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日系企業の海外進出動向とその背景

急激に増加する日本企業の海外進出

日系企業の海外、特にアジア地域への生産拠点の進出や拡張といった記事が、連日のように新聞紙上をにぎわせている。
こうした動きは、なにも今にはじまった事ではない。かねてから、メーカーでは低コストの労働力を求めて、生産拠点を海外に移転する動きはあった。
ここで、1つのデータを見てみよう。下の表は2010年に日本貿易振興機構(JETRO)が、日本の製造業、商社・卸・小売企業を対象に行った、海外事業展開についてのアンケートの結果である。

日本企業の海外事業展開のトレンド(震災前)

日本企業の海外事業展開のトレンド(震災前)
出所:平成22年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(JETRO)

これによると、2007年には「事業規模の拡大を図る」企業が66.4%であったものが、翌08年には52.8%に減少している。その原因はリーマン ショックにあるわけだが、翌09年には60.1%、10年には74.3%と、07年までを上回る企業が、海外での事業規模を拡大するとしており、今後は もっと増えるだろうと予想されている。
なぜここまで日系企業が積極的に海外進出に乗り出そうとしているのか。その実態を探ってみたい。

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日系企業が直面する“六重苦”の経営環境

昨今、経済界では、日本企業を取り巻く経営環境の問題点を、その数から“六重苦”と表現している。いわく、

  • 超円高
  • FTA(自由貿易協定)
  • 法人税
  • 労働規制
  • 温暖化対策
  • 震災以降の電力不足

の6つがそれに当たる。これらのいくつかについて、簡単に説明しよう。

超円高

2011年10月初旬の為替レートは、1ドル=76円前後 1ユーロ=101円前後で推移している。2007年~08年当時が1ドル=120円くらいだったことを考えると、“超円高”ともいえる大幅な円高傾向が進んでいることになる。
この差は非常に大きく、例えば1ドル=100円のときに1000万円の売上となった製品が、現在では760万円にしかならず、特に輸出が多い企業にとっては、これだけでも死活問題といえるほどの大きな影響が出ているのである。

FTA(Free Trade Agreement=自由貿易協定)

FTAは海外との輸出入に関して、物品の関税、サービス貿易等の障壁等、通商上の障壁を取り除くための協定であり、一言でいうと貿易に関する関税を撤廃しようというもので、世界的なトレンドになっている。
中でもアメリカと韓国が関税の撤廃について積極的であり、これが実現すると、例えば韓国がアメリカに物を売ると関税がかからないが、日本とアメリカの間では関税がかかり、韓国企業の価格競争力が大幅に上昇することになる。
現在、新聞をにぎわせているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)もこの一環であり、参加の是非について日本政府の対応としては「早期に結論を出す」としているが、現在も結論は出ていない(2011年10月現在)。

経済産業省は、TPPに参加すれば関税が撤廃されることで日本のGDPは増加するが、しない場合は韓国が躍進する影響で2020年までに大幅に減少すると予想している。
一方で、農林水産省は、農業関連のGDPが減少するだけでなく、環境面でも損失が発生し、また雇用が失われ、食料自給率も大幅に低下するという見解を示している。
政府の中でもこれだけの意見の違いがあるために容易に結論が出ないわけだが、主にメーカー系の企業の立場に立つと、TPPあるいはFTAに参加しないと、海外企業との競争力が急激に低下することは明らかである、といっても過言ではないだろう。

法人税

アジア主要国における法人税の実効税率を比較すると、日本は40.7%と非常に高く、企業にとっては厳しい状況となっている。シンガポールは18.0%、香港は16.5%であり、世界平均の25.5%、APAC平均の27.5%と比較しても格段に高い。

一方、海外企業を誘致しようとする諸外国では、誘致後の数年間は法人税を免除するケースが多い。反面、日本に海外企業を誘致する場合は、この法人税40%が大きなネックになって、外資がなかなか入ってこない状況にある。
先に挙げた超円高も加わって、海外への本社移転を検討する企業さえ出てきているのである。

労働規制

2008年のリーマンショック後、景況が急激に悪化し、いわゆる派遣切りなどが社会問題化したことを背景に、2009年に誕生した民主党政権によ り、「労働者派遣法改正案」が提出された(現在も継続審議中)。これは、派遣法を厳しくすれば正社員が増え、雇用が安定するとの考えに基づいたもので、そ の概要は、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、最低賃金は時給1000円、となっている。

だが、企業の視点で見ると、繁忙期には人員を増やし、暇なときには少なくしたいわけで、いわば雇用の柔軟性を低コストで維持したい、というのが本音だろう。
しかも、労働コストについていえば、ベトナムは日本の約10分の1と、比較にならないほど人件費が安いという現状がある。つまり、日本で物を作るには、特 に付加価値が低いものに関してはかなり厳しい環境になっており、大手メーカーはもちろん、地方の中小企業であれ、国内での生産活動は難しくなっている。

主要国の労働コスト比較表(月額目安)

