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新たなストラテジー構築が急務

市場全体が転換期を迎え、
新たなストラテジー構築が急務となった アセット/ファンドマネジャー

アトラス・パートナーズ株式会社
代表取締役 社長
平井 幹久

ファンドマネジメントからアセットマネジメントへウェートをシフト

当社は2003年11月、英国のアトラス・キャピタル・グループの関連会社として設立されました。アトラス・キャピタルはファンドオブファンズを運営し、ヘッジファンドの商品を中心として提供する会社で、同社が30%、残り70%を日本の個人が出資して、国内不動産主体のファンドオブファンズを運営することを目的とするジョイントベンチャーとしてスタートしました。

当社が最初に手掛けたのが、独自のマネジメント手法であるマルチ・マネジャー・ファンドです。これは、外部のアセットマネジャーが組成したファンドを含む複数の優良案件を組み合わせて投資するファンドで、様々なアセットマネジャーに分散させたポートフォリオを組むことで、より広範囲な投資対象のカバレッジとより高度な専門性を追求しています。

国内では、04年6月からこのマルチ・マネジャー・ファンドの第1号の運用をスタートしたのですが、その後、05年からは当社自身もアセットマネジメント業務を開始しました。これは不動産の取得競争が激しくなってきた時期と重なっており、投資の安全性を高めることが目的でした。これに伴い、事業主体もこちらに移行し、現在では業務全体の三分の二がアセットマネジメントとなっています。さらに、08年9月に不動産ファンド運用会社であるグローバンスの事業を継承したことで、アセットマネジメントにおける運用資産はそれまでの600億円超から約1300億円に拡大したのです。

当社の顧客の属性としては、05年までは中東の機関投資家が複数と、欧米の富裕層の資金が中心でした。さらに06年からは、これにフランスの大手銀行ソシエテジェネラルが加わり、07年にはソシエテジェネラルのファンドの対日運用本格化に加えて、クウェートのイスラム金融によるファンド、およびシンガポールのREITが顧客となりました。ここまでの投資家の比率は中東が三分の一、ヨーロッパ三分の二でした。ここにグローバンスから継承した8つのファンドが加わったことで、日本の機関投資家が増え、現在は国内が二分の一、ヨーロッパが六分の二、中東が残りの六分の一という比率になっています。

それぞれの投資家が求めるリターンの傾向としては、ソシエテジェネラルとイスラム金融によるファンドは投資期間が5年以上で、IR(R内部投資収益率)で10%台半ばくらいの利回り、中東の政府年金は常に数パーセントのインカムドリブンでの運用、REITについては安定性が求められているので5~6%の利回りとなっています。

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中東マネーの国内流入の先駆けとなる、イスラム法に準拠したスキームの構築

当社の発展に大きく影響を与えたことのひとつとして、07年、イスラム教のシャリーアに準拠した日本国内における不動産投資スキームの構築が挙げられます。きっかけとなったのは、顧客と会うために中東を訪問した際、いわゆるイスラム金融を使ったファンドの存在を知ったことでした。

イスラム金融によるファンドの投資は、世界の大きな市場を見渡せば大抵どこにでもありますが、日本にはありません。懐が深くオポチュニティが大きい欧米の市場と比較して、中東の投資家にとっての日本の市場は、それほど興味が湧く対象ではなかったようです。しかし、グローバルなポートフォリオを組むなら、世界第2位の経済規模を誇る日本にも当然あるべきものと考え、また何とかしたいという想いも強くありました。

そこでクウェートのブービヤン銀行が運営するブービヤン・グローバル・リアルエステート・ファンド(BGREF)、ハイポ・リアルエステート・キャピタル・ジャパン(HRECJ)と共同でスキームの構築に乗り出したのですが、課題となったのがシャリーアでした。イスラム金融ではローンという仕組みが認められておらず、そのため金利を使わない投資スキームにしなければなりません。そこでファイナンスリースをベースとしたストラクチャーを考案したのです。

