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オフィスセキュリティ構築の具体策

セキュリティの考え方も構築のフローも理解した、そうなると次なるステップは、いよいよその具体的な構築手法です。シービー・リチャードエリスが考えるセキュリティ構築のフレームで各項目別のアプローチのポイントを解説します。

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どこまでやるか

オフィスセキュリティ構築のフローは理解したとして、計画段階で、いきなりセキュリティシステム機器のベンダーや設備設計者といった社外パートナーに依頼してしまうといったケースを多々目にします。緊急な対応が必要な場合、早目に専門家のアドバイスを取り入れることは決して間違いではありません。ただし、そうなると、どうしても物理的なシステムや機器の導入、警備方法などディテールの計画に傾注していってしまいます。

その弊害は、第二章でご説明した通り「短絡的、個別の打ち手は無駄」につながりやすいということ。トライ&エラーを繰り返し、より良い形へとブラッシュアップしていけばいいという余裕のある企業はいいかもしれませんが、現実的な取り組みとはいえません。お金と時間、人的リソースは無尽蔵にあるわけではないですから、最初にいかに汗をかいて的確なプランを立ち上げられるかが鍵となります。

オフィスセキュリティ構築の陣頭指揮をとられる方(一般的には総務部門や社内プロジェクトのリーダー)が、どんなことを、いつ頃までに、どのようにやっていくかをプランニングするわけですが、その際、検討のフレームがあると具体的に考えやすいと思います。どのようにアプローチしていくかのガイドラインといってもいいかもしれません。

具体的なアプローチの仕方

図3

専門とする領域によってアプローチの仕方に差はあると思いますが、ファシリティに関するサービスプロバイダーであるシービー・リチャードエリスのアプローチは次の通りです。

①ロケーション ②隣接企業・同居テナント ③建築・設備的対応 ④システム的対応 ⑤機械的対応
⑥人的対応 ⑦オフィス内での対応 ⑧管理・教育・運用

このアプローチは、人的リスク、物的リスク、情報リスクのすべてにかかわるものであると認識しており、多少の前後はあるものの基本的には大枠からディテールへと並んでいます。この順序で検討していくことにより、手戻りや過剰な投資を抑えることができると考えています(図❺)。

1.ロケーション

現在のオフィスで構築するのか、移転を機に構築するのかにかかわらず、オフィスセキュリティには地域性やロケーションを考える必要があります。都心部と郊外部で違うのはもちろん、たとえば同じ東京都心部でも、丸の内エリアと渋谷エリアでは街としての特性や周辺施設も大きく異なっています。各企業は事業戦略に併せて拠点立地を検討するわけですが、セキュリティもその特性に併せて、個別に構築する必要があるでしょう。

このとき注意したいのが、日中と夜間の地域イメージの変化。昼間は整然としているにもかかわらず、実は盛り場への通り道となっていて夜は酔った人がごったがえしているとか、昼間は周辺住民でにぎわっているものの、夜は閑散としていて暗い道を女性社員が帰らなければならないエリアであるなど、時間による差は案外気が付きにくい点です。

その他、東京の本社が主導でセキュリティ構築を推進する場合、各都市のビル管理に対する慣習の差を認識しておく必要もあります。東京のオフィスビルでは、土日祭日は正面玄関が閉鎖され、従業員しかビル内に入れないのが一般的ですが、たとえば観光都市の大通り沿いのビルなどでは、かなりの確率で休日であっても正面玄関はオープンになっています。このような点を考慮せずにセキュリティ体制を構築してしまっては、的確さを欠くのは明らかです。

また、主題とは少し外れますが、BCP(Business Continuity Plan /事業継続計画)という観点で、液状化や水害が予測されるのかといったことも確認が必要です。行政発行の災害マップなどで確認をすることができますので対策に含めるといいでしょう。

