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セール&リースバックを取り巻く昨今の状況

不動産活用の手法として今、注目されるS&LB

昨年来、手持ちの不動産の売却を進める企業が増えている。その中で注目されているのがセール&リースバック(以下S&LB)という手法だ。S&LBは所有している不動産を売却すると同時に、期間を決めて賃貸借契約を結ぶ取引である。つまり、自社所有から賃借に切り替えることで、物件の利用を継続しながら、資金調達や資金活用が可能になる取引だ。

所有することで発生していた管理費用や修繕費用、税金、保険料、減価償却費、金利負担などのランニングコストから解放される。物件によっては売却益が得られるうえに、金融機関からの借り入れと異なり、売却により得られたキャッシュの使い道が基本的に限定されることもない。S&LB後は賃料コストが発生し、賃貸施設であるが故に改修や造作、建て替えが制限されるものの、巨額のキャッシュを得る魅力には代えがたい。昨年11月に、2017年12月に開業したばかりの東京・南青山の本社ビルを売却したエイベックスや、今年1月に売却検討が大きく報道された東京・汐留の電通本社ビルなども、この手法を取り入れているとされている。

S&LBにおける売却価格と賃料は基本的に相関関係にあり、売却価格が上がれば支払い賃料は増え、支払い賃料を減らせば売却価格は下がることになる。売却額・賃料ともマーケットの相場がベースとなるが、物件の価値や売主のクレジット、設定した契約期間等によっては相場より高く売却できることもあるし、契約内容によっては相場より安い賃料で入居できることもあるなど、カスタマイズ可能な側面もある。先の電通本社ビルは簿価1800億円に対し、売却額は3000億円にのぼると言われており、S&LBが実現すれば会計上の課題はあるが単純計算で1200億円の利益が出ることになる。いずれにせよ、巨額の資金調達が可能であることは間違いない。

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かねてから使われてきた手法に、今だから注目が集まる理由

最近注目されているとは言え、S&LBは特に目新しい不動産取引手法というわけではない。1930年代の米国で、店舗をチェーン展開する小売業が起源とされるS&LBは、日本国内においても、2000年代にはオフバランスのために、広く利用されてきた。つまり資産効率の改善や有利子負債の圧縮、資金の捻出が大きな目的として挙げられることが多かった。

その後、リーマンショックを経て景気の回復傾向に伴い、オフィスビルなどでS&LBが利用されるケースは減少していく。その潮目が大きく変わったのが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大であろう。新型コロナの影響により、経済への打撃は世界規模で広がっている。こうした中、銀行からの借り入れや株式市場からの資金調達が難しく、売上低迷への対応として不動産の売却を考える企業は多い。銀行は今、たとえ優良企業であっても安易に融資はしてくれず、まずは自助努力が求められる傾向にあるとも言いう。だが、遊休資産の処分はほぼ終わっており、継続利用中の資産、例えば本社ビルに手を付けざるを得ないこともあるだろう。通常なら買い叩かれてもおかしくない状況だが、不動産売買市場は引き続き好調なため、アセットファイナンスとしてS&LBは有力な選択肢と言える。

だが、最近はこうしたマイナス要因からの利用ばかりではない。業績が悪化する前に手元資金を確保しておくため、あるいは感染防止のためのオフィスの効率化や、急ごしらえだったリモートワーク用のシステムの構築、あるいは本業に集中するため、さらには新規の設備投資を目的とする資金調達、M&A資金の確保など、成長戦略のためにS&LBを活用しようとするケースが増えてきている。

また新型コロナ対策として導入したリモートワークが想定以上に有効で、ウィズコロナ、アフターコロナにも継続しようと考えている企業は多い。その場合、従来の本社ビルに勤務する社員は大幅に削減され、大量の床が余ることになる。それならいっそ売却してキャッシュ化し、経済環境の変化にフレキシブルに対応できる体制を目指すという考え方もあるだろう。こうした企業からの相談が、昨年夏以降、急激に増えているのだ。

もうひとつの要因として、企業としての評価も重要となる。伝統的にS&LBは、ROA・自己資本比率などの経営指標の向上に資する手法として活用されてきたが、昨年来、企業の経営評価指標のひとつとして、企業が事業に投下した資本から、どれだけ利益を生み出したかを測る投下資本利益率(ROIC)の重要性が高まると言われている。そうなると研究所のように直接利益を生まない施設への投資は今後難しくなるかもしれない。そこでS&LBを活用して研究施設やR&Dセンターを開発し売却して賃貸にすれば、財務的な課題を解決することになるのだ。

S&LBは基本的には本社や地方拠点などのオフィスビル、物流施設、店舗などはもちろん、データセンターやR&D、工場といった特殊不動産でも可能性を持つ、今の時代にふさわしい資金調達手段なのである。

売主と買主がともに築くWin Winの関係性

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ここまでは売主サイドにとってのS&LBのメリットを見てきた。だが、現在の状況は買い手側にとっても大きなメリットがある。そもそも投資マーケットにおいては、景気が悪化した際には、資金は安定したマーケットに流れる。その意味で、先進国の中でも新型コロナの影響が比較的低い日本のマーケットに投資マネーが集まりやすい環境にあるのだ。

これら投資家にとって、オフィスは最も魅力的な投資対象であるが、リモートワークの拡大によって床に空きができると、状況は少々異なってくる。仮に普通にオフィスビルを購入してしまうと、テナントが抜けてしまうリスクがあり、その時のダメージが大きい。だがS&LBで、ある程度の期間でも確実に借りてもらえるなら、その分の収益が確定できることになる。買い手側としても、1年前にはまだ空室率が史上最低で推移し、賃料相場が上がる局面だったために固定したくはなかったが、現在の状況はダウントレンドが確定的なため、収益をフィックスさせる方がより良いという判断も当然だろう。

また投資家が、例えばAという事業会社の社債を買った場合と、その会社のビルを購入しリースバック賃貸した場合、同じクレジットなのに利回りの点では、社債利回りの平均が0.2~0.4%の推移であるのに対し、2%後半から3%前半のS&LBの方が断然メリットがある。したがって、半年ほど前から、こうした投資家からの「S&LB案件はないか」という問い合わせが急増している。このようにS&LBは、売主と買主、双方にとって魅力のある取引と言えるのだ。

実際、S&LB案件で入札すると、賃料相場を安めに設定しているにもかかわらず、想定以上に高額な金額が出てくることもある。オフィスマーケットは弱含みでも、投資マインドは高い。売り手企業のクレジットやその物件の立地、汎用性などの様々なファクターの条件さえそろえば、アグレッシブな金額提示が期待できる。特に今、最もホットな物流施設は様々な投資家が出そろってきているので、相場より高く売って安く借りることも難しくはないだろう。

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上記内容は BZ空間誌 2021年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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