具体的にはダブルSPC方式を用いています。まず、投資ビークルである第1SPCがBGREFから投資を受け、HRECJが資金を提供する第2SPCからファイナンスリースの形態でファイナンスを受けて投資を行うというものです。第1SPCは第2SPCに対してリース料として支払うのです。ファイナンスリース契約であれば金利は発生せず、そのためシャリーアに抵触せずに済むというわけです。また、シャリーアでは、アルコールや豚肉を提供するホテルやレストランをはじめ、金利を扱う金融機関をテナントとするビルへの投資も禁じていますが、それは物件を選べば済むことですのでそれほど問題はありません。

このスキーム構築に際して、現実に最も困難だったのは税制の問題でした。例えば5年のリース契約の場合、第2SPCには1年目と最終年に大きな売上が立っ てしまい、税負担が大きくなるのです。これをいかに最小化してリース料に上乗せせずに済ませるか、これが最後までネックとなった部分であり、解消は非常に 困難でした。そして、このスキームを利用することにより、07年9月、BGREFは都内のオフィスビル3棟を43億8000万円で取得しました。これによ り当社は、不動産投資における中東マネーの主要な受け皿を日本国内で構築した先駆けとして、高い評価をいただくことができました。

リスクマネーの運用に警戒感を強める海外投資家

さて、ここで気になるのが日本の不動産市場に対する海外マネーの投資マインドですが、一般論で言えば、周知のとおりかなり冷え込んでいると言わざるをえません。といっても、それは日本市場だけに限らず、2007年の秋以降、世界中のリスク資産全般への投資に対する警戒感が強まっており、日本市場もその中に含まれているという状況です。海外のファンドに話を聞いても、ファンドレイズが遅れていて、資金を集めようと思ってもかなり様子見の状況となっているようです。投資対象となる不動産の利回りや、物件のランクといったことに関わりなく、とにかくリスクアセットに対しての資金流入は、かなり止まっているような感触を受けます。

他方、例えばドイツのファンド運用会社であるDEGIが、今年の9月に大阪の店舗ビル「ラ・ポルト心斎橋」を取得したとのことです。同社にとっては初の日本投資だそうです。また、8月には同じくドイツのコメルツリアルの関連会社が、港区麻布台のオフィスビル「ダヴィンチ神谷町」を取得、さらにドイツのファンド運用会社であるユニオンインベストメントが、同じく8月に原宿・竹下通りに面した商業施設を取得するなど、依然、不動産取得に活発な動きを見せるファンドが存在するのも見逃せません。

4種の政府系ファンド市場全体が転換期を迎えるなか新たな

一方、国内の不動産プレイヤーを見ると、アセットマネジメント会社の動向が気になります。特に自己資金を投資していた先の財務状態が悪くなっています。幸い、当社は無借金で運営していますが、現在の状況を考えると、自社以外のマネジャーを起用するマルチ・マネジャー・ファンドを拡大するのは困難といえるでしょう。

当社では現在、自社でアセットマネジメントをしている案件が約1300 億円あります。ポートフォリオに関しては以前はオフィスが主体でした。事業承継したグローバンスが保有していたファンドが、レジデンシャルが四分の三を占め、残り四分の一がオフィス・商業施設・倉庫・ホテルであったため、結果として、現在当社のポートフォリオは全体の半分がレジデンシャル、三分の一がオフィス、残りの六分の一がその他のプロパティタイプという構成になっています。

また、グローバンスのファンドを継承したのと同時に、同社のスタッフ10名を採用しました。これは継承した既存のファンドを維持する上では十分な人員数であり、投資運用業者として今後の他のファンドを組成する上でも大きな戦力になると考えています。 先に触れたとおり、一般論としての海外資金の流入は厳しい状況にありますが、当社はまだまだ新規の投資を展開できるファンド資金を持っています。そうしたファンドの顧客のために、魅力的な長期的投資を継続していきたいと 考えています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2008年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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