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賃貸オフィス・事務所の記事

CBRE三好孝治が語る、自社ビル事情&賃貸ビル事情

シービーアールイー株式会社
オキュパイアーサービス
CREソリューションズ
三好 孝治

グローバル化・業務効率改善など事業戦略で異なる移転の動機

今日、日本国内において本社移転を後押ししているのが、経済や事業のグローバル化による国際競争力強化を目的とした経営戦略・事業戦略による動きです。今回の「自社ビルと賃貸ビル」というテーマに関連して都内23区に所在する上場企業1,700社を調査したところ、大企業では資産価値の高い都心一等地に自社ビルを構えているグローバル企業が非常に多いことが分かりました。ここから賃貸ビルに移転するという決断は、ある意味グローバル競争に勝ち抜くための決意の表れと言えるかもしれません。

例えば先のキリンホールディングスが本社を中央区から中野区に移転させたケースなどを見ると、グループ統合による総合力強化とシナジー効果を狙った大きな戦略に基づいたものであり、また中野という立地を選んだことについても、それだけの決意を感じます。現在大企業のほとんどは「グローバル化」を意識しています。そのため投資の優先順位を検討する際、国内の自社ビルに投資するなら海外に工場を建てたり設備を増強するといったことに重点が置かれるようになっているのは当然の流れでしょう。その分、国内では身軽な賃貸オフィスに入居することが多くなるのです。さらに将来的には、法人税や賃金コストが安く、優秀な人材が確保しやすい海外に本社を移す企業が出てくるかもしれません。いずれにしても、大企業はグローバル競争を意識した立地戦略と機能性・安全性の高い建物の両方の条件を満たす賃貸ビルを選択しています。

一方、中堅、中小企業ですが、こちらは山手線の外側ではあっても、都心に比較的近いエリアに自社ビルを構えているケースが多いと言えます。こうした中堅以下の企業では、グローバル競争に参入するために国内は身軽にしようという経営者もいれば、自社ビルは企業の信用力を示すものであると考え、それを重視するトップとに分かれる傾向にあります。

もう一つのキーワードは集約による「業務効率の改善」です。もともと数千人規模が本社で働く大企業では、ワンフロアどころかビル1棟を使っても社員は収まりきらないでしょう。しかし、社員規模が数百人程度の企業にとって、数十人ずつが多フロアに分かれる自社ビルよりも、全社員がワンフロアに集まり、コミュニケーションを高めてコラボレーション効果を追求するメリットは計り知れません。特に新しい知恵を駆使して、グローバルな競争力を持つ商品やサービスを創造するうえでは絶大な効果を発揮するでしょう。

業務効率や事業スタイルを改善して、世界に打って出るために大型の賃貸ビルに移転しようとする中堅企業は少なくありません。これまでのように賃料相場が低迷している経済環境が、こうした移転への流れを促進させていると言えるでしょう。

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本社移転に拍車をかける BCP意識の向上

企業が本社移転も含めた拠点再編を加速させていますが、その要因の一つが先の東日本大震災後に注目されたBCP対応です。かつて不動産業界では、千代田-中央-港の主要3区にはメーカーや金融、商社などが、新宿-渋谷には販売・サービス系・ITの業種が多く集積している、つまり業種による立地の棲み分けがあるという認識でしたが、それが変化してきています。

移転先のビルを選ぶ基準も、その企業がBCPを考えるうえで重視するポイントによって異なります。例えば銀行は、災害時においても72時間はシステムダウンを起こさないよう義務付けられていますから、当然ながら電力系のバックアップが重視されます。それ以外の業種でも、大型の非常用発電機が設置できるとか、あるいは揺れの被害が少ないよう免震・制震装置の有無に留意したり、移転候補地を地盤の堅いエリアや、海抜の高い高台に絞るといったケースが見受けられます。港区海岸に本社を構えていたある精密機械メーカーは、当初同じエリア内で移転先を検討していましたが、その最中に大震災が発生したことで立地選定の方針を大きく転換し、現在は海抜の高い永田町に本社を移しました。

こうした動きの中でも顕著なのが、自社ビルから賃貸オフィスビルへの移転です。当社が昨年に扱ったオフィス仲介においても、約20%がこのケースに当たります。その背景にあるのが、まず自社ビルの老朽化だと言えるでしょう。都内にある多くの自社ビルは、すでに築数十年が経過している建物が大半です。同じ築年数を経たビルであっても、賃貸オフィスビルであれば、これはテナント流出防止対策としてオーナーの責任で対策すべき課題であり、テナント企業に大きな負担はありません。しかし、もし自社ビルであれば、耐震対応から様々なバックアップ機能まで、すべてを自らのコストで対応しなければなりません。言うまでもなく、これは企業にとっては大きな投資です。明日、再び発生するかもしれない大災害に対して、後何年使えるか分からない自社ビルに、そこまでの経費と労力をかけるのかが疑問視されているのではないでしょうか。築浅の自社ビル、あるいは建て直して入居しなおすと決断した企業は別にして、安全性に不安を抱えたビルにいながら大きな投資を行うだけの価値を見い出せないと考えた企業は、一刻も早く移転すべきだと決断したことでしょう。東日本大震災にはそれだけのインパクトがあったと言えます。