2.隣接企業・同居テナント

自社施設や一棟借りの賃貸施設では隣接する企業や周辺の商業店舗、賃借オフィスビルのフロアや区画借りでは他の入居企業・団体など、近隣や同居する相手がどういった業種なのか、どういった施設を所有・運営しているのかということを知っておいた方がベターでしょう。反社会的勢力といったわかりやすいケースの場合は、当然、会社として適切な判断がされると思いますが、たとえば二四時間営業をする店舗の夜間の状況や、二四時間業務を行うテナントと同居するような場合は、建物の入退館にどのような影響が出るか知っておかなければなりません。

テナントビルの場合、特殊な機器や薬品などを使用する施設となっていれば、それが適切に扱われているのか、管理会社などを通して確認すべきでしょう。ひっきりなしに物流業者が出入りしたり、不特定多数の方を対象にしたセミナーが頻繁に実施されるという場合も、エントランスやエレベーター、廊下やトイレなど共用部への影響を考える必要があります。

3.建築・設備的対応

図3

建築面で挙げられるポイントは、まずスタッキング(複数階の場合の何階にどの機能、どの部門が入るかといった垂直上のゾーニング計画)やレイアウトプランに関してです(図❻)。

来客エリアをワンフロアに集中させ、一般の執務エリアへの侵入を制限するといった手法はよく活用されますが、役員フロアは災害時に避難しやすいよう低層階に、逆に、外部の侵入者から守るために高層階に設置といった考え方もあります。

その他、安全でわかりやすいオフィス内動線計画、避難経路、外部からの侵入を防ぐ建物設計や死角の少ないオフィスレイアウト、トイレ内天井への点検口の有無(入り待ち防止のチェック)、ガラスによる個室やエレベーター内の可視化なども建築的な工夫となります。業種によっては、特定部署へのファイヤーウォール(チャイニーズウォール)としての隔壁設置などもこれに含まれるでしょう。

設備的には、照明の適切な配置や自動点灯などによる暗がりの防止、空調設備や給水設備への容易なアクセスの防止(有害物質混入などの抑止)、電源やネットワーク設備への施錠や電磁波対策などが挙げられます。

4.システム的対応

主に各種認証サーバーやファイヤーウォールの仕組みなどです。これらはシステムインテグレーターやITコンサルタントにより計画されるものですから詳細は割愛いたしますが、その計画を実行するためには、建築・設備工事、機械警備との連動が必要です。関係者間でよく協議していくことが必須となります。

5.機械的対応

文字通り、機械設備の設置によって警備を行うものであり、入退出管理(建物エントランス、オフィス、マシンルーム・金庫室などの重要施設など)、監視カメラ(建物エントランス、オフィス内、マシンルーム・金庫室等重要施設、通路、エレベーター内など)、各種センサー(オフィス内、共用部、窓面など)などが挙げられます。

ご承知の通り、入退出管理などは、細かく設定すればするほど従業員や来客対応の利便性が損なわれる側面もあり、たとえば、トイレに行くだけでも三回、四回とカードを読ませ扉を開けなくてはならないといったケースも見受けられます。バランスは各社・各部門でさまざまですが、必要なものだけを適切に設置するというのが基本スタンスとなるでしょう。

業態的に来客が多い企業では、一般的に建物エントランスでのフラッパーゲートによる入館規制は敬遠される傾向にあります。その場合、各階までは誰でも上がれるようにした上で、来客ゾーンと執務ゾーンの切り分けで対応することになるでしょう。また、誘導用途となっている建物に入居する場合などは、「人のにぎわいを創出する」と「不特定多数のアクセスを避ける」という、相反する要素が出てきますので、その両面を融合させるオフィス作りを実現させなければなりません。

そのためにも、③の建築・設備的対応で軽減させる、適正化させるという視点が大事なのですが、場合によっては逆に意外なところに付加すべき点が出てくることもあるので注意が必要です。機械警備は、種別によって警備会社によるものと設備メーカーによるものとがありますので、適切な情報収集が大切です。

なお、多くの方がご経験されていると思いますが、入退出管理の導入・運用の際、従業員以外の一時的な就業者、来訪者、清掃や警備業者、郵便や宅急便など、オフィスに出入りするさまざまな方たちを、いかにリスクなく混乱なく整理していくかという課題は必ず出てきますので、妥協することなく議論していただきたいと思います。

