中国
広島市と岡山市は賃料の動きに収益力がほぼ重なって推移していることから、両市とも貸室面積の拡大に伴って空室率が上昇し、需要量はさほど増加しない様子がうかがえる。広島市は00年に対前年比0.7ポイントの空室率低下があったものの、賃料が低下し収益力には影響が見られなかった。6年間賃料低下が進行する中で、収益力も毎年低下している。
一方、岡山市は02年に空室率が対前年比4.3ポイント上昇し13.2%となった時点で、収益力は5.8ポイントもの低下を見せた。その後も空室率は徐々に上昇しているが、03年の収益力の低下は小幅に留まり、04年は0.2ポイントの賃料上昇に連動して、収益力も同ポイント上昇した。
四国
高松市は空室率が上昇し賃料が下落し続ける中で、収益力も99年対前年比-1.3ポイント、00年は-2.4、01年-5.5と低下。マイナス幅も年々増加してきた。02年は-4.4と低下幅は一旦減少したものの、収益力低下傾向は止まらず、03年には-7ポイントの大幅低下となった。しかし04年は大型ビルの竣工により、需要が活性化して収益力も7.9ポイント増と急上昇している。
松山市と徳島市の02年の収益力向上は、両市とも空室率の低下によるもの。徳島市は01年、02年と連続して向上しており、一旦低下後、04年は賃料上昇に連動して再び上昇した。
高知市は99年、00年と連続して収益力が向上したが、その後は低下が続く。
九州
福岡市は、賃料水準が継続して低下している中で03年以降は収益力が向上。03年は空室率が対前年比0.5ポイント上昇したものの、それを上回る都市拡大があり、収益力は0.3ポイント上昇した。04年は総貸室面積が増加した上に、空室率が03年の11.9%から10.8%と低下した影響で、収益力は1.3ポイント上昇している。
北九州市は緩やかな賃料低下と空室率の上昇を受けて、00年以降収益力は低下を続けている。
長崎市は、00年以降空室率の上昇を続けていたが、04年に対前年比2ポイント低下したことにより、収益力は1.8ポイント上昇した。
熊本市は03~04年に、賃料水準が9,320円/坪から9,390円/坪とわずかに上昇しており、それに連動して収益力は対前年比1.5ポイント上昇した。
宮崎市は99年、00年と連続して収益力が向上した。99年は対前年比2.6ポイントの空室率低下、00年は3.2ポイントの賃料水準上昇によるものである。
鹿児島市は、東京23区と主要5区、福岡市と同様に収益力が03年、04年連続で上昇した数少ない都市のひとつである。貸室面積の増加はわずかであるが、空室率が2年連続で低下した影響によるもので、特に04年は対前年比で2.8ポイントも空室率が低下し、収益力のさらなる上昇をもたらしている。