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賃貸オフィス・事務所の記事

三菱地所■大手町パークビルディング本社移転プロジェクト

「働き方改革推進委員会創設」と「本社移転」。
新たな価値創造に向けた、三菱地所の取り組み。

三菱地所株式会社
総務部 副長
松野 史朗

三菱地所株式会社
人事部 副長
安達 憲瑞

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自ら“実験台”となりオフィスの課題を解決する

外観

三菱地所は、従来の長時間労働の是正にとどまらず、生産性の向上による新たな価値創造を目的として、今年4月1日付で社長直轄の「働き方改革推進委員会」を創設した。また、新しい働き方にふさわしいオフィスの実現を目指し、今年度下期に本社を大手町ビルヂングから大手町パークビルディングに移転することを決定。働き方改革と本社移転を一体的に推進していくという。

同社は1937年の設立以来、丸ノ内ビルヂングから東京ビルヂング、大手町ビルヂングへと本社を移してきた。直近の大手町ビルヂングに入居してからは14年が経つ。過去2回の本社移転は建物の建て替えが主な理由だが、必ずしも本社のあり方を考えたうえでの戦略的な移転ではなかった。「いずれも入居ビルの建替期限が到来した際に、物理的に当社がまとまって入居できるビルに“単純に引越”をしたのが実情」と同社総務部副長の松野史朗氏は話す。

ところが、今回は違う。移転先は今年1月に竣工したばかりの最新複合ビル・大手町パークビルディングだ。その理由を松野氏は次のように話す。「時代とともにテナント企業様の働き方が変わり、オフィスのあり方も変化していく中で、自分たちは旧来型の働き方のままでいいのだろうか、という提供者としての危機感がありました。まずは我々自身が働き方を変え、新しいオフィスのあり方を模索していく必要があるだろうと。今回の本社移転は、当社自らが先進的なワークプレイスの実証実験を行うことで、当社の主力事業であるワークプレイスの商品企画力を高める狙いもあります」。

ビジネス中心地が次に求める機能は生産性向上につながる働く環境

生産性向上を目指した「働き方改革」は、日本随一のビジネス街・丸の内エリアの再開発を進めてきた同社が、次に掲げるまちづくりのキーワードである。ここに至るまでの経緯を簡単に振り返ってみたい。

今さら説明するまでもないことだが、三菱地所と丸の内との関わりは、1890年、前身である三菱社がこのエリアの国有地払い下げを受けたことから始まった。エリア内のビルの建て替え・再開発を進め、現在丸の内エリアにある約100棟の建物のうち、30棟を所有する。ハード・ソフト両面で今の丸の内のまちづくりを象徴するのが、2002年竣工の「丸の内ビルディング(丸ビル)」である。かつて丸の内仲通りには、多くの金融機関が路面店舗を構えていたが、バブル崩壊後の統廃合により空きスペースが増加。それを埋める形で誘致したのが、飲食店やショップなどの商業機能だった。丸ビルを起点に銀座・有楽町までの一大ショッピングゾーンを誕生させたことで、土日は人がまばらだった丸の内エリアが、「土日も楽しめるまち」に変貌した。その後も丸の内パークビルディングや大手門タワー・JXビルなど大型ビルの竣工が相次ぎ、エリアへの企業集積・商業集積が一層進んだのである。

まちの次なる機能として強化を狙うのが、生産性向上によって新たな価値を生み出せる環境である。「丸の内がこれからもビジネスの中心地であり続けるために、生産性の高い働き方ができる環境を提供し続けていくことが、我々に求められている課題だと考えています」と松野氏は話す。

「大手町パークビルディング」はまさに、多様な働き方を実現することで生産性向上をサポートするためのビルだ。ワンフロア約1,000坪の大空間に柱はなく、柔軟性の高いオフィスづくりが可能である。2階のオフィスサポートフロアには、ワークプレイスや休憩にも利用できるオフィス就業者専用ラウンジのほか、カフェやコンビニ、保育所なども整備。7階は、ワンフロアを最小40坪台からの小規模オフィスに分割し、共用の受付や会議室などをパッケージにしたオフィスサービスを提供。また、22階から29階には中長期滞在に便利なサービスアパートメントを整備し、職住近接のビジネススタイルを可能にしているのも、大手町では初の試みである。

