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人手不足の解消だけじゃない ――物流自動化のキーパーツ「AGV」をリードするPhoxterのソリューションとは?

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2019年9月18日

Phoxterのソリューションとは

日本中で人材不足が叫ばれる今、物流業界も例外ではありません。最新の厚生労働省統計によると、倉庫内作業などを指す「その他の輸送の職業」の有効求人倍率は1.21。12人の求人に対して10人しか集まらない状況です。(参照:https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/G35-3012.pdf

そんな物流業界の人手不足を解消するための決定打とも言えるのが「AGV」。Automated Guided Vehicleの略称で、倉庫内での貨物の運搬を自動化する無人搬送車を指す言葉です。

日本国内において、AGVのリーディングカンパニーといえるのが、大阪に本社を置く株式会社フォクスター。2017年創業の若い会社でありながら、物流の現場に多くの革新を起こしています。

セントレアロジスティクスセンター

今回は、中部国際空港セントレアのすぐ近くにあるセントレアロジスティクスセンターで行われた特別デモンストレーションと、株式会社フォクスター・西村社長の独占インタビューから、AGVの可能性を探ります。

AGVが求められる背景とは?

AGVが求められる背景とは?

― いま、倉庫の省人化・効率化のキーパーツとして「AGV」が注目を集めています。この背景について、解説して頂けますか?

西村社長(以下、西村):はい。まず挙げられるのが、人手不足と物量の増加です。前者は、日本全体の問題であって物流業界に限ったことではありませんよね。どの業界でも、人が足りずに困っています。

そして、後者が物流業界に特有の事情として、EC(インターネット通販)の台頭による物流量の増加があります。人は足りないのに、荷物は増えている。この状況を解決するにはいくつかの方法がありますが、その1つがAGVなどを使った倉庫の自動化です。

自動化というキーワード自体は、目新しいものではありません。たとえば、中部国際空港を中心としたこの地域は、古くから自動車をはじめとした製造業で栄えてきました。

大量生産によって利益を上げるこれらの産業は、生産現場が早い段階で自動化されてきました。ただ、人海戦術による操業も可能だったという事情もあって、「モノの運搬」という分野は、まだまだ人手に頼っています。また、これまでコストに見合う代替の自動化手段もありませんでした。

株式会社フォクスター西村社長

しかし、先にもお伝えしたように今は人手不足の時代です。従来のような人海戦術による操業が難しくなっていくこともあるでしょう。

そこへ来て、AGVを始めとした「倉庫内でのモノの運搬」に使える技術やデバイス(装置)が進化し、それに従って金額も落ち着いてきたため、注目を集めているのだと思います。

― 倉庫内でのモノの移動というと、ターレーや小型フォークリフトを使っている光景が想像されます。省人化という観点以外でも、AGVはこれらより優れている点があるのでしょうか?

株式会社フォクスター西村社長

西村:そうですね。たとえば、フォークリフトでのモノの移動には高い技術が必要なので、そういった人材をより適切な場所へ配置できるというメリットはあると思います。

また、人が移動してモノをピックアップしに行くタイプの倉庫は多いですが、そういった場合、どうしても棚と棚のピッチを人が通れる幅より狭くはできません。その点、AGVの場合には棚ごとピックアップする人の元へ移動させることができるので、10センチという挟ピッチで棚を並べることができます。当然、同じ面積の倉庫であればAGVが導入されている倉庫のほうがより多くのモノを入れられるので、面積あたりコストがかなり削減できますね。

挟ピッチで並ぶ棚と、それを移動させるAGV。

挟ピッチで並ぶ棚と、それを移動させるAGV。

さらに、労働環境の改善も大きなメリットでしょう。棚と棚の間を人が歩いてピックアップする作業では、1日にたいへん長い距離を歩くことになりますが、AGVであれば「棚が人のところへ行く」ので、これも解決できますね。安全な労働環境が実現できますし、ハンディキャップのある方でも働きやすい環境になります。