主要国の労働コスト比較表(月額目安)
出所:2009年度在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査
米ドルへの換算は2009/9月の平均レートを適用、正規雇用・基本給・実務経験3年程度の作業員の場合

さらに最近では、こうした六重苦に加えた「+1」として、世界的な株安により、企業経営は大きな痛手をこうむっている。これらのトレンドは、短期的には修正できるものではない。こうした現状を考えると、国内企業は望まなくても海外に進出せざるを得ない状況にあると言えるだろう。

 

加速する新興国への海外拠点進出、特に注目されるインド

かつて、海外進出といえば中国が注目されていたが、現在では新興国、特にインドへの拠点移管が目立ってきている。では、なぜ今インドなのか。中国との比較を通してその理由を説明してみたい。

まず、人口を比較すると、現在、中国が約13億人、インドは約12億人だが、2026~30年くらいまでの間にこの数字が逆転するといわれている。 その背景にあるのが中国の「一人っ子政策」である。この影響により中国の人口増加率は抑えられる一方、そういった政策の無いインドでは人口増加率が中国を 大きく上回ると予想されている。近い将来、インドの人口が世界一になることは確実と見られ、その潜在的購買人口は相当なボリュームになるだろう。

また現在、GDPは中国の約5兆ドルに対してインドは約1.2兆ドルである。一人当たりに換算すると中国は4000ドル弱、インドは1000ドルに なる。一般論として、一人当たりのGDPが1000ドルを超えると、バイクが売れるようになると言われている。事実、GDPがインドとほぼ同じパキスタン には、日本のバイクメーカーが進出し、拡販を計画している。一方、インドを見ると、もちろんバイクは売れているが、それ以上に自動車が売れている。それは 1台 2~3000米ドルという、廉価な自動車が販売されていることに加え、インド人の、特に中間層の所得が急増していることが背景にある。

なぜ所得が急激に増えているかというと、外資系企業が、インドの莫大な購買層をターゲットにすでに進出しており、工場を稼働させ、そこで働くインド人が増え、そのために収入が増え、それが購買に回るという循環が成り立っていることが挙げられる。

一方、貿易収支について見てみると、中国が2000億ドルの黒字であるのに対して、インドは1081億ドルの赤字となっている。インドは石油が採れ ないにもかかわらず、海外からの工場進出で石油の需要が増え、また自動車の台数が増えているといった状況の中、石油の全面的な輸入に頼らざるを得ないから だ。

もう一つの理由は、現在進出しているメーカーのほとんどが、現地の購買力を当てにした、いわば国内向けの生産活動を行っていることだ。つまり、ここが世界の製造工場といわれる中国との大きな違いであり、そのために貿易収支は大幅に赤字になっているのである。

だが、今後については、中間層の所得が増えていることで、インド経済は急速に拡大していくだろう。しかも、現地生産の製品の品質が向上すれば、現在 の中国から、輸出製品製造の拠点がインドに移ることも考えられる。こうして力をつけたインドがFTAに参加して、外貨を潤沢に獲得できるようになれば、国 自体の競争力が飛躍的に向上することは間違いない。
以上が、インドが今、海外企業から注目されている大きな要因である。

新興国進出で必要とされる“経験の蓄積”

シービーアールイーのグローバルコーポレイトサービス部では、日系企業が海外進出するに当たっての不動産ソリューションサービスを提供しているが、 今までは現地の工場を売却したいという話はあっても、土地や工場の取得に関するニーズは少なかった。それは、大手企業においては、長年の間に海外不動産取 得のノウハウが蓄積されていたからに他ならない。
だが、近年の新興国への進出に際しては、企業が土地の候補を見つけた後、その土地を取得するまでのプロセスをマネジメントしてほしいという問い合わせが多くなっている。

インドを例に取ると、かつては土地の利用者が、その所有権を持っていると考えられていた。しかし、イギリスの植民地になった際、土地制度が変更さ れ、利用者(小作人)から税金を徴収するようになる。さらに、1954年の農地改革では、利用者と政府との間で賃貸借契約(借地権)を結ぶにあたって、面 積の上限設定を加えた土地の再配分、つまり、たくさん持っている人から取り上げて少ない人へ分配するという制度が実施された。この政策への不満が農民の間 には根強く残っており、土地の売買に関しての訴訟問題が、現在も後を絶たない。

事実、インドの各州政府や諸外国のディベロッパーは積極的に農地を購入し、工業団地にして転売しようという動きが活発だが、こうした歴史的背景に裏 付けられた訴訟問題が絡むことが多い。しかも、日本と比較して土地の所有権に関する管理が曖昧なことが、不動産取引の複雑化、長期化に拍車をかけている。

インドに限らず、新興国と呼ばれる国では、多かれ少なかれ、海外の土地取得における従来の常識では対応できない問題が、多数起きているのである。
だが、これらのリスクを差し引いても、進出によるメリットが大きいことも明らかな事実。それだけに十分なデータと、課題解決のための多くの経験とノウハウ、さらに現地にネットワークをもつパートナーを確保することが、海外進出成功の鍵となることは間違いないだろう。

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