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プロフェッショナル対談 物流マーケット情報 日本GLP×CBRE

過去最大規模の施設供給が予定されている、これからの首都圏の物流マーケット。 そこに先進的かつ高機能の物流施設を送り出し、業界における課題解決と、 その発展に貢献する日本GLPは、2019年これからの物流のあり方をどう見ているのか。 日本GLP投資開発本部長の塩田氏にお話をうかがった。

塩田 徳隆氏

日本GLP株式会社
執行役員 投資開発本部長 兼 投資開発部長

塩田 徳隆

田口 淳一

シービーアールイー株式会社
アドバイザリー&トランザクションサービス
執行役員 マネージングディレクター

田口 淳一

はじめに、2019年を迎えて

対談

田口昨年2018年は、首都圏で153万㎡の物流施設の新規供給があり過去最大となりました。御社にとって昨年はどのような年でしたでしょう。

塩田弊社も昨年は国内全体で約170万㎡の成約があり、過去最大のリーシング実績となりました。昨年はGLP流山や圏央五霞など7物件が竣工し、そのうちの6物件が竣工時もしくは直後に100%稼働、残る1物件も9割近くご契約いただき、非常によい年だったと思います。また、グローバル市場でも世界各国のGLPが過去最大の1900万㎡をリーシングし、インドの企業に出資も行うなど、世界的にも業容の拡大ができました。

田口御社は主に大型のマルチテナント型倉庫の開発を行われており、BTS型倉庫と比べると契約期間が比較的短いかと思います。契約更新などはいかがでしたか。

塩田再契約率でいえば、これまで80%だったものが昨年は90%ぐらいでしたので、リテナントが減りましたね。業容拡大に伴い、移転せざるを得ないテナント企業はあったと思いますが、賃料上昇局面の昨今においては、既存施設を活かしたまま新たに拠点を構える企業が多かった印象です。

田口リテナントが減り、昨年竣工した施設もほとんどが満床であると。すると、土地を仕込んでの次なる開発が気になるところですが。

塩田それは我々も頭を悩ませている状況です(笑)。オリンピックの影響もあり、土地も建築費も高騰傾向にありますよね。土地の取得方法としても、市街化調整区域を対象としたり、時間をかけて、入札以外の方法で進めたりするなど、工夫していくことが必要です。昨年末には、弊社3つ目となる、6250億円規模の開発ファンドを設立しました。引き続き物流施設へのニーズの高まりは感じていますし、まずはこの資金をもとに、新規開発に向けて着実に取り組んでいきたいと考えています。

昨今の物流マーケットへの見解と取り組み

塩田氏

田口昨今、物流業界のトピックスとしては、人手不足や効率化が大きく取り上げられていますが、一方で本年も昨年を超える200万㎡以上の新規供給が予定されています。このような状況についてどのようにお考えでしょうか。

塩田引き続き2019年も新規供給が多いものの、一方で需要も堅調であり、弊社もGLP流山Ⅲをはじめ、今年竣工する物件はいずれも100%契約済みです。需要の高まりの主な要因は2つあると考えています。1つはEC業界の拡大ですね。従来のEC企業のほか、日用雑貨やアパレル、食品スーパーなどの企業がEC部門を立ち上げ、小売店舗に加えてEコマースの拠点が必要になっています。いわゆる消費物流の分野で新たな需要が生まれていると言えるでしょう。もう1つの要因としては、荷主企業の意識の変化です。以前は物量の変化に応じて短期的な観点からスペースを押さえていたのが、今は3~5年先を見越した長期的戦略のもとでスペースを確保する流れに変化してきています。弊社の物件も竣工前からほぼ満床になる状況ですから、テベロッパー側も今年より来年、さらに次の年と、先のニーズを見越して物流施設を供給している状況です。

田口年々、生産から物流までのスパンが短くなってきています。このようなサイクルの速さも御社のような企業にとって追い風になっていますね。

塩田はい。今は製品の生産、加工と進め、その後の物流戦略を悠長に考えていたら、その間に消費者ニーズが変わりかねない時代です。そのため物流を含めたうえで事業全体の効率化を図り、利益を出すことが重視されていると思います。たとえば弊社の施設をある大手EC企業にお貸しした際には、社長自ら視察に来られ、施設の運営方法や使い勝手について確認されていました。一連の事業のなかで物流業務や物流施設が果たす役割が増している証左だと思います。

田口その観点で見れば、BTS型の自社専用倉庫のほうが事業をより効率化できるようにも思いますが、マルチテナント型を借りるというのは、どのような背景があるのでしょう。

塩田昨今のマルチテナント型倉庫は非常に使い勝手がよく、汎用性に優れています。また、企業の物流戦略が変化していくなかで、同じ場所、同じ面積の専用倉庫を10~15年の長期間コミットするより、3~5年間賃借して柔軟性を持たせるほうがフレキシブルに対応できるという側面もありますね。各企業が物流拠点をどう位置付けているか、ということ次第だと思います。

