北関東
水戸市は、6年間で唯一、00年に賃料が上昇したが、収益力は低下。以降、01年、02年と賃料よりも収益力の低下が大きかったが、03年には空室率が低下し、賃料2.7ポイント低下に対し、収益力は0.4ポイントの低下に留まった。需要減退は若干落ち着いたかに見えたが、04年は再び空室率が上昇したため、以前の傾向に戻った。地価の指数は30台まで著しく下落しているが、賃料水準の低下幅は全国的に見て非常に少ない都市である。
宇都宮市は収益力と賃料がほぼ同等に揃って推移。総貸室面積が増加すれば空室率も上昇するという、需要量が大きく変化しない都市である。ただし04年は、空室率が03年の11.4%から8.2%まで低下したため、収益力は上昇した。
高崎市は賃料の上昇、下降を6年間繰り返してきた。収益力も02年まではその傾向にあったが、03年、04年は空室率の上昇に伴って、連続して低下している。
首都圏
東京23区は、収益力の水準が賃料よりも高く、かつその差が年々拡大している都市で、稼働床面積が増加するオフィス街としての成長・成熟の様子が見て取れる。賃料下降をオフィス街の成長と需要増が補い、収益力の低下を下支えしてきたが、02年に一旦下降。2003年の大量供給直前の借り控えがその要因といえる。03年は空室率が6.9%にまで上昇し、賃料も下落したものの大型需要が顕在化し収益力は上昇。04年は空室率が6.0%と若干低下したことにより、賃料低下に反して収益力は向上している。
全国で最も収益力が高い主要5区は、東京23区と酷似した形で推移しつつも、03年、04年は東京23区よりも収益力と賃料の指数差が若干広がった。04年の地価についても、地方都市のほとんどが下落を続ける中で、東京23区は対前年比0.4ポイント低下、主要5区は0.2ポイント低下と明らかに下げ止まり、直近の都道府県地価調査による基準地価(05年7月時点調査)は、東京23区対前年比0.6ポイント、区部都心部1.4ポイントの上昇を示している。
千葉市は、00年までは収益力が賃料を若干上回っていたが、01年空室率が20%台に乗り、その後も03年の22.7%まで上昇し続けるとともに、賃料よりも収益力が低下。04年は空室率が21.0%に低下し、少し需要が持ち直したためか、収益力は久々に上昇した。
昨今、好調な市況が伝えられる横浜市であるが、賃料と収益力は同等の推移で、需要変動がないように思える。ただ03~04年だけ見れば、空室率は8.9%から6.6%に低下しており、04年の賃料は3ポイント近く低下しているものの同年収益力は0.7ポイントの低下でしかない。さらに、今年に入っても空室率は低下を続けており、最新の05年9月期の調査では4.8%を示している。賃料は低下しているものの、収益力は上昇に転じたと思われる。
甲信越
新潟市は、99年、00年は若干賃料よりも収益力が低いが、01年以降は収益力が賃料を上回って推移。空室率は98年から04年の間に5.9ポイント上昇しており、6年間賃料下落が続く中で、一時収益力の上昇が見られるが、これは、自社ビルの賃貸化等による総貸室面積の増加によるものと考えられる。
甲府市、長野市は、いずれも賃料よりも収益力のグラフが下に位置しており、都市の拡大、需要拡大が起こっていない様子が見て取れる。また、目立つのは地価の下落で、全国的にもワーストクラスの水準となっており、6年間で指数は30台まで落ちた。ただし、それに伴って賃料水準が大きく低下しているわけではなく、特に長野市は、賃料下落は非常に少ない。