※ 当レポートは2025年7月に発表されたものです。全3回のシリーズで発刊、本号は第3回となります
※第1回の掲載は こちら から / 第2回の掲載は こちら から
サマリー
AIデータセンターの地方分散において優位性のあるエリアを検討する上で重要度が高い項目は、(1)再生可能エネルギーの導入ポテンシャル、(2)電力コスト、(3)工場の集積度、(4)インフラの整備状況、(5)地震の発生確率の5項目と考えられる。これらを勘案すると、北海道、東北、中部、九州がこれからのデータセンター立地として優位性が高いと考えられる。
NTTが推進する「IOWN構想」は、データセンターの地方分散を加速させるとみられる。IOWNは、通信の大容量、低遅延、低消費電力という特徴を持つ次世代の通信インフラ。これにより、地理的に離れた場所に分散したデータセンター間でも仮想的に連携することが可能になる。こういった技術革新により、今後、地方と大都市圏とのデータセンター立地としての優位性の格差は縮まるだろう。
データセンターの地方分散において有力なエリア
大都市圏における電力需給の逼迫や、再生可能エネルギーの有効活用という観点などが相まって、通信遅延に対して許容度の高いAIデータセンターは地方での開設が増えるとみられる。AIデータセンター立地を検討する上で、重要度が高いと考えられる項目としては下記の5点があげられる。すなわち、(1)再生可能エネルギーの発電ポテンシャル、(2)電力コスト、(3)工場などの産業集積、(4)インフラの整備状況、(5)地震の発生確率である。これらを勘案した結果、地方におけるデータセンター立地として優位性が高いのは北海道、東北、中部、九州と考えられる。以下、この理由について詳述する。
(1)再生可能エネルギーの発電ポテンシャル
再生可能エネルギーの潜在的な発電量を試算する上で重要な指標となるのが、土地などの設置可能面積、風速、河川流量などの資源量である。環境省は全自然エネルギーのうち、現在の技術水準で利用困難なもの、法令・土地用途などに制約があるものを除いたエネルギー賦存量の推計値を、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルとして公表している*7。太陽光、陸上風力、中小水力(ダムを必要としない中小規模の水力発電)、地熱を合計した再生可能エネルギーの導入ポテンシャル(年間発電量)が高い上位10エリアの中では北海道が突出しており、太陽光と風力が大半を占める。その他、東北地方や鹿児島なども上位に挙がっている(Figure 5-1)。これら上位のエリアに共通しているのは、広大かつ平坦な土地があり、通年で一定量の日照時間や風量が見込めるということだ。一方、洋上風力では北海道や東北のほか、九州でもポテンシャルが高い(Figure 5-2)。いずれのエリアの海域も風速が安定していることなどが理由とみられる。
会員ログインいただくと無料でPDFをダウンロードして続きをご覧いただけます
5. データセンターの地方分散において有力なエリア
(1)再生可能エネルギーの発電ポテンシャル
(2)電力コスト
(3)工場など生産拠点の集積度
(4)インフラの整備状況
(5)地震の発生確率
6. 技術革新によってさらに進展しうるデータセンターの地方分散
作成:2025年7月