自社ビルからの移転を阻害する最大の要因とは

自社ビルからの移転を考えるうえで、企業側がよく心配するポイントが、ビルあるいは跡地をどう処分するかという問題です。築年数が古くて安全上の問題がある自社ビルを賃貸することは考えられませんから、取り壊して土地だけを売却するか、駐車場などで活用するという選択肢があります。また、築年数が浅い、あるいは耐震補強をしているが大規模ビルに移転するという場合は、一緒にいる必要がないグループ会社に賃貸するといった方法もあります。例えば、ある大手製薬会社は、拠点集約のために千代田区の自社ビルから港区の賃貸ビルに移転しましたが、転出した後の自社ビルにはグループ会社が入居しています。また、仮に売却を考える場合でも、東京23区内の土地であれば、まず売れない土地はないと言えますので、それほど心配する必要はありません。

実は、大手、中堅企業を問わず、移転を阻む最も大きな理由の一つは、創業者一族の自社ビルへのこだわりの強さです。ここで私自身の体験をご紹介しましょう。本社を関西に置くある企業から、都心にある古くなった東京の自社ビルをどうすべきか、という相談を受けたのは一昨年のことでした。一部を貸していたテナントが退去してビルの約1/3が空き、自社の社員も海外への赴任者が多くなり、スペースの空きが目立つようになっていたのです。要は建て替えるか、跡地を売却して賃貸ビルに移るかの選択なのですが、建て替えるなら容積率いっぱいでビルを建てることになります。しかし、将来的に国内勤務の社員が増えることも想定できず、結果的にはほとんどをテナント貸しで埋めるしかないという予想が立ちました。それならば、本業でない不動産賃貸業に手を出すより、売却して人員の増減に対応しやすい賃貸ビルに移るべきだとアドバイスしたのですが、創業家の一声で、移転計画自体が先送りとなり、新しく安全で設備も充実したビルに移転したいという社員一同の願いは叶えられませんでした。BCPの観点では、かつて同社の関西本社が阪神淡路大震災を経験していたため震災への意識が高く、東京のビルも築年数を経ているものの耐震補強済で、東日本大震災の時も被害は軽微なものでした。この点は幸いだったと言えるでしょう。

こうした事例は企業規模の大小にかかわらず、数多く存在します。CREや経済合理性といった概念だけでは決められないというのが実情なのでしょう。

企業活動とその拠点 本来あるべき姿とは

ここまで、いくつかの事例をご紹介してきましたが、では、本社ビルとは本来、どのようにあるべきなのでしょうか。私たちは企業のビジネスの方向性と、その拠点戦略がマッチしていることが最も重要なのだと考えています。

事業の方向性とは、大きく二分すると、先にも触れた通りグローバル化を目指すのか、あるいは国内で勝負するのかといったことです。大雑把な判断ではありますが、グローバル化なら海外投資を優先するでしょうから、国内の特に自社ビルへの投資はあまり重視しないでしょう。一方、日本国内だけで勝負できるなら、ビジネス一等地に自社ビルを構えることも、事業上メリットになる場合があります。いずれにしても、自社ビルを保有することが企業プレゼンスを高めるといったこだわりを持つことではなく、本業の業績を上げ会社が成功するうえで、今の自社ビルが機能的に貢献できているのかを判断することが重要なのです。

コンサルタントとして、こうした点を見極めるうえでのポイントは、例えば本来であれば1拠点で事業を行った方が合理的であるにもかかわらず、自社ビルで収まり切らないため機能分散している、それがコミュ二ケーションを阻害する要因となり、結果として業績が伸び悩んでいるといった拠点戦略のあり方から、接客スペースが狭いとか会議室が足りないといったオフィス内の執務のしやすさを左右するワークプレイス戦略のことまで、多岐にわたります。つまり、CRE的な視点に立って、ビルやオフィス空間と事業形態が合っているかの関係性こそが本来解決すべき問題なのです。

こうした点から考えると、立地条件はもとより、決められた大きさのなかで様々な制約を受けなければならない自社ビルのあり方については、事業に対してどれだけ貢献しているのかという観点から今一度見直されることをお勧めします。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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