての自由度の高さは、様々なデメリットを補っても余りあるメリットだと考えます。とはいえ、大型オフィスには小さいオフィスでは想定しなかったような注意点があるのも事実。これらのデメリットを理解し解消し、広さのメリットを活かすには、レイアウト、セキュリティや法規面、照明・空調設備などあらゆる点での検討と工夫が必要になってきます。

ビジネス環境が激しく変化する中、会社組織も、場合によっては事業そのものさえも柔軟に変化していかなくてはならない以上、その"器"となるオフィスはフレキシブルであることが不可欠です。最新オフィスビルの巨大フロアの利点を最大限に活用し、事業戦略にマッチしたオフィス計画を実行するためにも、私どものようなプロフェッショナルの助言を、ぜひ活用していただければと思います。

執筆者紹介

プロジェクトマネジメント ディレクター 田村 貴之

シービーアールイー株式会社
プロジェクトマネジメント
ディレクター 田村 貴之
MAIL : takayuki.tamura@cbre.co.jp
 

プロジェクトマネジメント アソシエイトディレクター 坂本 哲郎

シービーアールイー株式会社
プロジェクトマネジメント
ディレクター 坂本 哲郎
MAIL : tetsuro.sakamoto@cbre.co.jp
 

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上記の記事の内容は オフィスジャパン誌 2011年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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