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株式会社ボーネルンド|クローズアップ不動産戦略

  • 2026年2月12日

卸売から体験へ、「あそびの価値」追求の軌跡。新六本木ヒルズ店が提示する未来の店舗像。

株式会社ボーネルンド

あそび道具、環境、そして場づくりまで。創業以来40余年、子どもの成長の鍵となる「あそび」の価値を追求し続ける株式会社ボーネルンド。そのビジネスの場は、卸売から直営店、体験型のあそび場、そして自治体や企業のあそび場の設計・プロデュースへと、時代とともに進化を遂げてきた。2025年10月には旗艦店として六本木ヒルズ店をリニューアルオープン。フラッグシップとしての役割をどう再定義し、これからの礎を築こうとしているのか。同社の拠点展開の道のりとともに聞いた。

株式会社ボーネルンド
専務取締役
池上 貴久

株式会社ボーネルンド 専務取締役 池上 貴久氏

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株式会社ボーネルンドボーネルンドショップ 六本木ヒルズ店

卸売から直営店への挑戦、心斎橋第1号店での確かな一歩

ボーネルンドは、あそび道具の提供からあそび環境の創造など、子どもの「あそび」について総合的に取り組んでいる企業です。私たちが主軸としている、子どもの発達に不可欠な道具を社会に届ける事業は、もともとデンマークのコンパン社製をはじめとした欧州の大型遊具を輸入し、卸売りするところから始まっています。1981年の創業当時、まだ日本においてあそびが子どもの成長にどれほど重要か、認識は十分ではありませんでした。そのような中でも、私たちが紹介する色鮮やかで子どもの発達段階を深く考察してつくられた遊具に、真っ先に強く反応してくださったのが、幼児教育の専門家の方々。彼らから「購入の機会を、もっとつくれないか」という熱い要望を多数いただきました。専門家がこれほど価値を認めるものならば、その魅力をより広く、直接的に提案することで、日本の子どもたちの成長に寄与できるはずだ――。その思いが、卸売業から直営店の展開へと踏み出す大きな転換点となりました。

こうして1986年にオープンしたのが、ボーネルンドショップ第1号店となる心斎橋店です。当時、本社は東京・赤坂にありましたが、なぜ心斎橋だったのかというと、創業者である中西将之、そして現会長の中西弘子が大阪出身で地域の事情に明るかったことにあります。路面店ながら、あえて一丁目一番地の最も華やかな場所ではなく、少し落ち着いた立地で開店。まずは私たちの哲学を深く理解してくださるお客様一人ひとりと対話し、手渡していく。そのための小さな、しかし確かな一歩が心斎橋でした。

株式会社ボーネルンド

来客のリテラシーに火をつける、情報発信を意識した原宿本店

第1号店での手応えを胸に、私たちは百貨店へのコーナー展開なども含め、少しずつ店舗を増やしていきました。1990年代後半には30店舗弱の規模になり、物販事業を通じてボーネルンドというブランドが徐々に形成。そして次なる大きな一歩として2001年、原宿本店を開業しました。この本店は単なる旗艦店というだけではありません。2000年代の初め、私たちの事業は物販だけではなく、幼稚園や保育園、公園などへ、あそび道具の納入とともに「あそび環境」を創造する事業が第二の柱となっていました。原宿本店は、このような事業ラインナップを社会に提示する場にしたのです。物販だけでなく、あそび環境事業のパネル展示や映像、ボーネルンドの歴史を伝えるコーナーを整備し、ここに来れば、ボーネルンドが子どもたちのために何をしようとしているのか、そのすべてが分かる、情報発信基地の役割を担わせました。