そして、省エネ化です。AGVが全面的に導入されれば倉庫に人がいなくても済むので空調や照明が不要になり、節電効果が期待できます。

倉庫の自動化を支えるハイクビジョンのテクノロジー

株式会社フォクスター西村社長

― では、御社で扱っているハイクビジョンのAGVについて詳しく教えて下さい。

西村:はい。AGVにはいくつかの稼働方法がありますが、私たち株式会社フォクスターが扱っているハイクビジョンのAGVで導入されている「二次元コード式」では、床面に貼られた二次元コードをAGV底面のカメラで読み取って自分の位置を確認します。 倉庫の床面に一定間隔で二次元コードを貼っておく必要があるので、一手間必要ですが非常に精度の高い運用が可能な方法です。

二次元コード

デモンストレーションのためセントレアロジスティクスセンターの床面に貼られた二次元コード。

AGV底面のカメラで二次元コードを読み取る

AGV底面のカメラで二次元コードを読み取る。

もうひとつ、AGVでよく用いられるのがSLAM式というものです。ロボット掃除機にも使われる方法で、本体から照射した光が反射して戻ってくるまでの時間で部屋の形状を認識して、自分の位置を確認します。そのため、今ある倉庫にもそのまま導入できます。ただ、1秒間に30万キロのスピードで行き来する光を正確に読み取るにはやはり限界があり、精度の面では二次元コード式に劣ります。

私たちは、精度を優先して二次元コード式のAGVを主に扱っています。

― なるほど。今回のイベントではAGV以外にも倉庫の自動化に関する装置をいくつか展示されていますが、それぞれについて簡単にお聞かせ頂けますか?

西村:はい。まず、仕分けの装置です。高精度のカメラとAIによって、高速で流れていく荷物を正確に仕分けする装置です。 上下左右に設置したカメラでバーコードを読み取って、適切な場所へ仕分けすることができます。

二次元コードが高低差をもって高速回転する装置

デモンストレーション用に用意されたのは、QRコードやバーコードなど様々な二次元コードが高低差をもって高速回転する装置。

二次元コードを読み取るカメラ

二次元コードを読み取るカメラ。高低差によるピントのズレや回転によるブレの影響なく正確に読み取ることができる。

そして、AIによる破損品などのピックアップ。機械学習で「正解」を学んだAIが、その正解との誤差を検知して破損品や欠陥品があればアラームを出してくれます。たとえば、お弁当の工場で「天ぷらを入れ忘れた」というミスであればこれまでも重量で検知できましたが、「かぼちゃと人参の位置が逆だった」というようなものは人の目でチェックしていました。そこをAIに任せる、ということです。

検品用のカメラ

デモンストレーション用に用意された検品用のカメラ。映像をAIが分析し、丸刃の欠けを高速で検知する。

最後に、セキュリティ。AGVが稼働している倉庫は人がいないことが前提となるので、先程もお話したように省エネのために消灯して運用する事も多くあります。となると、通常の防犯カメラは機能しませんので、サーモカメラを導入しています。AGVだけが稼働している場合、高温になる場所がないことが普通なので、それを検知して火災や侵入者を早期に発見するわけです。

左が通常カメラ、右がサーモカメラの映像

左が通常カメラ、右がサーモカメラの映像。倉庫の奥、暗がりに人がいるのがサーモカメラならわかる。

― 倉庫の自動化が話題になっている昨今では、そうした装置を開発している企業は多いと思いますが、その中でも御社がハイクビジョンを選んだのはなぜですか?

