050-5447-7862

平日 9:00〜17:30

物件を探す

事業用不動産のあらゆるニーズを網羅するサービスと豊富な実績で、お客様の課題を解決する最適なソリューションをご提案いたします。

お役立ち情報

CBREが手掛けた、さまざまな業種・規模の移転事例のご紹介を始め、オフィスや物流拠点の移転に役立つ資料・情報をご提供しています。

マーケット情報

独自収集したデータを元に、不動産マーケットの市況を分析予測し、市場変化をいち早く捉え、ポイントをまとめた市場レポートを配信しています。
また、物件レポート、業界トレンド情報など、事業用不動産の最新情報、トレンドを配信しています。

CBREについて

事業用不動産の分野において、世界有数の企業であるCBRE。日本国内におけるその強み、拠点、会社概要をご紹介します。

ヘルプ

物件検索の使い方や、会員サービス、よくあるご質問など、当サイトをより便利にご利用いただくための情報をご紹介します。

仲介業者様はこちら

賃貸オフィス・事務所の記事

福岡 マスミューチュアル生命保険株式会社 福岡本社

BCP対策を目的に本社機能の一部を福岡に移転。
8ヶ月のスピード実現は、“お客さまのため”。

オフィス

事業継続性の確保を目的に、東京の本社機能を一部移管し、新たに福岡本社を設立。 本社機能の集約による事業効率化が主流の昨今、BCP対策のためとはいえ、あえて本社機能を分割した狙いは何か。 また、なぜ福岡を選んだのか。外資系金融機関がリスク分散先として九州に本社を構えた初めてのケースを取材した。

事業継続性の確保のため本社2拠点体制を構築

オフィス

マスミューチュアル生命保険は、米国総合金融グループであるマスミューチュアル・フィナンシャル・グループに属し、日本国内のシニア・法人マーケットを中心に事業を展開する生命保険会社である。平和生命保険を前身とし、従来はいわゆる“生保レディ”による直販営業を行っていたが、2001年、マスミューチュアル生命として再出発後、ビジネスモデルを大きく変革させ、現在は金融機関窓販と生保プロ代理店による保険販売を行っている。国内拠点は、経営機能および事務処理などのバックオフィス機能を担ってきた東京・大崎の本社オフィスに加え、営業活動拠点として、大阪、名古屋、福岡の3ヶ所にオフィスを構えていた。

同社は2015年4月、本社機能の一部を福岡市に移転し、東京と福岡の2本社体制をスタートさせた。実は同社のような本社機能の分割は珍しく、どちらかといえば近年は本社機能の集約による事業効率化の動きが主流である。2本社体制の狙いについて、今回のプロジェクトを主導した人事総務部総務グループ長の森良彦氏はこう話す。「直販をメインとし全国に営業拠点を展開する保険業界の国内社では、東京と大阪での2本社体制を採用しているケースが多く見られます。当社のような東京一極集中体制はビジネス効率が良い半面、万が一首都直下型地震などで東京本社が被災した際、事業が継続できないリスクが非常に高い。東京圏と同時被災するリスクの低い地域へ本社機能を一部移転することで、事業継続性を確保することが狙いでした」。

本社機能の分散を検討し始めたのは、東日本大震災がきっかけだった。当初想定していたのは、大阪オフィスを拡張し、そこにコールドサイトを構築する案だった。コールドサイトとは、インフラが整備されているものの、普段は稼働していない仮想オフィスのこと。有事の際には東京本社からスタッフが移動し対応することを想定していた。ところが、2013年12月、内閣府から首都直下型地震の被害想定が公表されると、同社の事業継続計画は大きな見直しを迫られることになる。というのも、例えば従来は「被災1日後、停電率3.3%」だった想定が、「被災1週間後電力供給能力53%」に変更されるなど、予想以上に厳しい内容だったからだ。「この想定では、被災後、東京から大阪への移動が困難であるばかりか、東京の復旧もかなり遅くなる。また、南海トラフで地震が発生すれば、東海道や大阪にも深刻な影響が及ぶでしょうから、大阪のコールドサイトのスタンバイから、常時デュアルで稼働するホットサイトの整備、つまり本社2拠点体制の構築へと舵を切ったのです」(森氏)。