この戦略がもたらした効果は絶大で、お客様は単なる親子連れというだけではなく、プライベートで訪れてはいるものの、不動産デベロッパーのご担当者やカーディーラーの経営者、行政関係者や保育士の方々など多種多様。自身が携わる建物の共用スペースに「子ども向けの施設があったらよいのでは」と考えているような、高いアンテナを張っている方々のご来訪が実に多かったのです。「うちの施設にも導入できないか」と、彼らのリテラシーに火がつく瞬間を何度も目の当たりにしてきました。滞在時間が長い、熱心なお客様が相当にいらっしゃるので、カフェを新設し、イベントスペースを設け、子どものお誕生日会や赤ちゃんのプレイタイムなどを開催できるようにも。原宿本店は時代とともに多機能化し、2019年を含め何度かリニューアルを重ねながら進化を続けました。同じ建物の3階に本社を構えていましたから、店舗で得られたお客様の生の声や、デベロッパー様からの相談が即座に本社の企画や営業にフィードバックされる一体感も、私たちの強みでしたね。

「キドキド」事業の苦難乗り越え、異業種にも広がるあそび場づくり

本店の誕生、そしてそこで得られたお客様の声と共に徐々に成長してきたのが、物販やあそび環境づくりに加え、第三の柱として大きく成長した、あそび場の運営事業です。その代表格である屋内のあそび場「キドキド(あそびのせかい)」は、2002年に北九州市での展開から始まりました。場所は北九州市が保有する貿易振興関連の施設で、大型テナントの退去で約3,000坪もの広大な床が空いてしまい、その活用法が模索されていたのが始まりです。白羽の矢が立ったのが欧州から商品を輸入していた当社。「期間限定でいいから何かやってみないか」と当時、旧通産省に出向していた北九州市職員の方からご提案があり、前例のない面積規模でしたが新しいチャレンジとして引き受けることにしました。

スキームとしては、当社とは別の事業体が市との間に入り施設を賃借。我々はそこで、あそび場の企画・運営に携わったかたちです。結果的には、約1年半で、当時の北九州市の人口の約半分にあたる60万人近くが来場するという、私たち自身も驚く反響がありました。そこで「もっと多くの親子に体験してほしい」と考え、今度は自社事業として横浜の「リーフみなとみらい」に300坪ほどの規模でキドキドをオープンしました。しかし、事業として軌道に乗るまでには苦難の連続。北九州市での事業とは違い、今度は私たちが自ら床を借り、設備投資を行っており、当初は適正な入場料もわからず、大人料金がない一律の料金体系でした。さらに、子どもたちが夢中になって遊んでくれる一方で、施設の傷みが想定以上に早く、補修するコストも考えるとまったく採算が合わない。事業を始めてから数年間は赤字続きで、当時はデベロッパーの皆様から「本当にうまくいくのか」と半信半疑で見られていたと思います。

株式会社ボーネルンドMFLP・LOGIFRONT東京板橋 わくわく広場
株式会社ボーネルンドプレイヴィル 安満遺跡公園
株式会社ボーネルンドリポビタンキッズ PLAYLOT by BørneLund

風向きが変わったのは2008年頃で「キドキドがある施設」への集客効果が認知され来客数も上向き、デベロッパー様側からお声がけいただくケースが急増しました。2015年に、キドキドの視点を屋外、すなわち「自然環境」へと広げた「プレイヴィル」の事業も開始。これは公園の管理・運営に携わる不動産デベロッパーからスペースを借りて運営している事業で、屋内を借りるよりは賃料を安価に抑えられるものの、入場料収入が天候に左右されるというリスクがあります。しかし、風を感じ土に触れるなど、屋外でのあそびは多くの魅力にあふれています。実際、いざ始めてみると「雨の日でも子どもたちは外で遊びたがる」という発見もあり、多くの親世代、そして子どもたちに支持される事業となっています。

同じく2010年代からは、カーディーラーや書店、物流施設、道の駅といった、まったくの異業種である企業の施設にも、依頼を受けてあそび場づくりをさせていただいており、キドキドでのノウハウが生きています。当社は企画デザイン、あそび道具の導入、メンテナンス、コンサルティングなどでフィーをいただいていますが、これらはお客様から、長い目で見た施設への投資と捉えていただいています。集客が向上する、お客様の滞在時間が延びる、従業員のロイヤリティが高まる。子どもたちの環境を充実させることが、施設全体の、ひいては社会全体の価値を高めていく。その循環をつくり出すことが、成熟社会における私たちの役割だと考えています。