三菱地所はこの最新鋭ビルに本社を移し、新しい働き方への改革と、それに相応しいオフィスづくりにチャレンジしようとしている。

大手町パークビルディングが課題に取り組むラストチャンス

「働き方改革推進委員会」は、人事部、総務部、経営企画部のメンバーが中心となって社長直轄組織として4月1日に発足した。同社はこれまでにも、ノー残業デー、有給休暇取得の促進、育児支援制度の拡充など働きやすい環境の実現に取り組んできたが、こうした現場レベルでのボトムアップには限界も感じていたという。「スピード感を持って抜本的に働き方を変えていくには、トップダウンのアプローチも必要です。働き方改革に関する方針決定と、トップメッセージの発信等を目的に、社長を委員長とする委員会を設置しました」と同社人事部副長の安達憲瑞氏は話す。

働き方改革と同時並行で進める本社移転では、現在の本社勤務者約800人が対象となる。また、現在は建物内に分散しているオフィスを、新本社では3~4フロアに集約させることで、効率的なスペース利用も図る。

三菱地所にとって、本社移転はこのタイミングでなければならない理由があった。今後同社が供給を予定している新規開発は、直近では丸の内3丁目で進めている「富士ビル」「東京商工会議所ビル」「東京會舘ビル」の3棟一体建て替えのみで、竣工は2018年の予定だ。ただし、ここはすでにテナント企業がほとんど決定している。その次は、2021年度の常盤橋地区の再開発を待たなければならない。「働き方改革は早急に取り組むべき課題であり、大手町パークビルディングへの入居を逃すとチャンスはしばらく訪れない」(松野氏)という切羽詰まった事情があったのである。

働き方改革の2つの課題 生産性の向上が最大のテーマ

概観

働き方改革では、先ず2つの課題に取り組む。1つ目は、働く人の事情や目的に合わせて、時間や場所を自由に選択する働き方の推進である。育児や介護など時間と場所の制約を抱える社員の活躍を一層支援し、1人ひとりが生産性を高められるよう、制度面とハード面での整備をセットで進めていく。制度面では、すでに2016年度からフレックスタイム制度、この4月からは1時間単位で年次有給休暇を取得できる時間単位有給休暇制度を導入した。今後は勤務場所に制限のないテレワーク制度の導入も視野に入れている。

ハード面では、フリーアドレスを導入するとともに、テレビ会議システムやビジネスチャット等コミュニケーションツールを試験導入し、時間や場所に縛られない柔軟な働き方をサポートする。また、共用スペースや執務スペースには、考え事に没頭できる「コンセントレーションブース」や、知識のインプットに集中できる「ライブラリ」、多様な人との交流によりアイデア創出を促す「クリエーションゾーン」、社外との協業も促す「コワーキングスペース」などシーン別の空間を設け、業務内容や目的に合わせて働く場所を選べるようにする。

2つ目の課題が、社内外のコミュニケーションの促進である。「現在の建物では、執務スペースが複数フロアに分散しており、また、同一フロア内にあっても柱や壁で分断されているため、部署間の意思疎通を図る上で良好な環境とは言い難い面があります。我々が今以上に競争力を高めていくためには、部署間の情報共有やコミュニケーションをさらに活性化させ、外部環境の変化にスピーディに対応できる環境をつくる必要があると考えました」(松野氏)。移転先のビルでは、柱や壁のないオープンな空間で見通しの良いオフィスづくりが可能なため、部署を越えた横のつながりが期待される。新本社全体の約3分の1を、多様な機能を備える共用スペースに充て、一部を社外との打ち合わせにも開放する。通路を多く確保し、回遊性が生まれる不規則・不連続なレイアウトを計画するほか、複数階をつなげる内部階段を設置することで、セキュリティの外に出ることなく上下階を行き来できるようにする。これらの仕掛けを通して、「色々な場面で社員の偶発的なコミュニケーションが生まれる環境をつくっていきたい」と松野氏は話す。

社内コミュニケーションの活性化は、新本社のオフィスづくりでは大きなテーマの1つと安達氏は話す。「働く場所に縛られないテレワークが世の中の大きな流れである一方で、フェイス・トゥ・フェイスでなければできないこともたくさんあります。大事な話は膝を突き合わせないとできないですし、それも仕事を進めるうえでは重要な要素だと我々は考えます。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションで生産性を高められるオフィスとはどのようなものか、我々の実体験をもとに模索していきたいと思っています」