東京との同時被災リスクが低く成長戦略が描けるエリアを選定

オフィス

まず着手したのが、立地選定。経営陣とプロジェクトチームが中心となり、「東京本社とのデュアル稼働が可能」であることを最優先に、東京と同時被災リスクの低いエリアの選出、および耐震・制振性能や電力供給体制に優れたオフィス物件の検討を行った。エリア情報は、各県が設置する東京事務所を訪ねて収集していき、物件情報は全国のオフィスビル情報に長けたCBREに空室情報提供を打診。最終候補に残った数ヶ所のエリア・物件のうち、現地採用による人材の確保や、地元の提携金融機関への販売サポート強化など成長戦略が描けるかどうか、東京からのアクセスなども加味して選ばれたのが、福岡市中央区の「電気ビル共創館」だった。「九州全域から人材の流入がある福岡市は、人口における若年率が政令指定都市のうちで最も高く、優秀な人材の採用が期待されます。また、同市は本社機能の誘致に積極的で、『福岡市企業立地促進条約』に基づく交付金制度の存在も背中を押しました」(森氏)。立地が決まると同時に、社内に福岡本社準備室を立ち上げ、オフィス構築と運営の検討を進めながら、コールセンターやオペレーション業務などを順次移管していった。

オフィス構築にあたっては、「繋がるオフィス」をコンセプトに、東京・福岡の両本社および社員間のコミュニケーションや情報共有がスムーズに行われるオフィスを目指した。同社ではすでに導入されていたテレビ会議システムに加え、お互いのコミュニケーションを促進するダイバーシティレイアウト、社員交流やイベント、セミナーなどに使用できる多目的スペースを導入した。この多目的スペースは、市民に開放して交流の場としても活用されるほか、有事の際には東京本社のスタッフが執務するBCPオフィスも兼ねる。

オフィス

また、オフィスには「地元福岡との繋がり」という思いも込め、九州産の建材や伝統工芸を各所に用いた。エントランスには大川組子と久留米絣を用いたほか、会議室には九州産いぐさを織り込んだ花ござのファブリックボードを設置。「東京から他府県に本社を移す場合、いかにローカライズするかが課題です。外資系である当社は、『すぐ撤退するのでは』との印象を持たれる可能性が高く、そうなれば保険事業のみならず採用活動にも影響が出ます。私たちのローカライズの意思を、オフィスを通じて伝えるために、地元の素材や伝統工芸を多分に盛り込んだオフィスをつくりました」と、コーポレート・プランニング部広報担当の雨宮美野里氏は、新本社のコンセプトを語る。

トップの強い意志のもと8ヶ月のスピード拠点構築

オフィス

2014年7月、オフィス構築の最新ノウハウが詰め込まれた福岡本社が完成。8月には、コールセンターやオペレーション業務の一部を開始し、仮稼働にこぎつけた。本社機能の分割に向け本格的に動き始めてから、わずか8ヶ月でのスピード実現だった。その後、契約事務、経理、システム開発、経営管理、人事総務の業務を順次福岡に移管し、2015年4月には本格稼働を迎えた。

このような短期間で本社機能の一部移管が実現したのは、トップの強い意志があったからだという。「当社は米国の親会社も含めて決裁が早く、スピーディーに対応することでビジネスを拡大してきた経緯があります。当社のミッションには“最良の保険会社”が掲げられていますが、今回は、有事の際にも事業継続できることがお客さまの安心につながると考え、緊急に進めるべきとの経営判断がありました」(雨宮氏)。また、過去には事業拡大に合わせて東京本社や大阪オフィスを移転しており、オフィス移転や構築のノウハウが蓄積されていたことも、迅速な新本社設立に寄与した要因だったようだ。

オフィス

福岡本社の設立により、本社機能のデュアルオペレーションが実現し、より高い事業継続性を確保した同社。オフィス構築のノウハウを駆使し、福岡エリアでも有数の“モデルオフィス”を構築したのは、「福岡での採用を積極的に進めることで、福岡と共に成長し、福岡に貢献したい」というメッセージでもある。実際のデュアルオペレーションには、「しばらくは試行錯誤が続きそう」(雨宮氏)だというが、福岡を新たな基盤とする同社の飛躍が期待される。

ご移転計画のあれこれ、お気軽にご相談ください

CBREでは事業用不動産のプロフェッショナルチームが、お客様の経営課題や不動産にかかわるさまざまな課題解決をサポートします。

上記内容は オフィスジャパン誌 2015年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

記事を探す

物件をお探しのお客様専用窓口

CBREの記事をお読み頂き誠にありがとうございます。
ご移転のプランニングや優良未公開物件の仲介をご用命の際は右記のフォームからお問い合わせください。

物件相談フォーム