これまで、東京における巨大フロアのオフィスビルについてを紹介してきたが、ここでコラムとして、世界各国のオフィス街における巨大フロアの事情を紹介してみたい。上記の図は、シービー・リチャードエリスの各国リサーチ部門に連絡をとり「そちらの都市で、1,000坪(3,300m2)以上のワンフロアを有するオフィスビルは何棟あるのか」「その中で、最も大きなフロアの面積とビル名はなにか」という二つの質問を投げかけ、その回答の一部をまとめたもの。
国ごとに、グロスやネット等ワンフロア面積の概念違いや、情報ストックしているビル群の水準に違いがあるため、正確な差を導けるものではないが、おおよそのところは把握できるのではないだろうか。
一目見て思うのは、世界的に見てもこのクラスの規模のオフィスビルは、さほど多くはないということ。「日本は国土が狭く地価も高いため、横に広いオフィスビルは海外の方が多いのでは」と一般的には思うのだが、ご覧のとおり、ニューヨーク以外の都市では数えるほど。広大な土地を有するオーストラリアのシドニーに至っては「1棟もない」との返答であった。
ロサンゼルスのコメントにあるように、オフィスビル集積地のイメージは摩天楼・超高層ビル群となるが、その中にはワンフロア1,000坪というスケールはなかなか見受けられない。日本においても、大型ビル群の代名詞である西新宿においてこのクラスのビルが見られないことなど、共通したものがあるのかもしれない。
「その都市において最大のフロアを持つビル」については、上海、北京、香港といった中国の都市では近年竣工したビルが、アメリカやヨーロッパでは、比較的築年数を経た伝統あるオフィスビルが挙げられた。ただキーテナントとしては万国共通で、いずれも金融機関や情報通信企業の名前が数多く見受けられる。