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株式会社関通|物流拠点構築ケーススタディ

ケーススタディ

2019年11月18日

株式会社関通

楽天は2019年3月より、Eコマース物流専門の3PL事業者・関通と提携し、尼崎市に物流拠点を開設した。関通は、この分野で圧倒的な評判を誇るパイオニア企業。ネットショップの成長に合わせた事業戦略・拠点展開を実施し、Eコマースの発展と共に成長してきた。同社が通販事業者に選ばれる理由は何なのか。同社独自の物流拠点展開における考え方や、お客様満足度を高めるための取り組みを取材した。

楽天のパートナーに選ばれたEコマース物流のパイオニア。
顧客の成長に合わせた物流サービスを可能にするための
拠点展開、施設構築、人材確保の独自戦略。

株式会社関通

楽天と共同で最先端の物流センター設立 “ラストワンマイル”へも初挑戦

関通は、関西を中心に全国に拠点を設け、ネット通販や通販事業者の物流アウトソーシングを受託する物流会社。Eコマース関連のビジネスが世の中に出始めた1997年頃から、Eコマースロジスティクスを専門に手がけ、急速に発展してきたパイオニアである。現在、大阪と東京で合わせて12の自社物流センターを運営し、その総面積は35,000坪に上る。取引先は年間400社以上で、700万~800万個の出荷に対応している。

同社は今年2月、楽天と物流分野における資本業務提携を行った。翌3月から、尼崎の物流拠点「関西主管センター」の一部を、楽天市場への出店者向けに物流アウトソーシングサービスを提供する楽天スーパーロジスティクスの拠点として運営を開始した。同センターの11,000坪のうち、4,000坪が楽天スーパーロジスティクス向けに充てられている。

業務提携に際し、関通は楽天を引受先とする第三者割当増資を実施。調達した資金を活用し、同物流センターのシステム開発や設備投資を進めている。関通の達城久裕代表取締役は、「楽天様との連携は、我々にとっても最先端の物流サービスに挑戦する絶好の機会です。このセンターは、当社の中でも自動化や機械化に先鞭をつける物流センターになると思います」と話す。

また、同社はこれまで在庫管理から発送までの倉庫業務に特化し、配送業務は行ってこなかったが、これを機に楽天の配送サービス「楽天エクスプレス」とも連携を強化し、軽トラック25台を導入して配送業務を始めた。「当社としては初となるラストワンマイルへの挑戦です。アイデア次第で色々な創意工夫が考えられますから、地域特性や荷物特性を考慮しながらノウハウを積み上げていきたい」と達城社長は抱負を語る。

専業でのノウハウ蓄積が強み 最高のお客様満足度で信頼を得る

株式会社関通

1986年に設立された関通は、元々、印刷会社向けの物流サービスを主な事業としていた。しかし、印刷不況の折、新しい業態を探していた同社が目をつけたのが、Eコマース物流だった。「1995年頃、楽天主催のカンファレンスで偶然知り合った楽天市場の出店者の方から、物流業務を依頼されたことがきっかけです。今でこそEコマースの物流は盛んですが、当時はそれを手がける会社はありませんでした。しかし、楽天市場の盛り上がりを見て、これは当社の中核ビジネスになるのではないかと思ったのです」と達城氏は話す。

Eコマース分野は未経験ながら、専業で取り組んできたことが同社の強みとなっている。「一概にネットショップといっても、商材によって物流は異なります。商材ごとに一つひとつノウハウを蓄積し、当社が業界スタンダードを作ってきました。これが、お客様からの支持につながっていると思います」と達城氏。今回、楽天の提携相手として選ばれたのも、Eコマースの物流における関通の確固たる評判があったからだ。楽天市場の出店者の間での認知度が90%を超えるほか、楽天が希望の物流会社を質問したアンケートでは、「関通」の名前が圧倒的に多く挙がったという。

関通の競争優位性はどこからくるのだろうか。この質問に対し、達城氏は次のように答える。「当社が最高のお客様満足度を提供しているからだと思います。Eコマースの物流におけるお客様満足とは何かといえば、当社のクライアントであるネットショップのお客様、つまりEコマースで商品を購入されたみなさまに、ミスなく、約束した日時に商品を届けることです。ネットショップは、物流がしっかりしていないと伸びません。物流品質がショップレビューにも影響するからです。楽天市場で毎年優秀な出店者を表彰する『ショップ・オブ・ザ・イヤー』では、当社が物流を受託するネットショップのうち、年間で最大6社が受賞しています。これは物流会社では一番多いのではないかと思います」。ちなみに、人の手を介した物流オペレーションでは、100万個の出荷に対し誤出荷を50~100個に抑えるのが限界だと言われているが、関通では平均して10~50個に抑える出荷精度を実現している。

ドミナント戦略と先行投資で顧客の成長に応じた物流サービスを提供

株式会社関通

ネットショップの成長や出荷の波に対応した物流サービス、それを可能とする物流拠点構築も、同社が支持される理由の一つである。例えば、売上10億円のネットショップが売上20億円を目指そうとした場合、その成長に対応できない物流会社は多いという。一方、関通がそれに対応できるのは、まず、エリア内に物流拠点を集中させるドミナント戦略を採用しているからだ。本社のある東大阪市では、2キロ圏内に8ヶ所、延べ15,000坪の物流拠点を展開し、1拠点でのキャパオーバーをエリア全体でカバーしている。そうすることで、ネットショップの成長段階や出荷の波に応じた物流サービスを提供できるというわけだ。

