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賃貸オフィス・事務所の記事

日本企業の不動産/ワークプレイス活用は戦略的か

田村 貴之

シービーアールイー株式会社

グローバルワークプレイスソリューションズ
マネージングディレクター
田村 貴之

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日本企業の不動産/ワークプレイスの施策に関して、腑に落ちない、残念だと感じる場面に出くわすことがある。顧客志向の立地選定、新規事業を生み出すイノベーティブな空間、社内コミュニケーションを活性化させ生産性を向上させるプラットフォーム、働き方の変革を促し優秀な人材を引き付ける環境、不動産ポートフォリオとコストの適正化。ビジネスの成長と企業価値向上のためのこれらのような狙いと具体的な施策がマッチしていないのである。日本においても企業活動における不動産/ワークプレイスの位置づけが変わり、賃貸借や売買、開発などのプロセスにおいて、透明性やステークホルダーに対する説明責任が重視されるようになった今だからこそ、日本企業の不動産/ワークプレイス活用は戦略的と言えるのか、オフィスにフォーカスしてあらためて考えてみたい。

日本企業の不動産に関する施策は単発的か

不動産サービスプロバイダーであるCBREは、1773年英国創立のリチャード・エリスと、1906年米国創立のCBコマーシャルの前身が、1998年の合併を経て、現在は世界400ヶ所以上の拠点で70,000名を超える社員が様々な形態のサービスを行っている。小規模サービスから始まった不動産専門のサービスプロバイダーがこのような組織形態となってきたのは、クライアントの要請に応えるべくサービスを発展させてきたからにほかならないが、ほとんどの変化は米国もしくはヨーロッパで構築されたコンセプトに基づくものであった。つまり、一般的に米国が不動産先進国と言われているように、CBREが新たなサービスを生み出してきたのも欧米先行であったということであり、やはり欧米の不動産に関しての動きは日本よりも進んでいた。

およそ40年前に始まった日本における当社の事業も大きく様変わりし、2016年11月現在18のビジネスラインを擁する組織となっている。そのような展開となった理由のひとつは欧米系多国籍企業が日本においても本国同様のサービスを望んできたことにあるが、この10年程度の間の各ビジネスラインの成長は、日本企業からの受託拡大によるところも大きい。ファシリティマネジメント(FM)、コーポレートリアルエステート(CRE)という概念が日本でもおよそ定着し、もはや不動産やワークプレイスを単なるツールではなく経営のブースターとして捉えている企業は本当に多い。そのための予算や組織も計画され、当社のような外部専門家をうまく活用する企業も増えてきた。各企業の不動産担当者、総務担当者の知識レベル、経験値も向上していることは間違いない。しかし、我々の関与する仕事や業界で耳にする日本企業の取り組みは、それで全体最適かと首をかしげたくなるような進め方をとろうとするものも少なくなく、その時々の「単発の打ち手」を実施したことで「やれている」と思い込んでいるのではと思うことさえある。日本企業の不動産戦略に対する意識は高まっているものの、本当に自社の中長期のビジネス戦略に合致した不動産/ワークプレイス戦略を実行できていると言えるだろうか。

CREという言葉に踊らされているような企業もある

機械業界A社は事業を順調に拡大させてきた。非常に幅広い顧客層を持っているがゆえに、事業所のほかに多くの場所、形態の施設を順次所有、賃借してきたため、社内に専門チームを組織しこの数年CRE戦略にチャレンジしてきたが、最終的に本社のガバナンスのもと最適化させるという作戦を見直すこととなった。社内に不動産実務の専門家がいなかったにもかかわらず、自前で進めようとしたことが根本的な問題であったと考えられるが、それ以前に、グループの事業が多様すぎて各ビジネスの特性を理解できず、またそれを知る権利も戦略を立てる権限も与えられなかったために、実態に即していない机上での戦略となったことが大きな要因であると思われる。例えばある事業部はその中心顧客層を考えたときに、ビジネスの中心地かつグレード感のあるワークプレイスが求められているにもかかわらず、ローコストオペレーションを重視する別の事業部とのオフィス統合を、「うつわ」と「人員数」そして「コスト」で検討されてしまい、当然に話し合いは建設的に進まなかった。専門チームは個々のビジネスを知らなかったために、現実的なアプローチをとれないままCRE戦略は魂の入っていないものとなり、結果、計画はうまく進まなかった。