6.人的対応

いわゆる警備会社による常駐、立哨や巡回です。監視室があったり出入り口に立哨がいることは、犯罪を未然に防ぐ一定の抑止効果があります。また、従業員が常時見ていることのできない部分を巡回でカバーすることも可能です。ただし、建築・設備の対応、そして機械的対応を考慮した上で、それらをカバーするという視点で計画をしないと、人件費が膨大になる可能性もありますので注意してください。警備会社を選定する際には、スクリーニングやその予定者の経歴を確認できればなお良いでしょう。テナントビルの場合は、ビル側の警備と兼ねてオフィス内の依頼をすることも有効な方法です。

7.オフィス内での対応

オフィス内でのアクセスコントロールという面では、⑤のICカード利用の入退出管理と連動させた仕組みがあります。ICカードを読ませ入室した人でないと自席のPCにもアクセスできず、複合機などのプリントもできないというようなものです。

その他、プリンタメーカー各社で提供しているカードリーダーのプリント制御の仕組みは、セキュリティ面以外にも部署単位、チーム単位で使用している共用プリンターでの書類混入防止に有効ですし、そもそも余計なプリントアウトをしないということは適切な書類廃棄方法に加えて情報流出などの低減につながります。また、整然と書類を保管・利用することは流出防止につながりますし、意図的な持ち出しの抑止にも効果があると思われます。

ノートPCを利用している場合はワイヤーロックをつけたり、帰宅時には施錠できる場所に保管するなどの運用で盗難を抑止することができます。オフィス内の施策については、オフィス家具メーカーなどでも有効な情報を提供していますので、そうしたものを参考とするのも良いと思います。また、残業者に対する安全性保や、これはDRP(Disaster Recovery Program /災害復旧計画) につながる話ですが、災害時要援護者(視力や歩行に障害のある方、外国人など)への適切な席の確保や有事の際の案内なども、事前に検討しておくべきでしょう。

8.管理・教育・運用

これまで、主にハード面やセキュリティ施策について解説してきましたが、これを導入・実行していくだけで万全というわけでは決してありません。どんな有効な策を整えたところで、正しく管理・運用されなければセキュリティホールは生まれてきますし、扱う人が目的や効果を正しく認識していなければ、単なる面倒な仕組みとなってしまいます。

詳しくは第四章で触れますが、定期的なモニタリング・教育を、ぜひ実施していっていただきたいと思います。
また、退職者やレイアウト変更への対応など、計画・導入時点とは条件が常に変化していきますので、手抜かりなく対応案を講じることが必要です。

オフィスセキュリティの運用において特に気を付けたいのは、来訪者に対してのホスピタリティです。非常に多いのが、セキュリティを強くしたばかりに受付がいつも込み合ってしまっているという例です。込み合っていてもきちんとした待ち受けスペースが確保されていればいいのですが、椅子もないロビーで来訪者が所在なく立って待っている光景をよく目にします。

さらに、皆が待っているところに受付担当が企業名を大きな声で呼び掛けたりすることもあり、これでは来訪者同士が困惑してしまうこともあるでしょう。最近、一部の企業では、待ち受けスペースのない受付階には多数の受付担当を配置し来訪者に素早く対応し、その後、エレベーターで待ち受けスペースや打ち合わせブースのある来客フロアに案内するといった二段階受付を実施しているところもあります。

二回目の受付では個人名で呼び掛けるといった配慮がなされており、ビジネスマナーや個人情報を守るといった点でも、また、ホスピタリティの面でも非常に気持ちが良いものです。

POINT

  • 構築へのアプローチは視野を広く
  • 適切な順序での検討は過剰な投資を抑えることができる
  • 正しく管理・運用していくために定期的なモニタリングと教育を
  • 会社内だけではなく外部の方へのホスピタリティも忘れずに

執筆

シービーアールイー株式会社
プロジェクトマネジメント部 ディレクター 田村 貴之

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