株式会社ボーネルンドkusu-guru kids park(クスグルキッズパーク)
TSUTAYA BOOKSTORE常総インターチェンジ内
株式会社ボーネルンドCotoToki(コトトキ) アカチャンホンポ
洛北阪急スクエア店内
株式会社ボーネルンドhu+g MUSEUM(ハグミュージアム)
花咲くフィールド

坪効率が厳しく問われる都市型店舗、試遊スペース確保の難しさ

当社の物販店舗について話を戻しますと、原宿本店という強力な発信拠点を持ちつつ、私たちは全国のショッピングセンター、百貨店といった商業施設へ出店を拡大してきました。しかし、そこには常にある種のジレンマがつきまといます。それは店舗面積の制約。特に都市部の百貨店や、集客力の高いショッピングセンターでは、採算性の検討にあたって坪効率が厳しく問われます。一方で我々の展開するボーネルンドショップは、子どもたちが実際にあそび道具を試せるスペースを、できるだけ設ける方針としています。なぜなら、子どもが夢中になって遊ぶ姿こそが、大人の心をも強く動かし、あそびの価値を直感的に伝えてくれるからです。しかし、人口が集中する商業一等地では、そのスペースを確保することが物理的に非常に難しい。

ですから当社営業担当者の重要な仕事は、店舗物件の所有者と、必要な店舗面積や賃料の折り合いをつけられるよう、入念にコミュニケーションを重ねることにあります。幸いなことに、長年の活動を通じて私たちの意図を汲み取り、共感してくださるデベロッパーのご担当者は確実に増えています。ご自身が親であるご担当者であれば「遊ぶスペースは自分の子どもも喜ぶだろうな」と理解を深め、優先的に広い区画を確保してくださるケースも多くなりました。出店したからには、私たちも結果を出し、デベロッパー様と私たちが「お互いにとって良かった」と言える関係を築き続ける。その繰り返しが信頼を紡いできました。

リニューアルした六本木ヒルズ店、親子ラウンジで見せる将来の店舗像

このような中、当社のすべての歴史と経験を踏まえ、私たちが今、未来への新たな一歩として位置づけているのが、2025年10月10日にリニューアルオープンした「ボーネルンドショップ 六本木ヒルズ店」です。このほど、原宿本店を改装のため一旦クローズしたこともあり、旗艦店機能をこの六本木ヒルズ店に集約しました。しかし、これは決して単なる集大成ではありません。むしろ、私たちのこれからの歴史を刻むための、極めて先鋭的な「実験の場」です。今回のリニューアルにおける最大の挑戦であり、冒険と言ってもいいのが、物販スペースを従来に比べて約3割も削減し、その場所に「親子ラウンジ」という時間制のシェアスペースを新設したこと。この割合でのスペースの使い方は、当社店舗の中でも相当な冒険でした。この決断をお話しした際、他のデベロッパー様や百貨店関係者の方々からも「本当に勇気がある」と驚きの声をいただいたほどです。

株式会社ボーネルンド六本木ヒルズ店 親子ラウンジ

親子ラウンジは、単なる休憩所やあそび場ではありません。整備の背景にあるのは都市部で深刻化する「孤育て(子育ての不安や悩みを共有できず孤立してしまう状況)」をどう解消するか、そして少子化とともに年々減ってゆく、子どもの居場所をどうつくるかという課題でした。ラウンジは基本的に、午前中に赤ちゃん連れの親子が集うイベントなどを催し、午後は時間制で自由に使っていただくようにしています。親子でボーネルンドのあそび道具を使ってじっくり遊ぶことも、親同士が交流し情報交換することもできます。9歳以上になれば、お子さんだけで利用することも可能です。時には子育ての専門家を招いたワークショップを催したり、時には大人だけが集まって子どもの未来を考える対話の場を開いたり。商品を売ることを一旦脇に置き、あそびの価値や子育ての知見を深く共有し、人と人がつながる「場」を提供することに振り切りました。このラウンジをあえて店舗とは別の場所に借りる選択肢もありました。しかし、あそび道具が並ぶ物販スペースと、あそびを体験し、人とつながるラウンジが地続きであることこそが重要だと考えたのです。あそび道具というモノと、あそび体験というコト、そしてそこから生まれるコミュニティ。そのすべてが融合する空間こそが、私たちが目指す将来の店舗像です。