食品業界B社ではグループ企業からのリーダークラスで組織されたチームを構成し、組織を超えたグループ全体での最適化を目指したが、戦略策定段階で頓挫することとなった。CRE戦略を推進するという経営レベルでの決定に基づき、組織をつくりおよそのスケジュールも定めたものの、効率化のレベルや見込まれるシナジーなど、ゴールとなるグループ全体での具体的なターゲットがないままに、協議が進められた。そのため、よし、やろうということで集まったものの、いざ協議を始めてみるとリーダークラスでさえ、これをやると自部門へはどんな影響が出るだろうか?ということに目が行ってしまい、総論賛成各論反対の形となった。グループ全体のビジネスを俯瞰的に考え、なぜそれを進めるのか腹落ちできていなかったことが原因だったのだろうと予測される。

CREという概念は米国では50年前から存在するものの、日本ではいまだ定義が完全に明確でないとされている。もしかするとそのくらいの方が浸透させていくにはちょうど良かったと考えられたのかもしれない。現状把握、データベース化、専門組織づくり、戦略策定、実行、レビューというプロセスはその通りだとみな理解するだろう。不動産関連で課題を持つ企業や、将来の成長へ向け準備をしようという企業は、このセオリーに従って取り組もうとするだろう。しかし、それがCREという名ばかりの表面的で残念なものとなってしまうのはなぜだろうか。

なぜ最適化がお題目で終わってしまうのか

“企業不動産の最適化”というお題目は素敵であるが、冒頭あげたように、ビジネスの成長、企業価値の向上のためと言いながら、スタート時の意気込みから打って変わって、最後には尻すぼみ、相当の妥協で完了となってしまうことも多い。その理由はおよそこのようなものが多い。

  • ポリティカルな圧力

    ビジネス戦略に関わっていない不動産グループ会社からの圧力、もしくはスキル、経験のないグル ープ会社に仕事をさせよという経営層からの指示などにより、選択肢が狭められてしまう。

  • とりあえずの全体最適

    所有も賃貸も、オフィスもリテールも物流も、東京も拠点も同じ箱の中で事業の種別に関係なく一緒くたに最適化せよと指示が出る。

  • とにかく成果を

    経営陣のジャストアイデアや超短期視点で目に見える成果を求められる。

  • 網羅的なだけの戦略

    中期経営計画に盛り込まれる不動産/ワークプレイス戦略はあたりさわりのないものが多く、具体性がない。そのため達成したのかどうかわからないものが多い。

  • 覚悟のあるチームリーダーの不在

    上記のような状態だと、一般的にリーダーやメンバーは覚悟を決めて取り組めないようである。かつて当社がプロジェクトで苦楽を共にした某金融機関や某物流企業のように、社内で大きな権限を与えられたスーパースターが剛腕でプロジェクトをリードし、大胆な戦略を成功させるというようなケースは極めてまれである。

先日とある企業の担当者との話のなかでこのようなことがあった。同社は大変多くの施設を所有・賃借しているが、ビジネス環境がどんどん変わり、施設に求められる機能も変わってきたため、古い施設への対応を迫られている。ご担当者はハードだけでなく、管理の仕方や対応組織にも課題があると認識しており、これは新しめのものも同様である。立地の見直しや統廃合まで視野を広げ、この機会に将来対応をしようとしており、根幹となるビジネス戦略を経営陣とまさしく話しているということであった。あとはマイルストーンを定めいつ何をするか明確にするだけである。

不動産/ワークプレイスの全体最適とは1企業としてバランスのとれた形であるということだと考えるが、その際の判断基準となるものはやはりビジネスそのものではないか。即効性はなくとも例えば事業の統廃合を考え、今のうちにコストと時間をかけても、調査や計画をすることも大事である。グループ企業を育てることも大事だが、それ以前にそのグループ企業が、本質的に本業にプラスとなるのか考えるべきであろう。ビジネスのアドバンテージをもたらしたかどうか評価し、次に進化させることのできる中計での目標を定めるべきであろう。不動産担当者だけがもがくのではなく、経営層もしくは経営企画の方も、全社のプラットフォームを最適化することは絶大な効果をもたらすと確信して、参画すべきであろう。

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上記内容は BZ空間誌 2016年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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