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株式会社水星 代表取締役 龍崎 翔子氏|INTERVIEW

「ホテルは観光資源や社会インフラになれる」。旅先や生活に“新しい選択肢”を生み出す、水星独自のホテル戦略。

国土交通省 観光庁 観光戦略課 課長 河田 敦弥氏

独自の戦略で、「ブティックホテル」や「ライフデザインホテル」を各地に展開し、旅先や生活に“新たな選択肢をつくる”株式会社水星。以前はインバウンド客が95%を占めていたが、2016年以降、メインターゲットを国内客にシフトし成長を続けている。土地の知られざる魅力や見逃されがちな生活の局面に注目して、そこに人の流れを生みホテルへの投資マネーを呼び込む、そのこだわりと想いを、代表取締役CEOの龍崎氏に聞いた。

株式会社水星
代表取締役CEO
龍崎 翔子

全方位的な無味乾燥なホテルより、お客様に選ばれる個性的なホテルを

「選択肢がない領域に新しい選択肢をつくる」ことを目的に展開している、水星のホテル事業の柱は、大きく分けて二つあります。一つは、「旅先の選択肢を増やす」ホテル。私たちはこれを「ブティックホテル」と呼んでおり、京都と大阪で「HOTEL SHE,」、金沢で「香林居」をそれぞれ運営しています。どのホテルに泊まっても似た体験になりがちだと感じていた私は、自分の好きな洋服やカフェを選ぶように、「このホテルが好きだから泊まりたい」と思えるようなホテルをつくりたいと考えたのです。もう一つの柱は、「日常での選択肢を増やす」ためのホテル。私たちは、これを「ライフデザインホテル」と呼び、生活空間としてのホテル利用の可能性を広げるために、まずは、産後ケアに特化した産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」を運営しています。

初めから「選択肢を増やす」ことを意識してブティックホテルを運営していたわけではありません。私が19歳で母親と一緒に起業した2015年当初は、前オーナーから引き継いだ富良野のペンション運営や、地元京都でのホテル運営から事業を始めており、当時は一般的な宿泊予約サイトで販売していました。しかし、手数料が高いうえに予約サイト同士の割引競争のしわ寄せが宿泊施設に及ぶような状況で、事業継続が難しいと感じており、2016年頃から戦略を大きくシフト。予約サイトでの上位掲載や好意的な口コミ獲得にあくせくするのではなく、お客様に選ばれる魅力的なホテルをつくる方向へと舵を切ったのです。それが、今のブティックホテルの原点であり、全方位的だった顧客ターゲットも、自分たちがつくるホテルを気に入ってくださるお客様へと絞られていきました。実際、富良野のペンションや京都のホテルには、日本の典型的な観光地を楽しみたいインバウンドのお客様が95%を占めていましたが、2016年のブティックホテル展開以降は、国内のお客様が大半を占めるようになっています。

香林居〔金沢・香林坊〕

その土地の独自性や空気感を読み解いて、魅力を表現するブティックホテル

ブティックホテルの空間づくりでこだわっているのは、その土地の魅力やつくり手の世界観を表現することです。土地の魅力というと、大体は「自然が豊か」「食べ物が美味しい」「人が温かい」の三つに収れんされることが多いですが、日本でこの三つが当てはまらない場所はほとんどありません。では、土地の魅力とは何なのか。私は、「他の土地と異なるところ」だと思っています。食べ物が美味しいのなら、「何がどう美味しいのか」「なぜそれが美味しいのか」…と掘り下げた先に、その土地の独自性が見えてきます。

例えば、私たちの運営する「香林居」は、金沢の香林坊という場所にあります。「金沢」ではなく、「香林坊」という土地にフォーカスしたのは、金沢には豪華絢爛、金箔、九谷焼、加賀百万石といったブランドイメージがすでに確立しているのに対し、香林坊には、まだ知られていない歴史的背景や神秘的な物語が存在すると感じたからです。香林坊は、比叡山延暦寺の僧の名前に由来します。かつて織田信長に滅ぼされた朝倉氏に仕えていた香林坊は、後に還俗し、金沢の薬種商に婿入りします。ある晩、義父の夢に現れた地蔵の教えどおりに目薬を調合し、その目薬が前田利家の眼病を治したことで、名を上げたと伝えられています。この話の真偽は定かではありませんが、私たちはこの物語から、香林坊という土地が持つ「おぼろげではかない空気感」を感じ取り、ホテルのコンセプトや建物、サービス、人材育成に落とし込んでいったのです。

HOTEL SHE, KYOTO

社会インフラへの成長が見込まれるライフデザインホテル

ライフデザインホテルは、前述のとおり、日常での選択肢を増やす取り組みとしてのホテルです。例えば、出産後、専門家のサポートを受けながら育児生活をキックオフするための環境をホテルが提供できると考え、産後ケアに特化したホテルを運営しています。産後ケア市場は、1990年代に韓国で生まれ、2000年代に台湾、2010年代に中国でそれぞれ萌芽期を迎え、そこから10年で一気に社会インフラになるまでに市場が成熟。恐らく日本でも、2020年代に市場の爆発が起きるだろうと、私は見立てています。

これ以外にも、嚥下障害の方が召し上がりやすい食事の提供を、香林居で実験的に始めています。嚥下障害の方は、とろみのある柔らかい食べ物しか口にできないため、一般的な会食や旅行がしづらいのが現状です。障害のある方々が社会生活からこぼれ落ちがちな現状に対しても、ホテルが新たな選択肢を提供することでお役に立てることがあるはず。ライフデザインホテルは、将来的に社会インフラに成長できる存在であると考えています。

HOTEL SHE, OSAKA
産後ケアリゾート HOTEL CAFUNE

いいホテルを地方につくって、人と投資を呼び込むインセンティブに

ライフデザインホテルが、機能に焦点を当てたホテルのため事業の再現性が高いのに比べて、ブティックホテルはその土地の独自性を表現した“オートクチュール”のため、どうしても再現性が低くなります。ただ、ブティックホテルはとても面白いですし、可能性のある領域だと思っています。というのも、我々の「HOTEL SHE,」に訪れるお客様にも「このホテルに泊まること自体が面白い」という方が多いように、若い世代を中心に「ホテルを目的地として旅する」トレンドが広がっているからです。このようなホテルがあること自体が、その土地の大きな観光資源に成り得るのです。

私たちは、特にまだ知られていない全国の“B面の観光地”に、ブティックホテルを広げたいと考えています。例えば、地方には有名な建築家が手がけたものの、使われなくなった公共建築など、素晴らしい資源がたくさんあり、こういった物件をお借りしながら地方で事業を展開していくことも考えています。そうすることで、ホテルへの投資マネーを日本の辺縁部に行き渡らせ、かつ人の流れも生むことができれば、ひいては日本の観光振興や地域活性化につながると確信しています。

インバウンドに関して言えば、私たちはインバウンドをターゲットにしているわけではありません。というのも、インバウンドは国際情勢に左右されますし、海外からのお客様は良くも悪くも “一見さん”なので、インバウンドにばかり頼っていると観光産業は長続きしないと考えているからです。それよりも私たちは、国内のお客様に目を向け、人々に選ばれる魅力的なホテルを地方につくることで、結果的にインバウンドのお客様を地方に呼び込むインセンティブになれればと思っています。

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上記内容は BZ空間誌 2023年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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