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海外投資家の顔ぶれと投資マネー

国内不動産へと向かう海外リスクマネーの変化

2008年に入り、その様相が大きく変わりつつある日本の不動産投資市場。2005年頃から2007年にかけては、低コストでの潤沢な融資によって、投下自己資金に対する期待利益を高く見込むことができたこともあり、海外の投資家・ファンドによるリスクマネーが大量に日本の不動産へと押し寄せた。しかし、米国でのサブプライム問題による信用収縮が世界的規模で拡大したことで、不動産を含めたリスクアセット全般に対する警戒感が上昇。今秋には、大量の不動産ローン担保証券の発行元である米大手証券会社の破綻をはじめ、サブプライム問題で損失を被った各金融機関への公的資金投入が相次いでいる。これに対し、日本国内における不動産ファンダメンタルズは、世界の主要都市と比較しても引き続き堅調という見方もあり、事実、投資姿勢を堅持し続ける海外の投資家やファンドが依然見受けられる。このような市場の転換期において、海外投資マネーの属性はどのように変化し、何を求め、どこへ向かおうとしているのだろうか。今回の不動産金融レポートでは、日本の不動産投資マーケットの過去2、3年と今年2008年における海外からのマネーフローの変化に着目しながら、現時点におけるその動向について、不動産コンサルタント、アセット/ファンドマネジャー、シンクタンクの各識者にインタビュー。国内不動産投資市場における海外の投資家・ファンドの顔ぶれとその投資スタンスの変化をはじめ、グローバルマネーの運用サイドから見た市況感とファンドの運営状況、そして、サブプライム問題を機に脚光を浴びることとなった海外の政府系ファンドについて、それぞれ最近動向を踏まえながらその実態についてうかがった。

※当シリーズにおける各社へのインタビューは2008年10月に実施しており、本誌発行の2008年12月における最新の不動産・金融市況に鑑み、記事の内容と一部そぐわないことも予想されますのでご了承ください。

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シービーアールイー・ジャパン株式会社 シービーアールイー・コンサルティング エグゼクティブ ディレクター アンディー・ハーファート

日本不動産投資市場における
海外投資家の顔ぶれと投資マネーの変化

シービーアールイー・ジャパン株式会社
シービーアールイー・コンサルティング エグゼクティブ ディレクター
アンディー・ハーファート

オポチュニスティック・ファンドが台頭していた日本の不動産投資市場

2008年の日本国内における不動産投資マーケットの状況は、ここ数年と比較して大きく変化してきています。まず近年の動向を振り返ってみましょう。

05年から07年にかけてのマーケットには、日本の不動産を手に入れようとする海外の資本があふれていました。これは日本の市場が復活したということだけでなく、不動産投資家にとって資金調達のしやすさにも大きな魅力があったからです。例えば、ニューヨークやロンドン、パリ、シドニーといった世界の主要都市における成熟した不動産マーケットでは、初期の利回りよりも借り入れコストのほうが高くなります。一方、日本では低コストで潤沢な借入金を調達することができましたから、海外の投資家にとって日本はとても魅力的であったことだろうと思います。彼らはこうした資金を活用して日本の不動産を手に入れ、調達コストを上回るポジティブなスプレッドを早期に手に入れることができたのです。

つまり、07年までは、オポチュニスティックな海外の投資家グループが、不動産としての特徴や質よりも、レバレッジや為替ヘッジなどを用いることによって、利益を最大化するファイナンススキームに関心を持っていたということです。こうしたスキームを使うことにより、仮に利回りの高い物件を持っていれば、潜在的なリターンはますます大きくなったわけです。これが、郊外や地方のオフィスビルにも注目が集まった理由の一つでした。

加えて、昨年、このようなオポチュニスティックな投資家にとっては、4.5%程度の利回りであっても東京23区内におけるオフィスビルは、十分に魅力的な投資対象でした。それは、70~85%程度の高いLTVと為替ヘッジを使うことで、理論上は目標利回りを達成することができたためです。さらに、潜在的なIRR(内部収益率)の利回りは保有期間が短いほど高くなるため、短期間で手放そうとする傾向が見られました。

ドラスティックに変化する海外投資家の顔ぶれとその投資スタンス

しかし、08年になってからは以上のような金融工学的な手法は使いづらくなったため、海外からのオポチュニスティックな投資マネーは縮小しました。その要因となったのが米国のサブプライム問題の影響です。昨年まで、海外投資家に対して積極的に貸付をしていたのはベア・スターンズやリーマン・ブラザーズなどですが、彼らはサブプライム・ローンの影響により破綻しました。現在の経済状況に鑑みて、金融機関はより慎重になっていますが、私の考えでは、これは日本の不動産のファンダメンタルが悪化しているということではなく、米国のサブプライム問題に起因しているものだといえます。

