香港店舗マーケットの現状(2008年第1四半期現在)
2007年下半期、香港店舗マーケットは堅調な成長を遂げたが、2008年第1四半期にはマーケットにおいて統合の動きが見受けられた。店舗売上高と月間世帯平均収入も引き続き成長したが、インフレと不安定な株式市場の影響を受け、消費動向は慎重な動きを見せている。2008年2月期の店舗売上高は対前年比9.5%上昇して228億香港ドルとなった。物価変動の影響を受けて同期における店舗売上高の総計は対前年比4.5%上昇にとどまり、過去10ヵ月間において最も低い上昇率となった。特に、精肉、野菜・果物などを含む食料品の総売上高は、2007年10月期以降、5期連続でのマイナス成長となった。同数値はインフレに対する懸念から、個人消費の低迷が示された結果である。
労働所得の上昇、雇用状況の改善、海外からの観光客数の増大などの要因を背景に、香港の主要なショッピングエリアに不動産を所有しているオーナーは、店舗マーケットの市況については楽観的であり、店舗物件の販売価格と平均賃料は比較的高い水準で推移している。
中国国内のマーケットに加えて、観光客がもたらす経済効果は香港の店舗売上を支える重要な役割を果たしている。2008年1月期の海外からの観光客数は、概算で250万人にのぼり、対前年同期比16.2%の上昇となったが、今後、このような成長がどれだけの期間続くのか見通しはついていない。
2008年8月には北京オリンピックが開催され、馬術競技の開催地である香港では、国内外の観光客が見込まれている。しかし一方で、同競技が中国人観光客に受け入れられるかどうか疑問視する声もある。また、オリンピック競技の大半は、北京にて開催されるため、中国の国民の大半は、本土にとどまるのではないかという予測もあり、オリンピックの経済効果がどれほど期待できるのかは定かではない。
香港における主要なショッピングエリア
- セントラル
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香港における伝統的な金融の中心であるセントラルエリアは、ミドルアッパークラスの人々にとってのショッピングの中心地となっている。エアポート・レールウェイや地下鉄MTRが利用できるなど交通利便性が高く、多数のAクラスオフィスビル、5つ星ホテル、高級ショッピングセンターが存在するため、観光客、海外駐在員、オフィスワーカーなど、シングル、ファミリーを問わず幅広い層の買い物客に人気のエリアとなっている。
- コーズウェイ・ベイ
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コーズウエィ・ベイエリアは、観光客から地元の買い物客まで幅広い層の人々で賑わっている。店舗やレストランなどが数多く集積し、富裕層向けケータリングサービスなども行われている。
- チムサアチョイ
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チムサアチョイエリアには、多数のホテルが集積するため、大勢の観光客が訪れる。また、カオルーンからは、多くの若い富裕層の買い物客が訪れる。周辺のオフィスワーカーの利用頻度も高いことから、生活用品からブランド品まで、幅広いタイプの店舗が集まっている。また、エンターテインメント施設も充実しており、レストラン、クラブ、カラオケバーなどがある。
- モンコック
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モンコックエリアは、地下鉄MTRや九広鉄道が利用できるため、主に地元客が買い物に訪れる。また、ファッションやアクセサリーなどのブテイックが多数軒を連ねており、若年層にも親しまれている。
主要店舗賃貸取引事例(2008年第1四半期)
| エリア | テナント | 物件 | 契約面積(sqf) |
|---|---|---|---|
| セントラル | Sa Sa Cosmetic | Yip Fung Building 2-18 D'Aguilar Street | 3,000(グロス) |
| セントラル | Chow Sang Sang | Yu To Sang Building 37 Queen's Road Central |
G/F: 2,965(ネット) M/F: 3,420(ネット) |
| コーズウェイ・ベイ | Prince Watch | 60 Russell Street | 1,000(グロス) |
| コーズウェイ・ベイ | Bonjour | 23-25 Lee Garden Road | 1,400(グロス) |
| コーズウェイ・ベイ | DHC | 1 Great George Street | 1,075(グロス) |
| コーズウェイ・ベイ | The Body Shop | Shun Hei Causeway Bay Centre 492 Lockhart Road | 1,100(グロス) |
| コーズウェイ・ベイ | Safilo | 1 Pak Sha Road | 1,300(グロス) |
| コーズウェイ・ベイ | BeeCheng Hiang | Ying Kong Mansion 2-6 Yee Wo Street | 350(グロス) |
| チムサアチョイ | G2000 | Comfort Building 86-88 Nathan Road |
G/F: 1,964(グロス) 1/F: 1,550(グロス) |
| モンコック | Apex Sport | 46-50 Tung Choi Street | 4,120(グロス) |
店舗売上
香港における2008年2月期の店舗の売上額は、228億香港ドルとなり、対前年比9.5%上昇となった。不安定な株式市場を背景に、消費者は家計支出や投資を控える傾向にある。自動車の販売台数は対前年比33.6%の成長を記録したが、過去5ヵ月間の実質的な販売台数は27.8%減少となった。さらに、精肉、野菜・果物などを含む食料品の総売上高においては、最大で25%の下落となった。物価上昇などの理由により、消費者の購買力が低下したことが影響したと見られている。
店舗平均賃料トレンド
2008年第1四半期における主要な商業エリアの平均賃料は、対前期比0.4%上昇した。セントラルとコーズウェイ・ベイにおいて、2007年前半に賃料が急激に上昇した後、チムサアチョイやモンコックにおいてもそれぞれ、対前期比1.2%、0.5%の上昇となり高い賃料水準を維持することとなった。最近では、テナントはロケーションだけではなく、賃料コストに対しても慎重になっている傾向が見受けられる。賃料に関するテナントとオーナーとの協議はうまく進まないことが多く、オーナーは賃料の引き下げに応じないことから、中長期にかけて店舗の平均賃料は引き続き高水準で推移するものと見られている。
◎Source:全てのデータはCB Richard Ellis Market View 「Hong Kong Office」 First Quarter 2008による