田口

田口EC業界の成長と戦略に基づき物流施設のニーズが増加しているとのことですが、国内のEC化率はまだ5.8%で、今後さらなる伸びも期待できます。

塩田消費者向けEC市場は、2024年度まで年率約5~10%の成長が続くとの予測もありますが、我々が中国や米国のビジネスで話を聞くと、日本はまだまだこれからだと。配送なども含め、EC業界でさらなる自動化が進んだ際には、加速度的に成長するかもしれません。我々も中国や米国での事業で得た知見を活かし、国内EC市場の成長に貢献したいと思います。

次代の物流集積地・相模原での大型開発

田口御社の今後の開発ですが、まずは2022年からの竣工に向け、約66万㎡のGLP相模原プロジェクトが動き出したと聞きました。どのような開発を予定していますか。

塩田昨年GLP流山で物流サプライチェーンの効率化を目指し、生産から保管、流通加工、配送を1ヶ所で行えるようにしましたが、おかげさまで好評をいただいております。そのためGLP相模原では工場機能に加え、研究所やデータセンター、ショールーム、さらにはシェアオフィスなど、物流機能に加えてその周辺機能を付加した一体型の開発を計画しています。相模原エリアはもともと工場の立地件数が多く、将来はリニア中央新幹線も通る予定で、利便性の向上が期待されています。市の行政も工場の誘致を意識されているので、私たちも行政の開発計画に合致したプランや雇用を生み出す場を提供したいと考えています。

田口工場としての機能を高める一方、物流施設としての汎用性はどのように担保されるのでしょう。

塩田建物の箱としての機能は、物流施設と工場でそれほど変わらないと思います。そのため中身の部分ですが、工場の場合は荷重に応じた床や壁、防火区画、電力や水道といったインフラ設備の充実が必要です。それらはニーズに合わせて柔軟に対応することができます。

田口従来、工場は用途が限定され、メーカーが独自で開設していましたが、GLPが用意すれば企業はいち建物使用者としてそれを借りて利用すればいいと。

塩田物流施設も以前は企業の自己所有が主流でしたよね。それが賃借に変わった流れと似ています。GLP相模原のプロジェクトは今年から設計に入り、2020年から順次着工、2022年から竣工予定です。総延床面積が約66万㎡ありますから、この広さを活かし、単なる物流拠点ではなく、工場機能なども加えた一体開発を行うことで、テナント企業のニーズに柔軟に応えていきたいですね。

田口これまでにない大規模な一体開発は、御社にとっても新たなチャレンジになるかと思いますが、GLP相模原がどのようなかたちに仕上がり、さらに様々な業界にどんなインパクトをもたらすのか、興味は尽きません。

GLP 相模原プロジェクト SAGAMIHARA PROJECT

相模原プロジェクト

2022年からの竣工が計画される「GLP相模原」。相模原エリアは首都圏の人口集積地に至近で、その優れた立地に加え、今後はリニア中央新幹線の新駅も計画されており、人口や企業の事業機会の増加が見込まれている。さらなるサプライチェーンの効率化を目指し、工場機能や研究所、ショールーム機能、シェアオフィスなど新たな付加価値の創出を検討中で、これまでにないマルチテナント物流施設として期待がかかる。

今後の物流施設像と物流デベロッパーのあり方

対談

田口マルチテナント型の物流施設がマーケットに現れて久しいのですが、当初は倉庫という箱のみを提供していたのが昨今はテクノロジーやBCP(事業継続計画)など、先を見据えた物流施設が求められています。そのような観点でいえば御社は今、どのような開発を心がけていますか?

塩田テナント企業の逼迫した課題として、働き手となる人材の確保が第一になっています。そのため働きやすい環境として大型シーリングファンの倉庫内への設置を標準化したり、温かい食事が提供できるよう、キッチンを併設したカフェテリアを設けるなど、テナント企業のご要望も加味しながらアメニティ面を重視した開発にあたっています。実際そのように対応した事例では、パート従業員の応募者数が定員に対して8倍になったケースもあり、改善が見られたと喜ばれています。また、GLP流山のような大型施設では託児所を設けており、こちらも当初の想定以上に利用いただいている状況です。お子様を預けて働きたいという方が増えており、今後もニーズが高まると思います。現在は働き方改革が推進され、物流市場で様々な雇用スタイルが求められています。弊社はパートナー企業とともに人材派遣サービスを行っていますが、物流施設のテナント間で人材のシェアリングができる仕組みも考えたいですね。