西村:なにより、ハイクビジョンは自社工場の効率化のためにAGVの開発を始めたことが大きいですね。

株式会社フォクスター西村社長

シミュレーションではなく、実際に使用する環境下での検証と開発を繰り返して生み出された製品なので信頼性が高いと感じています。また、今でもハイクビジョンの工場では800台を越えるAGVが稼働していますので、導線の選定やタスクの割り付けなどに使うアルゴリズムが日々、改善され続けています。

さらに、ハイクビジョンは自動車用のセンサーやセキュリティ、ストレージなどの分野でも実績のある企業なので研究開発のための体力、つまり利益構造がしっかりしているのも強みです。

自動化を推進する倉庫の条件とは?

― 御社が扱っているハイクビジョンのAGVを始めとした自動化パーツを導入するのに適した倉庫の形というのはあるのでしょうか?

西村:そうですね。まず、私たちが主に扱っている二次元コード式のAGVは、先程もご説明したように床面に二次元コードを貼っていく必要がありますので床面に汚れがないほうがいいと思います。また、AGVの走行経路をできるだけシンプルにするために柱の少ない構造だとなお良いです。

セントレアロジスティクスセンターの荷上場から内部を臨む

セントレアロジスティクスセンターの荷上場から内部を臨むと、広大な空間に対して柱が少ないことが分かる。低床式・高床式のどちらも同じ仕様だ。

そしてもう一つ。これはAGVが今後解決するべき課題なのですが、AGVが走行する上で、傾斜や凹凸、段差は苦手です。きれいに水平のとれている倉庫が理想的でしょう。

床面がきれいであること、柱が少ないこと、そして水平がとれていること。この3つがAGVをフル活用する際には大切です。

― その面から見て、このセントレアロジスティクスセンターはいかがですか?

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セントレアロジスティクスセンター

セントレアロジスティクスセンターは上りランプと下りランプが分かれているのでトラックの発着もスムーズだ。

セントレアロジスティクスセンターの上りランプ

セントレアロジスティクスセンターの上りランプ。同じものが下り側にも。

西村:素晴らしいと思います。新しい倉庫なので非常に床面がきれいですし、柱も少ない。もちろん水平もとれています。 AGVを導入すれば、大きく成果を上げられる環境だと思いますよ。

AGVと物流自動化のこれから

株式会社フォクスター西村社長

― AGVと物流自動化のこれからについて西村社長の見解を伺いたいと思います。

西村:はい。まずAGVですが、先ほどもお話したように、傾斜や凹凸、段差が苦手です。これを解決すると、倉庫内だけではなく、工場から倉庫、倉庫から倉庫のような外の移動ができるようになり、より多くのお客様にとって魅力的に映るでしょう。

つづいて、業界として統一された規格を作ることも必要です。いろいろな事情で、ひとつのメーカーのAGVだけでなく、いくつかのメーカーで作られたAGVが混在する環境というも、もちろん想定されますが、それらの仕様の違いを乗り越えて協調制御するのは現時点では非常にハードルが高い。この垣根を乗り越えることは、今後業界全体として課題になるでしょう。

― ありがとうございます。では最後に、人と自動化装置がどう共生するのか、という点についてお考えをお聞かせください。

株式会社フォクスター西村社長

西村:あるクライアントさんに、検品作業の自動化を提案したことがありました。人による検品よりもずっと高速なので、コストの面ではもちろん自動化装置に軍配が上がります。

一方で、その仕事を長年続けてきた方にとっては受け入れ難いということも当然あります。職人技のような面もある作業で、機械には無理だと反発されることもあるのです。

これは、ある意味でその通りです。機械学習によって、AIはある製品を「AとB」のように振り分けることは可能になりました。が、カメラだけでは判断できない手触りや香りのような、長年の勘と経験が必要な分野は苦手です。

そこで、そのクライアントさんには、自動化装置によって「AとB」までの選別を行い、最後は人の手で「A-、A、A+、A++」のようにさらに細かい選別を行うようにご提案したところ、ご納得いただきました。

AIや機械が仕事を「奪う」というのはよく言われることですが、それは間違った姿だと思います。実際には「助け合う」ような方向性が求められているはずです。

そこは、これからも様々なお客様と一緒に考えていきたいですね。

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