株式会社ボーネルンド親子ラウンジ
株式会社ボーネルンド親子ラウンジ

「多様性」を体現した店舗空間、子どもの個性に着目した商品展開

さらに、この新しい旗艦店には「多様性」というキーワードもあります。これは、六本木という街の特性にも通じるところかもしれません。ボーネルンドでは子ども一人ひとりの個性に寄り添って、多様なあそびを提供したいと考え、店舗の設えや品ぞろえでそれを体現しています。内装は、長年にわたりボーネルンドの店舗デザインやキドキドなどの体験型事業をけん引してきた、現社長の中西みのりが目指すビジョンが色濃く反映されています。以前の六本木ヒルズ店は、土地柄を反映したシックで重厚感のある内装でした。しかし、今回は「あそびで、暮らしを祝おう(Celebrate Our Playful Life)」をコンセプトに、店内は虹やカラフルな色彩であふれ、子どもも大人も心が躍るような、多様性を祝福する空間へと生まれ変わりました。

商品のラインナップにも、多様性というキーワードを強く意識しています。私たちはこれまでも、あそび道具を「赤ちゃんから5歳くらいまで」といった発達段階で分けて提案してきました。新しい六本木ヒルズ店ではそこからさらに一歩踏み込み、子どもたち一人ひとりの「個性」に着目した提案を強化しています。例えば当社の共同研究パートナーが提唱している、脳や神経の違いを多様性の一部として尊重しようとする「ニューロパーソナリティ」という知見を取り入れた、あそび道具の棚を設けました。脳のどこが優位に働くかによって、その子の得意なことや興味の対象は異なります。その一人ひとりの個性に光を当て、その子が最も輝けるあそび道具と出会えるようにする。それこそが、当社の願うところです。

私たちは、2008年の出店時から六本木ヒルズを所有する森ビル様と密な連携を続けてきました。六本木ヒルズという施設全体の価値を高めるパートナーとして、時には施設の共用部に、子どもの休憩スペースを兼ねたあそび環境をご提案し、実現させていただいた経緯もあります。今回のリニューアルは、そうした長年の信頼関係の先に、私たちの挑戦をご理解いただけたからこそ実現したものでもあります。

株式会社ボーネルンド

株式会社ボーネルンド

株式会社ボーネルンド

少子化だからこそ「あそび」の体験価値を伝える場が重要に

さて、当社の今後の事業展開を考える時、二つの厳しい現実から目をそむけることはできません。一つは、物販事業そのものの難しさです。あそび道具も、今やインターネットで検索すれば簡単に手に入ります。単に商品を並べているだけでは、私たちの存在価値はありません。だからこそ、六本木ヒルズ店のような体験とつながりを提供し、「なぜ今、この子にこのあそび道具が、あそび環境が必要なのか」という、お客様のリテラシーそのものを引き上げていく場が不可欠なのです。もう一つの現実は、深刻な少子化。当社の創業期である1980年代には、日本の年間出生数は150万人ほどでした。それが今や60万人台にまで落ち込んでいます。市場が半分以下に縮小していく中で、どう成長していくのか。百貨店からも子ども用品売り場が消え、アパレルも縮小し、商業施設における「子ども」の存在感はどんどん小さくなっています。しかし、子どもが少なくなるからこそ、未来の担い手一人ひとりが健やかに育っていける環境の重要性は、むしろ高まっているはずです。私たちは、物販の売上という短期的な指標だけでなく、あそび環境やあそび場が持つ長期的な価値を、社会全体で共有していく必要があると強く感じています。

子どもたちが笑顔で遊ぶ場所には、人が集まり、コミュニティが生まれ、その地域全体が活性化します。その価値を、不動産業界の皆様にも深くご理解いただき、ともに未来の社会を築いていくパートナーとして、私たちの事業に「価値がある」とご判断いただけること。それこそが、これからのボーネルンドの成長の鍵だと確信しています。

株式会社ボーネルンド

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上記内容は BZ空間誌 2025年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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