田口施設の防災や環境配慮についてはどのようにお考えでしょうか。

塩田その2点に関しては、これまでも積極的に取り組んできました。1つはBCP対応として大型マルチテナント型の免震倉庫を数棟提供しており、東日本大震災時には建物の損壊はもとより、商品の荷崩れも起きなかったという実績があります。今後は自動式ラックを採用した倉庫が増えると思うので、建物の免震化はさらに必要でしょう。一方の環境配慮に関しては、グリーンビルディングであることを証明するLEED認証の取得に取り組み、外資系企業を中心にこれを条件としてご契約いただくケースもあります。また、GLPでは免震構造に関する工法を独自に開発しているため、賃料を大きく変えることなく免震を施した施設を提供できます。お客様がどの施設を借りようか迷われたときや他社と競合したときなど、やはりこれらの施設に優位性があるように思います。

田口庫内の温度管理の需要はいかがでしょう。

塩田スーパーや食品製造業、医薬系企業などからのニーズはありますが、今後は冷凍冷蔵機能がさらに求められると思います。従来それらの企業は冷凍冷蔵庫を自己所有し、長く使うのが一般的でしたが、50年ほど前の高度経済成長期に建設されたものが多く、老朽化を迎えています。建て替えて自己所有すれば企業にとって大きな負担となるので、我々がその受け皿になれたらと考えています。

田口建物以外で力を入れられている点などありますか。

塩田物流のエコシステムを提案する関連会社、株式会社モノフルを立ち上げ、輸配送に関わる事業の第一弾としてトラックの車両管理システムを提供しています。これはトラックの走った軌跡や運転状況を詳細に記録するもので、安全運転にも寄与することから、このシステムを導入した車両に対しては保険料が割り引かれるなど、保険会社と連携したサービスを提供しています。また、2018年12月には貨物運送事業法が改正され、運送事業者だけでなく荷主企業にもトラックドライバーの働き方への配慮義務が設けられました。モノフルでは、入荷受付簿のデジタル化による業務の可視化や、バース予約による混雑緩和を実現するサービスの提供を開始する予定です。

田口単に倉庫を貸すのではなく、配送も含めたサプライチェーンの効率化を図ると。そのようなサービスを付帯した施設が、物流市場の構造に変化をもたらし、新たな需要の開拓につながるわけですね。

塩田実際にGLP相模原では路線便やラストワンマイルのターミナルを建設する予定ですので、集荷のマッチングや配送の効率化ができたら、物流ビジネスはさらに面白い次元に入っていくと思います。倉庫機能にプラスアルファすることがポイントですね。
 

GLP 流山 NAGAREYAMA

GLP流山

「GLP流山」は、2018年2月から2019年2月にかけて3棟を竣工し、合計の総延床面積が約32万㎡にもなるマルチテナント型の大型物流施設。都心部から約25km、常磐自動車道流山IC近接、国道16号線にもアクセス良好な立地で、通常の倉庫機能のほか、冷凍冷蔵倉庫・工場用途にも対応可能であり、この3棟で生産加工、補完、流通加工、配送までの物流プロセスをトータルで支援する。

DATA

■所在地:千葉県流山市南 ■最寄IC:常磐自動車道「流山」IC ■最寄駅:東武野田線「初石」駅

物流不動産マーケットの成熟に向けて

田口

田口以前、物流デベロッパーといえば単に倉庫という建物や場所を提供する存在だったと思います。御社のお話をうかがうと、物流施設に工場などの機能をプラスし、今後はさらにIT化やデータ分析に基づく新領域のサービスの提供など、業容の広がりに驚かされました。いわば物流コンサルティングの領域ですね。

塩田物流施設を提供するだけでは他社との違いが出しにくいので、マーケットのトレンドや課題を理解し、サービスも付加することで、差別化を図っている部分もあります。弊社の不動産賃貸ビジネスと物流周辺ビジネスの両輪による相乗効果が、新規の開発につながればいいなと常に考えています。弊社は物流や小売、通販業界で活躍していた人材の採用にも積極的ですし、不動産とその周辺の双方から提案することで、お客様のお役に立つことができたらうれしいです。

田口ITで自動化が進めば、従来は必要だった人手を減らし、24時間機械だけを稼働させることも可能ですよね。そうなれば採用の問題もクリアされ、人手不足に悩む地域でも物流施設を開発できる可能性が高まります。それに加え、人が働く場と人が立ち入らない場では、安全面への配慮の仕方にも違いがあり、規制緩和も見込めるかもしれません。

塩田氏

塩田たとえば自動式ラックを設置する場合、今は床面積に対して高さの制限があります。より背の高いラックが設置できれば効率性が上がり、広い敷地の取得が難しい都内23区や西東京エリアでも物流拠点を開設できる可能性が高まります。行政とも相談していますが、建物の容積率の緩和など、物流業界の変化に歩幅を合わせた規制緩和があれば、デベロッパーサイドとしては非常にありがたいです。もちろん、一方的にお願いするだけではなく、物流がもたらす渋滞の緩和をはじめ、地方での雇用の創出やその逆に人手不足の解消など、行政と協力しながら諸般の課題解決にも取り組み、より成熟した物流業界を目指していきたいです。

田口物流、不動産の両面からの新たなステップに、期待が膨らみますね。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

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上記内容は BZ空間誌 2019年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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