ネットショップの成長に先回りして倉庫を確保しているのも、他の物流会社とは大きく異なる点だ。「お客様とは真剣にお付き合いします。ですから、1社のために投資もします」と達城氏。空きスペースは物流会社にとってリスクにも思えるが、「スペースはいずれ埋まります。無理して埋めようとするよりも、物流の重要性を認識し、物流に適切にコストをかけるお客様に使っていただくことが大事だと思っています」と話す。常に最低でも1,000坪の空きスペースがあれば、新規顧客が空の状態の施設を見学し、自分たちの商品がどのような場所でどのように流通するかをイメージすることもできる。

新規顧客の開拓には、物流現場の見学と仕組み化のノウハウを学ぶセミナーがセットになった「倉庫見学会」を毎月有料で実施している。毎回、少なくとも10名が集まるという。物流現場をショールームとして活用するには、倉庫の見栄えは重要だ。そこで同社では、現場の整理・整頓・清掃を徹底している。「倉庫の清掃など当たり前のことですが、普通は少し早めに出社して掃除するのではないでしょうか。当社では始業から30分間、業務の一環として庫内清掃を行います。ですから、当社の物流センターは床もピカピカです。もちろん、お客様から大切な商品をお預かりしているのですから、倉庫環境をベストな状態に保つのは当然です」。

人材確保、自動化にも独自戦略を採用 荷主や荷物ごとに最適化を図る

株式会社関通

今回、楽天と共同で物流拠点を運営する関西主管センターは、尼崎港近くの工業専用エリアに位置する「ロジポート尼崎」の4階ワンフロアを占めている。関通がこの場所を借り始めたのは、六甲アイランドに拠点を構えるアパレル系ネットショップの自社物流センターが手狭になり、より広い場所を要望されたことがきっかけだ。当時、関通はこの会社の自社物流センターの運営を任されていた。CBREからの紹介で、2017年10月、ロジポート尼崎で2,300坪を借りたのが最初だった。それ以降、受託案件に応じて段階的に増床していったのである。

ロジポート尼崎を選んだ理由については、「ご縁があったから」と達城氏。「当社がこの施設のファーストテナントでしたから、CBREさんがオーナー側と交渉して、いい条件を提供してくれました。こうしたプラスオンの材料があったことも、ご縁を感じさせてくれた理由の一つです」。

ただでさえ人手不足が深刻な昨今、人材の確保は物流拠点を構築するうえで最も頭を悩ませる問題であろう。ロジポート尼崎の立地に関しては、「市街地から若干距離があり、庫内ワーカーを集めにくい立地だと思っていました」と達城氏は認める。とはいえ、ミャンマーに人材教育拠点となる学校を設立するほどグローバルな人材育成に熱心な同社にとって、人材確保はあまり問題ではない。今から6年前、国内での人手不足を見越して、「日本で働くため」の専門教育機関「ミャンマー人技能実習生トレーニングセンター」を設立。10畳一間ほどのビルの一室から始まった学校は、今やビル1棟を使って約300人の生徒を教える規模に成長した。「この日本語学校に行けば、日本の企業に就職できる」という評判から、多くのミャンマー人実習生を集めているという。社内に人材供給の仕組みがあることも、取引先には大きな安心材料になっているようだ。「我々ならお客様の成長曲線を描くことができます」。そう話す達城氏の言葉には説得力がある。

物流現場で培ったノウハウを生かし、在庫管理を効率化するためのシステム開発にも力を入れている。物流会社でありながら、マレーシア人、中国人、韓国人ら10名から成るグローバルなシステム開発部隊を有し、在庫管理システムを独自に開発するほか、外部への販売も行っている。最近では、マレーシア工科大学と早稲田大学を加えた産学連携プロジェクトを立ち上げ、物流ロボットの開発にも取り組み始めた。

物流センター内の機械化をどこまで進めるかについては、「オール自動化にはせず、人とロボットの融合を目指していく」とのこと。第一に、災害や問題が発生した場合にも、物流を停滞させないためだ。「災害による停電などの外部要因で出荷が止まってはなりません。何が起きても出荷できるためには、人手の余地を残した体制を組み立てるのがいいだろうと思います。マテハン機器を導入してオール自動化するよりも、小さな工夫や改善を積み上げて、荷主や商材ごとに生産性の最適化を図るのが我々らしいのかなと考えています」。

関通が目指すのは、日本一質の高い物流サービスを提供できる「日本一お客様満足度の高い物流会社」である。今回の楽天との提携を通じ、多様な荷主の物流ノウハウを蓄積しながら、Eコマースロジスティクスのトップランナーとして、さらなる発展を遂げることが期待される。

株式会社関通
株式会社関通

プロジェクト概要

企業名 株式会社関通
施設 関通関西主管センター及びRakuten Fulfillment Center Amagasaki
所在地 兵庫県尼崎市扇町20 ロジポート尼崎
阪神高速湾岸線尼崎末広IC 200m
開設 2019年3月
規模 ロジポート尼崎4階ワンフロア約11,000坪
うち Rakuten Fulfillment Center Amagasaki 約4,000坪
CBRE業務 施設賃貸借仲介

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上記の記事の内容は BZ空間誌 2019年秋季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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