またこれらに加えて取り組むのが、社員のパフォーマンスの最大化を支える健康経営の推進である。社員の心身の健康が生産性の向上に寄与するという考えから、同社は昨年10月、社員の健康管理を経営的な視点で捉え、社員の健康保持・増進に戦略的に取り組む「健康経営宣言」を制定した。これを踏まえ、新本社では2003年に廃止した社員食堂を復活させ、健康に配慮したメニューを提供するほか、健康飲料や健康食品の販売、食のイベントを開催するなど、社員の健康増進を積極的に支援していく。社員食堂は、単に食事を取る場所としてだけでなく、社内のコミュニケーションを活性化するための手段の1つにもなる。ランチタイム以外は、社内外の人とのコミュニケーションスペースとして活用される予定だ。

オフィスの課題解決を次世代のまちづくりに生かす

概観

「これらの課題に取り組むことで、三菱地所の社員の働き方とオフィスのあり方を抜本的に改革するのはもちろん、働く人の生産性を高めるために丸の内エリアとして何ができるかを模索することも目的の1つだ」と松野氏は話す。自社の働き方改革を通して、オフィスビルに求められる機能、さらには、まちに求められる機能を追求していこうというわけだ。

働く人の健康づくりにおいては、これまでも丸の内エリアで取り組んできた実績がある。フィットネスクラブやランニングステーション、医療機関の誘致や、就業者向けスポーツイベントの開催、女性の健康を「食」から考えるプログラム「まるのうち保健室」といった健康関連サービスの提供などを行ってきた。今後は働き方に直結した課題にも取り組んでいく。「例えば、丸の内エリアには大手弁護士事務所の大半が集まっていますが、弁護士の方々がなぜここに事務所を構えるかというと、金融機関と協業で仕事を進めることが多いからです。先ほど、フェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションの価値に触れましたが、多様な人財と企業が協業しやすい環境を、いかにまちとして提供していくかも今後の重要なテーマと考えています」(松野氏)

取り組みを強化するための組織改正も行った。ビル営業部内の「新ビルテナント工事室」を、オフィス環境の企画や提案機能を強化して「ワークプレイス・ソリューション室」に改称。また、丸の内エリアにおけるオープンイノベーションの推進を担う機能として、街ブランド推進部内に「オープンイノベーション推進室」を新設した。こうした組織改正は、働く人が活躍できるまちづくりに三菱地所が本気で取り組んでいくという意思表示でもある。

一方、三菱地所が本社を移転した後の大手町ビルヂングも、旧来型のビルならではの良さを生かし、ビルの価値をさらに高めるためのリニューアルを行う予定だ。「オープンな空間が売りの昨今の大規模・新築ビルは、実は小規模な執務スペースがつくりにくい。逆に旧来型のビルだからこそ、フロアを細かく分割できるメリットがあります。例えばこのビルには、フィンテック領域に特化した『FINOLAB(フィノラボ)』という施設がありますが、これはベンチャー企業と大企業の協業を促進するためのコワーキングスペースです。今後、業種や企業の垣根を越えた協業は速いスピードで広がっていくと思われます。このビルにそういった働き方ができる機能を付加していくことで、このビルの価値も上げていくことができると考えています」(松野氏)

時代が求める働き方に即したオフィスづくりとまちづくりに向けて、三菱地所の挑戦は続く。自分たちを実験台にどんな課題解決に至り、新たな価値を提案していくのか。まずは今年度下期に完了予定の新本社オフィスに期待したい。

トラムボード概念図

2017年2月、大手町ビルへと拡張移転しリニューアルオープンした、Fin Techスタートアップ企業の成長を支援・加速させる日本初の産業拠点「FINOLAB(フィノラボ)」。大手町駅直結の交通アクセスに加え、会議室・ラウンジ・受付・オフィス什器等、全てインクルードされたサービスオフィスと、様々なサービスプログラムメニューにより、新たな金融サービスの開発に取り組む環境が実現されている。

受付 ラウンジ ラウンジ 会議室

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上記内容は BZ空間誌 2017年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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