結果として現在、日本のマーケットでもっとも活発な海外投資家の一つは、コア/コアプラスのファンドとなっています。彼らが求めているのは、優良なオフィスビルや立地条件の優れた商業施設など、長期にわたって安定した収入をもたらすことのできる物件です。こうした資産の取引が継続されているのは、今日のように金融機関が不動産融資について慎重な中でも、上記のような大型で優良な物件には融資に応じてくれるからです。コア/コアプラスの代表格としては、ヨーロッパ(特にドイツ)のオープン・エンド型ファンド、シンガポールのファンド、そして大規模なインターナショナル・ファンドなどがあります。また、資本価値の最大化ではなく、限られたリスクで安定性を求める生命保険会社や年金ファンドも挙げられます。このようなような取引の最近の事例としては、今年9月、ドイツのオープン・エンド型ファンドであるDEGIによる、大阪の「ラ・ポルト心斎橋」の取得です。

これは、大阪でも選りすぐりの商業地の一つである心斎橋にあり、スペインのファッション・リテーラー「ZARA」がメインのテナントとして長期契約を結び入居しているランドマーク的な物件です。まさに、コア/コアプラスの投資家が求めている立地条件と安定性を兼ね備えた物件といえるでしょう。

他方、少しでも中心街を外れたエリアのオフィス、住宅、ホテル、商業施設は、融資を受けることは難しいでしょう。例えば、東京の虎ノ門や丸の内にあるBクラスのオフィスビルはまだ融資を受けられますが、郊外や地方のAクラスビルはその可能性が低いといった具合です。つまり、昨年までは利回り・レバレッジ重視であったのに対して、 今日の主要な投資家の関心は、それほど大きなリターンはなくとも、長期間にわたる安定したキャッシュフローを生み出すような、好立地かつ高品質で、優良なテナントが入居している物件に移っているのです。

また、海外の投資家が関わった最近の不動産取引をみると、リレーションシップ・レンディング、つまり今まで何らかの付き合いのあった金融機関からの融資がとても重要になったことに気付かされます。例えば、物件を取得したいと考えたヨーロッパのファンドは、長い付き合いのある自国の金融機関の日本支店から融資を受け、日本での売 買に充てることが考えられます。

海外投資家の注目が高まる日本の不動産マーケット

日本のマーケットには、これまでも積極的に投資してきたGIC(シンガポール政府投資公社)のような重要なプレイヤーが存在し、引き続き投資機会を求めています。その他、政府系の資産不動産金融レポート運用をするグループや、中東系のファンドも、日本への投資に関心を持っているとされます。実際の投資規模は定かではありませんが、今後、彼らが日本に投資していくことは間違いないと思われます。特に中東の政府系ファンドについては、今のところ日本での投資規模は大きくないものの、今後は増大するとみられます。

歴史的に見ると、一般論として欧米の不動産投資家は、これまでヨーロッパが40%、米国40%、アジア20%という配分で投資をしていました。しかし、今日ではそれを、三分の一ずつを各地域に振り分けるという、よりバランスの取れた配分にしようとしています。特に米国とヨーロッパの一部で不動産マーケットが混乱している現況を見ると、アジアへの投資意欲は高まることでしょう。

アジアを一つの市場として見た場合、日本はもっとも大きな不動産マーケットです。日本の不動産市場は、安定的な金融システムや法体系が整備され、また投資適格物件がプロパティタイプを問わず多岐に渡って存在するなど、成熟度が高いといえます。このような整備された市場に投資を検討する投資家にとって、日本はアジアにおける第一の投資先になり得るでしょう。MGPA、メリルリンチ、ラサールインベストメントマネージメントなどのグループはアジアに多額の投資をしていますが、日本はその大きな部分を占めると考えられます。そして、このような投資意欲が日本の不動産市場へと注がれた大きな理由は、ひとえに海外の投資家がアジアへ注目したことだといえるでしょう。

日本における投資環境を、欧米と比較して考えた場合、海外の投資家がもう少し改善して欲しいと考えているのがマーケットの透明性です。その理由としては、第一に不動産に関する情報量が比較的少ないということ。そして第二には、その情報のほとんどが日本語でしか提供されていないということです。この不透明性が、海外の投資家が日本で取得した物件を、他国の物件と平準化して比較する際の障壁となったり、あるいは、国内での物件取得におけるデュー・デリジェンスの際に、同じ地域の他の物件との比較を難しくするという状況をもたらしています。ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、香港、シドニーなどと比べ、日本では物件比較のベンチマークが得られにくくなっているのです。

他方、日本における法体系は安定しており、立法措置による突然の変化も、アジアの他のマーケットと比較すればさほど心配ではないと考えます。ただ、税制については、より投資がしやすくなるよう簡素化すべきだと考える人はいることでしょう。現在、取引全体の税金支払いを軽減するため、かなり複雑な税制が用いられています。いかなる制度が良いのかについては、投資家とその税金に関するアドバイザーに委ねられるところです。いずれにせよ、海外の投資家にとって、世界第2位の経済規模を誇り、安定した法制度が整備され、成熟した不動産マーケットを擁する日本は、非常に魅力的な市場であることは間違いありません。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2008年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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